第4話 彼が大好きな私
(今日も楽しかったなぁ)
と思いながら帰り支度をしていると、彼からLINEが入ったので確認すると、
「まだ会社ですか? もしよかったら飲みに行きませんか?」
という内容だったので迷わず了承しました。
待ち合わせ場所に行くと既に彼が待っていましたので、挨拶をしてから一緒にお店へ向かいました。
その後暫く雑談をしながら食事を楽しみました。
(やっぱり楽しい人だなこの人とは!)
そう思うとますます好きになってしまいます。
私は幸せを感じながら帰路につきました。
それから家に着いてからも気分が良かったものですからつい鼻歌を歌ってしまいましたが、
それを彼に聞かれてしまい恥ずかしさで顔が赤くなるのを感じつつも笑顔で、
応えてくれましたのでホッとすると同時に嬉しさが込み上げてきました。
翌朝もまた同じ時間を過ごしたわけなのですけれども、これがなかなか良いものだったんです。
というのも、朝起きてから朝食までの短い時間に何度も何度も
キスをしたり抱きしめ合ったりしていたからなのかもしれません。
「もう、会社遅刻しちゃいますよ?」
と言いながらも私も彼との時間を楽しみたいという気持ちが強かったので、
素直に受け入れることにしました。
それからしばらく愛を確かめ合った後で別々に家を出てそれぞれの職場へ向かいました。
もちろん出勤後も昨日のことが忘れられずついつい口元が緩んでしまいましたが、
すぐに意識して仕事モードに切り替えるようにして対応に努めることで何とか乗り切ることができました。
しかし、それでも昼休みになるとふとした瞬間に彼の顔を思い浮かべてしまい、
寂しさを感じてしまうことがあります。
でも今はこうして。彼が支えてくれていることもありますから我慢しなくちゃいけません。
(よし頑張ろう!)
と心の中で呟いて気合いを入れ直しつつ午後の仕事に取り掛かることにしました。
その後は定時を迎えるまでいつも通りに仕事をしていたのですが、
いつ彼から連絡が来るのだろうと思い、ついついスマートフォンを手にとって確認してしまう自分がいました。
それでも時間が経つにつれて落ち着かなくなり始めてきたので、
帰る準備を進めてから退社することにしましたが、最寄り駅に着いた頃には
既に夜遅くなっており外はもう真っ暗になっていました。
家に帰る途中コンビニで飲み物やお菓子を買った後に帰宅するといつものように夕食を作り始めたのですけれど、
今日に限ってなぜか何を食べても美味しく感じません。
でもちゃんと食べ切ったあたり律儀だなと思いました。
そして、シャワーを浴びた後はベッドの上に倒れ込んでボーッとしてると次第に眠気が襲ってきてそのまま眠ってしまったようです。
次の日目を覚ますとお昼前だったので慌てて、身支度を整えて出掛ける準備を済ませましたらすぐに家を出ました。
会社に到着するとすぐに仕事に取り掛かろうと思いましたが、他のことが全く頭に入って来ませんでした。
(早く会いたいなぁ)
と思っていたところ彼からLINEが入ってきましたので嬉しくて飛び上がりそうになりました。
内容は、今日の夜また一緒に食事でもしようというものでした。
(やったぁ!)
心の中でガッツポーズを決めつつ大きく返事をしてしまいました。
その後はパソコンに向かって作業を始めたのですが、昨日までと比べて集中できている自分に驚きを隠せませんでした。
普段はずっと仕事のことを考えていて手が止まることも多かったんですけど、今日は不思議と捗っていたんです。
それで気分が良くなって気がついたらお昼になっておりましたから慌てて、
ご飯を買いに行こうと思ったら私のお腹が大きな音を立てましたので苦笑しつつ、
恥ずかしさを覚えながら近くのコンビニへ急ぎました。
「いらっしゃいませ〜!」
元気な店員さんの声が出迎えてくれましたので、早速お弁当を選ぶことにしました。
今日の献立は何にしようかなぁと考えていましたが、結局無難に焼肉弁当にする事にしたのです。
会計を済ませると外に出る前に一度トイレを済ませてからお店を出ましたのでその後は特に問題なく仕事に戻りました。
午後からの仕事も比較的スムーズに進み、予定通りの時間で終えることが出来たのは嬉しかったです。
その後、私は彼とお食事をする為に待ち合わせ場所へ向かっているのです。
「お待たせしました」
私が到着すると既に彼は来ていましたので、お互いに挨拶を済ませてから近くのレストランへと向かいました。
その後注文した料理を食べ終えてからの話題は彼の仕事についてでした。
どんな仕事をしているのか、どのような部署に所属しているかなど多岐に渡る内容でしたが、
特に興味があったのは会社への愛着です。
彼が取り組んできたキャリアやそれによって築いてきた信頼度について熱く語る姿につい聴き入ってしまいました。
(素敵だなこの人……)
心の中でそう思いながら見つめていると、不意に目が合いそうになって思わず逸らしてしまいましたが、
きっと私の表情にまで出てしまっていたかもしれません。
それから暫くの間は沈黙が続いた後、突然彼からの提案がありました。
「もし良かったら、今度お食事でも一緒に如何ですか? 予算は、自分で立てますから」
その提案を受けて私はもちろん快諾しました。
それに彼と一緒に食事をする機会というのは今まであまりありませんでしたのでとても楽しみでした。
彼と約束を取り交わした翌日からというもの私は念入りに下調べをしたり服装を決めるのに奔走することになりました。
そして当日になり、待ち合わせ場所へ向かうと既に彼が待っておりました。
緊張で心臓が爆発しそうになりながらも平静を装って挨拶を交わしました。
それから予約していたレストランに入り談笑しながら食事を楽しんでいましたが、正直味など全然分かりませんでしたし、
会話の内容すら頭に入ってきてませんでした。
それでも彼のことを意識している自分がいたのです。
彼が、こちらを見ている気配を感じる度に胸が高鳴りますし目が合うだけでドキッとしてしまいますから、
(あぁもう! どうしたというのよ、私は!)
(こんな初心な反応したくなかったのに)
と心の中で思いながらも表情だけは崩さないように必死に耐えていました。
最後にはデザートで締め括りましたが、その間もずっと幸せに包まれていましたから十分すぎるほどに満足していました。
レストランを出ると外は既に暗くなってきており、少し肌寒さを覚えていたのですが彼は気にすることなく手を差し出して来てくれました。
私もそれに応えるように握り返して歩き始めたところで異変に気づきました。
(あれ? 手が震えてる? どうしてだろう?)
今まで感じたことのない感覚だったので不安に思っておりましたが、そんな私の様子を察してか彼が話しかけてくれましたので
少しだけ安心することができましたが、やはり指先には力が入りませんし、声は震えていますし
それでも何とか平常心を装いながら答えますけれど、結局誤魔化し切れませんでした。
(ごめんなさい、私は貴方に嘘をつくことしかできない)
そんな自分に嫌気が差してきましたけど、それでも彼は優しく微笑んでくれました。
その優しさに触れる度に涙が溢れそうになってしまいました。
(どうか私の事を嫌いにならないで……)
心の中で何度も何度もそう叫んでいましたが、彼に手を引かれながら歩いていたせいで到着した場所は人気のない公園でした。
そこには、ベンチがありましたので二人で並んで座ることになりました。
そして、彼が肩を抱き寄せてきて密着した体勢になりまして、心臓が激しく高鳴ります。
鼓動の早さは、留まることを知らず今にも破裂しそうでした。
身体が火照る感覚に戸惑いながらも、必死に平静を装おうとしたのですがやはり無理でした。
不意にキスをされた事で理性が崩れ去ってしまい、そのまま最後まで致すことになってしまいましたけれど、
後悔は全くありませんでしたし、寧ろ幸せだとさえ思っておりますから当然の結果と言えましょう。
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