第7話 憧れのあれ
「ゲホッ! ゲホッ!」
生きてる?
し、城が……。
城が半壊してた。
地面も陥没。
大災害。
「ボス?! 無事ですか?」
「うん。なんか、大丈夫みたい」
フォルストも無事で良かっ……。
って! フォルストさん?! 服着てないじゃん!
んあっ?!
僕も着てないし!!
「なんで!?」
「ボ、ボスぅ、い、痛かったです」
ウニタスも服を着てなかった。真っ白な肌が露わになっている。
「さすがに、服は回復しませんからね。こちらをどうぞ」
フォルストがそう言って僕に手を翳す。
なんか、あったかい。
「すごっ! 魔法ってなんでもできるんだね」
真っ黒な衣が僕を包んだ。
それにしても、前から思ってたけど、黒って悪党みたいだから嫌だなー!
赤とか、白とか、赤とか! 赤レン……。
前にフォルストに赤がいいって言ったらイメージダウンになるからダメだと言われた。
意味わからん。
ウニタス達も黒い布に纏われてる。まるで悪の組織みたい。
というわけで、巨大爆発から生き残ったのは、僕とその手下。
なんで弱い僕が生き残れたのか?
それは、ヨセフ君がかなり頑丈だからである。
彼は手下も居て、そして僕と違って強いらしい。
悪党は木っ端微塵になっていた。
正義のヒーローここに誕生である。
「ボス。なぜあの魔法を使ったのですか? ボスのような方が使えばどうなるか、分かりますか?」
「ごめん」
「やりすぎです! 城をご覧になってください!」
「ごめん」
フォルストの説教を聴きながら、僕は勝手に回想シーンに入った。
力が欲しかった。
人を助けることのできる力が。
そして、異世界転生を果たした僕は、魔力を手に入れた!
たぶん魔力!
あれだよ、手を空中に翳して念じるやつ。
誰もが一回は夢見たやつ。
僕、中学生くらいまでそれやってた。
下手したら高校までやってたかも?
なんか、ヤンキーとかにボコられた時に、手を翳してファイアボール! とか叫んでた気がする。黒歴史。
だけど、そんな夢がこっちで叶った。
空中に手を翳して呪文的なのを唱える。
そうすれば、手から閃光が放たれる。
いや〜、かっこいい!
ちょっともう一回やってみたい。
なにも唱えなければ発動しないでしょ?
てことで、やりたい衝動を抑えられないので空中に手を翳した。
目の前にはフォルスト。
青い瞳で僕を見ている。
「ボス? 聞いてますか? ……なにを?」
「あ、いや、ちょっと……」
僕は長いお説教が早く終わればいいのになーって感じで、脳内で魔法をフォルストに放ってみた。
「あ?」
そしたら、本当に出た。
「ご、ごめん!」
僕は光り輝くフォルストに一生懸命謝った。
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