第22話 合コン
「あの、実は私、あなたと以前どこかでお会いしたことがあるような気がするんですが、
私の勘違いでしょうか?」
と質問を投げかけてみたところ、彼は少し考えた後でこう答えたのである。
「うーん、そう言われると確かに私もそんな気がするんですよね〜。
まあでもきっと気のせいですよ! それよりもこれから食事にでも行きませんか?
ちょうど美味しいお店を見つけたんですよ〜」
そう言ってきたので、私は迷わずついていくことにしたのだった。
その後向かった先は、雰囲気の良いバーだったこともあり会話も
弾み楽しい時間を過ごすことができたのだが、そんな中で彼が突然こんなことを言い出したのである。
「実は僕、あなたに一目惚れしてしまったみたいなんです!」
と言い出した時には驚きのあまり固まってしまったが、
何とか冷静さを取り戻すことに成功した私は、動揺を隠しつつ返事をしようと試みた結果、
ついどもってしまった挙句に噛んでしまうという醜態を晒してしまったのだが、
それでも彼は笑顔で対応してくれたおかげで助かったと思っている。
だがしかし、問題はここから!
なんと彼が突然立ち上がって私の手を掴んできたかと思うとそのまま店の外へ出て行ってしまったのだ。
突然のことに驚きつつも抵抗しようとしたものの力が強くて振り払うことができないまま、
ズルズル引き摺られていくうちに人気のない路地裏のような場所へ連れてこられたところで
ようやく解放されることができたのだが、ホッとしたのも束の間のこと、
今度は壁ドンされて迫られてしまったのである。
もうダメだと思ったその時、運良く助けが入ったことで難を逃れることができたのだった。
「おい兄ちゃんよお? 俺の女に何してくれてんだ?」
と言って現れたのは身長180cm以上はあると思われる大男で目つきが非常に悪く威圧感のある人物であった。
「え? いや、その、俺はただ道を尋ねたかっただけで別に何も……」
と言い訳をしようと試みたものの全く聞き入れてもらえなかったばかりか、
逆に胸ぐらを掴まれてしまい身動きが取れなくなってしまったせいで
完全に萎縮しきってしまっていたところ、そんな私を見かねた様子で
助け舟を出してくれた者がいたのである。
それは他でもない私の彼氏であった、
そう、その人物こそが御幸先輩だったのである。
「おいお前、俺の彼女に手を出すとはいい度胸してるじゃないか」
と言って睨みつけるなり拳を振り上げようとしたところで
慌てて止めに入ったことで事なきを得たのだが、それでもまだ怒りが収まらない様子だったので
宥めるためにも一旦その場を離れることにしたのだった。
その後、近くの公園までやってきた私たちはベンチに腰掛けると改めて状況を整理してみることにした。
まず第一に私が何故こんな目に遭っていたのかという点についてだが、
それについては大体予想がついているため特に驚くことはなかったのだが、
問題はなぜあんな場所にいたのがかという部分である。
というのも、あの店の近くにはラブホテル街があるため、
そこで女遊びをしようと企んでいたのだろうと推測できるからだ。
だからこそ私は警戒していたのだが、
まさかあんな場所で出会うとは思ってもみなかったものだから油断してしまったようだ。
そして次に疑問に思ったのは何故私が狙われたのかという点である。
というのも、私に好意を寄せているであろう相手からしてみればわざわざリスクを
負ってまで誘拐しようとするメリットがないように思えるからである。
そう考えると尚更謎が残るわけだが、考えられる可能性としては一つしかなかったため、
思い切って尋ねてみることにしてみたんだけれども、返ってきた答えは意外なものであった。
なんと、彼は私のことが好きらしいの!
しかも一目惚れだとか何とか言っていたけど本当かどうかは疑わしいところです。
まあでも悪い人ではなさそうだと思ったのでとりあえず連絡先を
交換してその場はお開きになったわけだけど、今後何かあれば遠慮なく相談するように
言われたので心強い限りだ。
そんなこんなで家に帰った後、お風呂に入ったり夕食を摂ったりした後で
くつろいでいると突然彼から電話がかかってきたので何事かと思い出てみると、
どうやら話したいことがあると言われたので急いで出たところ、
開口一番こんなことを言われたのである。
「あのさ、実は相談したいことがあるんだけどいいかな?」
とのことだったので了承する旨を伝えて話を聞いてみたところ、
その内容というのが私が予想していた通りのものだったため思わず笑ってしまったほどだ。
というのも、最近になって頻繁にかかってくるようになった迷惑電話に悩まされているらしく、
どうにかならないものかと相談してきたのだ。
そこで私は考えた末に一つの結論に至ったわけだけど、それは至ってシンプルなものでした。
そう! 着信拒否をすれば良いだけの話なのですから。
そうすればもう悩む必要もありませんしね。
というわけで早速実行してみることにしたのですが、その結果どうなったかというと、
なんとピタリと止んでしまったのです。
これには私もびっくりしましたけど、それ以上に喜んでいたのは彼の方でした。
まあ何はともあれ一件落着ということでホッと胸を撫で下ろしつつ眠りについたわけなんですけれど、
翌朝起きてみるとまた同じ人から電話がかかってきたようでした。
でも今回はすぐに切れたようなので特に問題はなかったみたいなんですけど、
その後も何度もかかってくるようになった上に着信拒否しても別の端末からかけてくるようになったらしく、
流石にうんざりしてきたみたいですよ?
そこで私が相談を受けた結果、とりあえず電話に出てみることにしてみたんですが、
案の定というかなんというか相手は男性でしたし声も若かったので恐らく学生さんではないかと思われますね?
ただ一つだけ気になった点があるとすれば話し方が丁寧すぎるというか、
まるで機械音声のような感じで抑揚が全くなかったという点でしょうか?
まあ、いずれにしても気になる点といえばそれくらいなので、
とりあえず話だけでも聞いてみようと思ったんですけれども、
その結果わかったことは、どうやらこの方は私の彼氏である御幸先輩のことが
気になって仕方がないらしく、どうにかしてお近づきになりたいと考えているようなのです。
でもだからといって直接会いに行くのは怖いのでどうしようかと悩んでいたところ、
私に相談を持ちかけてきたということなんです。
そんなわけで私なりに色々と考えてみた結果、
まず最初に思い浮かんだのが合コンを開いてもらうことでした。
というのも私自身そういった経験がなかったものですから
一度くらいやってみたいな〜と思ったからなんですけど、
それを彼に話したところ快く承諾してくれたので早速実行に移すことにしたわけです。
そしていざ当日を迎えたわけなんですが、ここで一つ問題が発生してしまいました。
それは何かというと参加者の中に一人だけ明らかに浮いている人がいたからです。
その人は見た目からしていかにもオタクっぽい感じでしたので
最初はあまり興味がなかったんですけども、話してみると意外と面白くて話題も
豊富だったのでついつい盛り上がってしまいまして、気づいた時にはすっかり意気投合してしまっていました。
その後は連絡先を交換し合った上で解散となったのですが、
それからというもの毎日のように連絡を取り合うようになったおかげで
お互いのことを知る機会が増えてきたことで、ますます惹かれあうようになっていった結果、
遂に付き合うことになったわけですが、そこに至るまでには数々の困難がありましたよ〜?
だって相手は極度のコミュ障で女子との会話はおろか、目すら合わせられないほどのシャイボーイですから〜。
まあでも今となってはそんな一面も含めて大好きになっちゃったんです。
ちなみに今日のデートでは映画を観てきたんですが、
その帰りに寄ったカフェでの出来事なんですが、
注文した飲み物を運んできた店員さんに対して何故か過剰反応していたんです。
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