第19話 新しい趣味

そうして歩いているうちに家に到着しました。

玄関を開けると、母が出迎えてくれます。

久しぶりに帰ってきた私を母は喜んで迎えてくれましたが、

私の顔を見るなり心配そうな顔になってしまいました。

どうやらかなりひどい顔をしているみたいです。

私は母に事情を説明することにしました。

お母さんならきっとわかってくれるはずですから。

最初は驚いていた様子でしたが、話を進めていくうちに真剣な表情に変わり、

最後には一緒に泣いてくれました。

やっぱり家族に隠し事をするのは良くないですね、改めてそう思い知らされた出来事でした。

それでも話は終わりませんから、きちんと説明を続けます。

そして全て話し終えた後、ようやく解放された気分でした。

その夜、久しぶりに自分の部屋のベッドで寝ることになりましたが、

なんだか落ち着かない気持ちでいっぱいでした。

明日からどうしようとか、色々考えているうちに気がついたら朝になっていたのです。

そして翌日になると、仕事に向かいますが、足取りはとても重かったです。

それでも頑張らないとと思い、会社に着くと早速仕事に取り掛かり始めました。

しかし、なかなか集中できずに時間が過ぎていくばかり。

結局その日も何も手がつかずに終わってしまいました。

家に帰ってからも同じことの繰り返し、何も手につかないまま一日を終えてしまったのです。

そこでふと思い出したのはあの人の言葉でした。

(君自身の人生を歩んでほしい)

確かにそのとおりだと思いました。

自分がやりたいようにやればいいって、あの人は言ってくれたんです。

だったら、私もやりたいことをやってみようって思ったんです。

そう思った途端、やる気が出てきました。

まずは趣味を見つけてみることにしました。

料理を作るのが好きだったことを思い出し、

週末には新しいレシピに挑戦してみることにしました。

最初は失敗ばかりでしたが、徐々に上達していく自分を感じて楽しくなってきたんです。

それから、お菓子作りにも挑戦してみました。

これも最初は苦戦しましたが、コツを掴むうちにどんどん上手になっていきました。

今ではプロ顔負けの腕前になっている気がします。

次は何を作ろうかと考えるだけでワクワクしてきますし、

何よりも誰かのために作るという行為自体がとても充実したものに感じています。

まだまだ始めたばかりですが、これからも色々なことに挑戦していきたいと思います。

そんな日々を過ごしている内にあっという間に時間は過ぎていきました。

いつの間にか季節は秋になっており、街路樹の葉も色づき始めていました。

最近は仕事が忙しくて休日出勤も増えてきたのですが、

そんな時は自宅でゆっくりと過ごすようにしています。

と言っても特に何かするわけではなく、読書をしたり映画を見たりと

いった感じで過ごしているのですが、それはそれで結構楽しかったりするんです。

それに友達とも出かける機会が増えてきているので、

以前よりも充実した日々を送れているかなと思っています。

最近一番ハマっているのは料理教室に行くことです。

以前は苦手意識があったのですが、思い切って通い始めてみたらとても楽しくて、

今ではすっかり虜になってしまっています。

おかげでレパートリーも増えたし、腕前も上がったと思うので、

今度誰かにご馳走してあげたいなぁって思っています。

もちろん自分自身が食べるためでもあるんです。

そんな私の最近の楽しみは、ネットショッピングをすることなんです。

というのも、欲しいものリストを作成しておき、

それを元に買い物をすることでストレス発散をすることができるからです。

今ではかなりの数の商品を購入しており、中には高額なものも含まれていますが、

欲しいと思った時にすぐ手に入るのは本当に便利だなって思います。

それに配達してくれるので手間も省けます。

今日も注文していたものが届いたみたいなので、今から確認してみるつもりです。

何が入っているのか楽しみだな〜と思いながら箱を開けてみると、

そこには予想外のものが入っていました。

何とそれは下着セットだったんです。

しかも上下揃ってるし!

一体誰が送ってくれたんでしょうか?

不思議に思っていると、一枚のメッセージカードが添えられていることに気づきました。

そこに書かれていた内容を読んでいくと、送り主の名前が判明しました。

なんと驚きましたが、それが私の大好きな彼だったので嬉しかったです。

さっそく開封してみると、中から現れたのはセクシーランジェリーの数々で、

どれも大人っぽいデザインのものばかりだったのです。

さすが彼だなぁと思いつつ、それらを試着してみようと試みることにしました。

最初の一枚目は淡い水色を基調としたもので、

フロントホックタイプのブラにショーツの組み合わせでした。

次に手に取ったのは紫色のシースルー素材で作られたもので、

透け感があるところがなんともいやらしい雰囲気を醸し出していました。

最後は真っ赤な色のベビードールとガーターベルトとストッキングのセットです。

これは赤と黒のコントラストが映えていて、

まさに私のためだけに用意されたと言っても過言ではないくらい見事なチョイスだったと思います。

一通り着用した後、姿見の前に立ってみたところ、これがまたすごい破壊力なんです。

まるで別人のような姿に興奮しつつ、今度はカメラで撮影してみたくなりました。

そしてそのまま自撮りを始めてみたのですが、自分で言うのもあれですけど、

かなりえっちな感じになりました。

でも、こういうのもたまにはアリかなって思いました。

さて、次の下着は何にしようかな? と考えていると、

あるアイデアが浮かび上がりました。

それは例の通販サイトに載っていたものです。

確か女性用のコーナーにあったはずなので、探していると見つけることができました。

そしてそこから一つの商品を選んで購入手続きを済ませました。

そして数日後、届いた荷物をドキドキしながら開けてみると、

そこには見覚えのあるものが入っていました。

それは紛れもなく私が愛用しているものだったのです。

思わぬ偶然に驚きつつも嬉しさが込み上げてきました。

早速身に着けてみようとしたのですが、その前に写真を撮っておくことにしました。

鏡の前に立ちながら自分の姿を確認するようにしてシャッターを切り、

画像ファイルとして保存することにします。

その後でじっくりとその写真を眺めて楽しんでいたところで電話が鳴りました。

画面を見ると表示されていた名前は彼の名前だったので慌てて応答ボタンを押したんですが、

その時には既に遅すぎたようでした。

電話に出てしまった以上無視をするわけにもいかず応対すると、

やはり予想通りの内容で呆れてしまいました。

まぁいつもの事といえばそうなんですけど……今回も

適当に受け流しておけばいいかと思っていた矢先、

彼がとんでもないことを言い出したんです。

その内容というのが『今度のデートではどんなことをして楽しもうか?』という内容でした。

確かに前回会った時もその話題が出たけど、まさか本気だったとは思いませんでした。

私はてっきり冗談だと思っていたので、つい聞き返したくなってしまいます。

だけど、彼は真剣な眼差しを向けてくるので断り切れなくなってしまい、

渋々了承することにしたのです。

それからというもの、彼とのデートプランを考えるために色々と思案した結果、

一つの提案を出すことにしました。

その提案というのは遊園地に行くというものです。

実は私は昔から一度行ってみたいと思っていた場所があったので、

この機会に行ってみることにしたのです。

それを聞いた彼はとても嬉しそうにしていたので、

私も何だか嬉しくなってしまいました。

そんなわけで早速計画を立てて準備を進めていきました。

当日になり、駅で待ち合わせてから電車に乗り込んで目的地へ向かいます。

道中は特に問題もなく順調に進んでいき、予定通りに到着した後は入場券を買って中へと入ります。

その後は様々なアトラクションを楽しんだ後、最後に観覧車に乗ることにしました。

頂上付近まで来ると景色が非常に綺麗で感動しました。

その後、降りてから駅まで戻った後、解散するという流れでしたが、

ここで彼が私に話しかけてきたので耳を傾けます。

そうすると彼は私に尋ねてきたんです。

「最後にキスしたいんだけどいいかな?」

それに対して私は顔を赤らめながらも小さく頷いて答えます。

そして彼の唇が近づいてくる気配を感じたので目を瞑りました。

次の瞬間、唇に柔らかい感触を感じ、それと同時に幸せな気持ちが溢れてくるような感覚を覚えます。

しばらくの間そうやって触れ合っていた後で唇を離すと、

名残惜しさを感じながらも帰路につくことになります。

帰りの電車の中ではお互い無言になってしまいましたが、

不思議と気まずくなることもなく穏やかな空気に包まれていたので安心しました。

そうして家に着くまでの間ずっと手を繋ぎ続けていたことは言うまでもありません。

家に着いた後も余韻に浸りながら眠りにつき、翌朝目覚めてもまだドキドキしています。

そんな中、私はある決断を下そうと心に決めましたのだった。

それから数日が経過したある日のこと、私は再び彼に連絡を入れ、

会う約束を取り付けることに成功しました。

待ち合わせ場所に着くと既に到着していたらしく手を振って合図を送ってくれました。

私も手を振り返して応えます。

そして彼と合流した後、一緒にお昼ご飯を食べに行くことにしました。

お店に入り、注文を済ませると早速本題へと移ります。

いよいよこの時が来たかと思うと緊張してしまい、

心臓がバクバクして破裂しそうなほど高鳴っていましたが、

意を決して切り出すことにしたんです。

そして覚悟を決めてこう言いました。

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