エピソードⅡ 試練
#14 再開
ミンクにある《
熟練者から、スライムすら狩ったことのない初心者まで様々だ。
そのため、《冒険者協会》では、後者に向けてのサポートとして、近場の森でのレベル上げを推奨していた。
初心者にとってスライムなどの、F〜E級の
今日もいつものように、初心者の集団が森を徘徊しては、魔物を討伐し、各々がレベルを上げていた。
また、いくら相手が弱いとはいえ、初心者にとっては十分脅威となる可能性がある。
よって、《冒険者協会》は『森に入る際は《冒険者協会》に申請した上で 必ず集団で訪れる』という
この世界の「スポーン」には、ある性質がある。
それが、今回で言えば森、他にはダンジョンなどの、魔物が「スポーン」する場所では、その奥に進むほど、魔物が強くなるとされている。
そのため、《冒険者協会》では統一して、そのエリアで最も強いとされる魔物が「スポーン」する場所を
魔物が強いほど、得られる経験値も多いため、初心者でも慣れてくると『最深地』で狩りをすることが多くなる。
この森は、元々「スポーン」する魔物が弱いため、『最深地』でも高くて、D級の魔物しか「スポーン」しない。
初心者たちは、少し苦戦しつつも魔物を倒し、経験値を稼ぐのであった。
そして、時は少し遡り、奏向が転生した頃に戻る。
奏向がこの世界に転生したと同時に、世界各地に
原因は分からないが、その〚歪み〛によって、魔物の「スポーン」に異常が起きた。
その結果、本来そこに「スポーン」するはずのない魔物が「スポーン」したり、魔物の個体数が異常なまでに増加したりするという事件が起きていた。
その事件は、例の森にも響いていた。
魔物の「スポーン」数が増加する、『最深地』に強力な個体が「スポーン」するという異常事態が起きていた。
しかし、初心者は『魔力感知』を持っていないことがほとんどなため、この異変に気づかず、いつものように狩りをしていた。
そして、自分の実力に自信のあるものが『最深地』へと進んでいく。
このとき、《冒険者協会》は昨今の負傷者の増加を踏まえ、森の中では絶対に集団行動することを呼びかけていた。
それが良くなかった。
まだ狩りに慣れていない初心者も、《冒険者協会》の言いつけを守り、全員で『最深地』へと足を運んでしまった。
現場は、地獄絵図と化した。
強力な個体に、いとも簡単に冒険者達が殺されていく。
途中、逃走を試みるものもいたが、アイツの視界に入ったものは皆殺された。
ミンクでは、冒険者たちが帰って来ないことが心配され、街中の話題になっていたが、スニアの家が門から近かったが故に、奏向たちはその情報を聞くことはなかった。
現在
「おっ!スライム発見!」
森に入ってすぐ、スライムを一体発見していた。
スニアが案内してくれた森は、情報通りこの程度の魔物がたくさんいるらしい。
本来は、初心者のレベル上げの場として《冒険者協会》というところに推奨されているらしい。
俺はすぐに臨戦態勢を取ったが、スライムはこちらに気付いてないようだ。
今なら不意打ちができる!
……でも、今の俺の【ステータス】はこんな感じ。
【ステータス】
《天海奏向》Lv.15
HP 1
『絶対能力制限』により 大幅弱体化
【状態異常】『絶対能力制限』
【スキル】 『万能者・極』:状態 使用不可
不意打ちができることに喜んだのは、他でもないこの「HP」のせいだ。
「HP1」という状態に加え、「防御力」も1なのだ。
いくらスライムといえど、なにかダメージの入る攻撃をされたら、間違いなく死ぬだろう。
つまずいて、コケて死ぬとかは多分無いよな?。……無くてくれ!
もし、その程度で死んだらまともに歩けない!
つまり、今俺は『生と死の狭間』という極限状態にいる。
何を食らっても死ぬ。そのくらいの覚悟じゃなきゃダメだ。
……というか実際そうだ。
覚悟を決め、スニアからもらった剣を振りかぶる。
ちなみにそのスニアというと、何かあったときのためにポーションがを取りに家に戻った。
あとから合流するとは言っていたが、わざわざ取りに行くなんて。
でも、あのポーションすごかったもんな。
あと、ナイフももらっていたが、リーチも長く、攻撃力の高そうな剣を選んだ。
刃が、スライムのなんとも不思議な体に触れる寸前になって尚、スライムがこちらに気付く様子はなかった。
俺の振るった剣は、そのままスライムの体を切り裂いた。
初めて剣使ったけど、結構様になってたんじゃないか?
今回は、初めて倒した時みたいに「霧散」はしなかった。
なんというか、そのまま溶けてなくなったように見えた。
まぁ、【ステータス】全部1の状態でも倒せるんだな。
あと、この状態でもスライムは一撃なんだ。
初めてのときの、『身体強化』いらなかったな。
あのときは、『身体強化』を使って倒した。
「案外、
呪いのせいで【スキル】が使えない、すなわち今まで俺を助けてくれた『万能者・極』が使えないということは、その効果であった魔法も使えない。
「でも、今後〘魔王〙を討伐する中で、魔法が効かない魔物とか出てきたときのために、剣も練習しておくべきだな。
そう考えたら、この解呪までの時間、超有意義だな。」
忘れてはいけないのが、これらは全て〘魔王〙を討伐するために行っていることだということ。
俺の使命であり、もはや呪いみたいなもんだ。
これだけは絶対譲れない。
「……よし!このままどんどん魔物狩るぞ!」
あれから5分ほど経った。
最初のスライムも含め、俺は三体目のスライムを倒していた。
「……にしても、こいつも一撃だったな。」
手応えという手応えが全く感じられない。
まぁ、なにかされたら死ぬから、このくらいイージーでいいんだが。
先程同様、スライムが溶けるのを眺めていると、イフォが話しかけてきた。
[ レベルが上がりました。
【ステータス】を確認しますか? ]
おぉ!やっと上がったか。
おう、頼む。
[ 了 ]
【ステータス】ボードが目の前に出現する。
【ステータス】
《天海奏向》Lv.15 ⇒ 16
HP 3 +2
攻撃力 2 +1
防御力 3 +2
魔力 1
知力 7 +6
俊敏 4 +3
『絶対能力制限』により 大幅弱体化
【状態異常】『絶対能力制限』
【スキル】 『万能者・極』:状態 使用不可
……ん?
ちょっと上がり幅が小さいか?
あと魔力なんて上がってないし。
………後でイフォに聞こう。
そろそろスニアが帰ってくるだろう。
合流場所すら言ってないから、森の入口まで迎えに行かないとな。
そういって、俺は森の入口へと急いで向かうのだった。
ー★ー
こんにちは、てぃらです。
二章に入りました。
呪いのせいで、ちょっとぶっ壊れ度は落ちますが、その分いきいきとした戦闘シーンなどがあると思うので、楽しみにしといてください!
では、また。
少しでも面白いと思っていただけたら、応援・コメント・フォローしていただけると嬉しいです!
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