第14話 彼の家にて
「デート何だけど、何処へ行きたいとかあるか?」
「え? うーん、特に考えてなかったかも」
そんな答えを返すと彼は苦笑しながら言った。
「まぁ、そうだよな。じゃあさ、俺の家でゆっくりしないか?」
そう言われて一瞬戸惑ってしまったが、すぐに気を取り直して承諾することにしたのである。
それから彼の家へ向かうまでの間、何を話したのかはよく覚えていないのだが、
とにかく幸せを感じていたことだけは覚えている。
そして、ついに辿り着いた時には緊張で胸が張り裂けそうになっていたほどだ。
だがそれも束の間のことで、中に入った瞬間から別の意味でドキドキしっぱなしだったことは言うまでもないだろう。
部屋の中は、綺麗に整頓されており清潔感があった上に良い香りが漂っていたため思わず深呼吸してしまったほどだ。
(ここがあの人の部屋なんだ……)
そう思うと感慨深いものがあったわけだが、いつまでも立ち尽くしているわけにもいかないので
リビングへと案内された私はソファーに腰を下ろすことにしたのだった。
「何か飲み物持ってくるから、ちょっと待ってて」
そう言ってキッチンの方へ消えていった彼の後ろ姿を見つめながら、
改めて室内を見回してみることにした。
シンプルながらセンスの良い家具や小物が置かれており、
とても居心地の良さそうな空間が広がっていた。
(なんだか落ち着くなぁ)
そんな感想を抱きつつ寛いでいると、彼が戻ってきたので慌てて姿勢を正した。
そうすると彼は微笑みながら言った。
「そんなに畏まらなくてもいいよ」
と言われたものの緊張してしまうものは、仕方がないだろうと
思いつつも何とか心を落ち着けようと試みるのだった。
それからしばらくの間は他愛もない話をしていたのだが、
ふと会話が途切れたタイミングで急に真剣な表情になった彼を見て
ドキッとした私は思わず身構えてしまったほどだった。
しかし次の瞬間にはいつも通りの笑顔に戻っていたためホッと胸を撫で下ろしたのだが、
その直後、再び真剣な表情になった彼を見て心臓が高鳴るのを感じた。
一体何を言われるのだろうと不安に駆られていると、彼はゆっくりと口を開いた。
「あのさ、俺、ずっと前から言いたかったことがあるんだけど良いかな?」
そう言われて一瞬戸惑ってしまったが、断る理由もないと思い素直に了承することにした。
すると彼は嬉しそうに微笑んでから話し始めたのである。
「あのさ、俺と風呂に入らないか?」
「えっ? お風呂、ですか?」
予想外の提案に困惑しつつも、一応確認してみることにした。
「はい、分かりました」
と返事をすると彼は、嬉しそうに頷いてから浴室へと案内してくれたのです。
「どうぞ、入って」
と言われたので恐る恐る足を踏み入れると、そこは広々とした空間が広がっていて、
浴槽も大きくゆったりとくつろげるスペースが確保されていました。
(うわぁ、凄いなぁ)
と思いながら眺めているうちに、彼が服を脱ぎ始めたではありませんか!
私は慌てて目を逸らすことしかできませんでした。
しかし、それでも気になってチラチラと見てしまう自分がいましたが、
幸いにも気づかれずに済んだようです。
ホッと胸を撫で下ろしていると不意に声をかけられました。
「どうした、入らないのか?」
驚いて振り返ると、そこには素肌になった彼が立っていたのです。
私は慌てて背を向けながら答えました。
「い、いえ! 先にどうぞ!」
そうすると彼はクスッと笑いながら言いました。
「一緒に入ろうぜ」
(え?)
と思った次の瞬間には彼に抱き寄せられていました。
「きゃっ!」
思わず声が出てしまいましたが、彼は構わずに続けます。
「ほら、脱げよ」
耳元で囁かれた言葉にゾクッとしてしまい、 頭が真っ白になってしまう私でしたが、
何とか正気を取り戻して抵抗を試みました。
しかし、力の差は歴然でビクともしません。
結局なす術もなく服を脱がされていきました。
そして下着姿になったところで彼が言いました。
「綺麗だな……」
「え、あの、恥ずかしいです……」
恥ずかしさのあまり俯いていると、彼の手が伸びてきます。
そしてそのまま押し倒されてしまいました。
(あっ、ダメ……)
抵抗する間もなく唇を奪われてしまいます。
最初は軽いキスでしたが次第に激しさを増していき、最後には舌まで入れられてしまいました。
(うぅ、苦しいよぉ……)
と心の中で思いながらも受け入れてしまっている自分がいて戸惑ってしまいます。
ようやく解放された時にはもう息も絶え絶えといった状態でした。
そんな私に対して彼は平然としています。
「俺が身体を洗ってあげるよ」
「え、いや、自分でできますから!」
慌てて断ると彼は残念そうにしながらも引き下がってくれました。
(助かった……)
ホッと胸を撫で下ろす私でしたが、次の瞬間には再び抱きしめられていました。
そして今度は首筋を舐められてゾクッとした感覚に襲われてしまいます。
(ひゃうっ!)
思わず声が出てしまいそうになるのを必死で抑えていると、
今度は耳に息を吹きかけられたり甘噛みされたりしました。
「ふわぁ」
と情けない声を出してしまう私に構わず、執拗に攻め立てられてしまいます。
もう限界だと感じたその時、ようやく解放してもらえましたが、
その時にはもう完全に蕩けてしまっていたと思います。
その後、彼と向かい合って座り、お互いに洗いっこすることにしました。
私が彼の背中を流していると、彼も私の背中を流し始めました。
何だかくすぐったい感じがしますが、不思議と嫌な気分ではありません。
むしろ心地良さすら感じるほどでした。
やがてそれも終わり、湯船に浸かって一息ついていると、不意に名前を呼ばれました。
顔を上げると目の前に彼の顔があり、キスをされてしまいました。
最初は軽く触れるだけのキスだったのですが、徐々に激しくなっていき、
最終的には舌を絡め合う濃厚なものとなってしまいました。
戸惑いながらも受け入れていた私は、いつの間にか夢中になってしまっていました。
しばらくして唇が離れる頃にはすっかり息が上がってしまい、ボーっとしてしまっていました。
そんな私を彼は優しく抱きしめてくれたので、安心して身を委ねることができました。
それからしばらく抱き合っていたのですが、不意に彼がこんなことを言い出しました。
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