第27話 愛する彼
というわけで、即断即決とばかりに、
近くのホテルを探し、電話を掛けてみることにしました。
そうすると、運良く空き室があるとのことだったので、早速向かうことにします。
幸い、そこまで遠くはなかった為、徒歩で行ける距離にあったことから、
迷うことなく到着することができました。
中に入ると、フロントにて手続きを済ませ、指定された部屋へと向かいます。
部屋に入るなり、緊張からか、一気に疲れが出てきました。
ソファーに腰掛け、休んでいると、不意にドアが開く音が聞こえてきました。
反射的にそちらに目を向けると、そこには予想通りの人物の姿がありました。
そこにいたのは、もちろんのこと、私の恋人であるイケメンの美青年、瀬良清太さんでした。
服装はもちろん、髪型やアクセサリーに至るまで、
全てが洗練されており、まさに完璧な男性と言えるでしょう。
そんな彼の登場により、先ほどまで感じていた疲労など一瞬で吹き飛んでしまうほど、気分が高揚していきます。
しかも、それだけではありません。
彼の持つ魅力に惹かれてしまう要因の一つでもある、整った顔立ち、
すらっと伸びた手足、均整の取れた体格、どれを取っても一級品と呼ぶに相応しいものばかりであり、
それら全てが合わさったことにより、更なる輝きを放っているように見えるのです。
そんな彼に見惚れていると、彼もまたこちらを見つめており、
視線が重なる度に胸の高鳴りを覚え、顔が熱くなるのを感じました。
そして、それを誤魔化すように俯くことで、赤くなった顔を見られないように
することに成功したと思ったのですが、どうやら無駄だったようです。
なぜなら、顔を上げた瞬間に彼と目が合ってしまったからです。
その瞬間、全身に電流が流れたかのような衝撃を受け、心臓が大きく跳ね上がりました。
そのせいで、まともに思考できない状態に陥り、何も考えられず、
ただ呆然と立ち尽くしていると、不意に彼が近づいてきて、耳元で囁かれました。
「どうかしたのかい、御幸ちゃん?」
その言葉を聞いた瞬間、背筋がゾクッとするような感覚に襲われ、
全身が粟立つような感覚に襲われ、思わず身震いしてしまいました。
しかし、その直後、今度は別の意味で身体が震え出すことになります。
なんと、彼が突然抱きついてきたかと思うと、そのまま押し倒されてしまったのです。
突然のことに驚き、抵抗しようと試みるものの、上手く力が入らず、
されるがままの状態になってしまいました。
このままではまずいと思い、必死に逃れようと試みるものの、やはり無駄でした。
結局、最後まで抵抗することができず、されるがままになってしまったのです。
「ほらっ、キスしようか」
「えっ、ちょ、ちょっと待って下さい!
いきなり、そんなこと言われても、心の準備が整っていないというか、
なんというか、その、えっと、つまり、優しくしてくださいね、お願いします!」
必死に懇願してみるものの、全く聞き入れてくれない様子。
それどころか、余計に興奮させてしまったみたいで、
鼻息荒く迫ってきたと思ったら、強引に唇を奪われてしまいました。
初めは触れるだけの軽いものだったけど、次第にエスカレートしていき、
最終的には、舌を入れられて、口内を舐め回されて、唾液を流し込まれてしまいました。
「ご馳走様、美味しかったよ、御幸ちゃんの唾液」
ニヤリと笑うその顔を見た瞬間、恐怖心を抱き、 慌てて逃げようとするものの、
あっさりと捕まってしまい、またしても押し倒されてしまいました。
そして、首筋に顔を埋めてきたかと思えば、思いっきり噛み付いてきたのです。
「痛っ、何するんですか!?」
あまりの痛みに悲鳴を上げるものの、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、
次々と痕をつけていった挙句、最後に強く吸われたところで、ようやく解放してくれた。
ホッとしたのも束の間、今度は耳元に顔を寄せてきたかと思うと、囁いてきた。
「愛してるよ、御幸ちゃん」
その言葉に、胸がキュンとした気がしたけど、それと同時に不安が込み上げてきた。
どうして、この人はこんなにも私に執着してくるのだろうか、
その理由が全く分からない、 ただ一つだけ分かることがあるとすれば、
それは、私がこの人から逃れることはできないということだ。
その証拠に、今だって、私は彼に抱きしめられたまま、
逃げることができないのだから、もう諦めるしかないのかもしれない。
そう思いながら、静かに目を閉じたのだった。
目が覚めた時、既に朝になっていたことに気づいた。
時計を見ると、時刻は午前7時を指し示していた。
ベッドから起き上がり、隣を見ると、まだ眠っているらしい彼の顔があった。
「おはよう、起きてください、時間ですよ」
そう言いながら、軽く揺すると、眠そうな目をこすりながら、ゆっくりと目を開けた。
「……んー、もう少し寝かせてくれ……」
と言いながら、寝返りを打つ姿に苦笑しながら、仕方なく一人で身支度を整えた。
朝食を食べ終えると、いよいよ出発の時間となった。
振り向くと、そこにはスーツを着たイケメンが立っていた。
その姿を見た瞬間、思わずドキッとした。
心臓の音がうるさいくらいに鳴っているのがわかるほどだ。
ドキドキしながら見つめていると、彼が微笑みながら言った。
その言葉を聞いた瞬間、嬉しさのあまり涙が出そうになった。
だが、泣くわけにはいかないと思い、グッと堪えた。
そして、精一杯の笑顔で応えることにした。
その後は、ホテルを出て駅へと向かい、電車に乗って目的地へと向かった。
車内では、何気ない会話をしたり、景色を眺めたりして、のんびりと過ごした。
途中、何度か乗り換えをしたので、その都度、案内板を見ながら進んでいった。
そうして、数時間後、ようやく目的地に到着した時には、既に夕方になっていた。
そこは、海が見える公園だった。
辺り一面、見渡す限り水平線が広がっている光景はとても美しく、心が洗われるような気がした。
ベンチに座って、しばらくの間、ぼんやりと眺めているうちに、ふと疑問が浮かんだ。
そもそも、どうしてこの場所を選んだのだろうか、ということについてだ。
そのことを尋ねると、彼は答えた。
なんでも、以前、旅行雑誌を読んでいる時に、この公園の写真を見て、行ってみたいと思ったそうだ。
その時は、実際に行く機会がなかったのだが、今回、たまたま近くを通ることになったため、
寄ってみようと思ったらしい。
なるほど、そういうことだったのか、と思っていると、不意に手を握られたので、
驚いて顔を上げると、そこには真剣な表情をした彼の顔があった。
「どうしたの、急に黙り込んで、何かあったのかい?」
心配そうな顔で尋ねてくる彼に、なんでもないと答えると、安心したような表情を見せた。
よかった、いつもの彼に戻ったみたいだ、と思った瞬間、不意に抱き寄せられた。
咄嵯のことで反応できずにいると、そのままキスをされてしまった。
「ちょっと、こんなところで何をするつもりなんですか!?
誰かに見られたりしたらどうするんですか!!」
慌てて抗議するも、聞く耳を持ってくれないようで、その後も何度も繰り返してきた。
その度に、私は必死になって抵抗したものの、結局はされるがままになってしまうだけだった。
結局、この日はそのまま帰宅することになったのだが、帰り道でも、ずっと手を繋いでいたため、
周囲からの視線を集めてしまっていた。
恥ずかしかったけど、同時に嬉しい気持ちもあったことは否定できない事実だった。
家に帰ると、夕食の準備に取り掛かる前に、先にお風呂に入ることにした。
湯船に浸かりながら、今日一日の出来事を振り返ることにした。
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