第6話 なにそれ? 僕もやりたい!!

「なんだこれは?」


 かなり長い道のりを頑張って走って辿り着いたその場所。


 なにせ、城はでかいから。


 そこには、血に塗れた手下がいた。


 ごめん、名前覚えてない。


 でも、可愛いよ。


 僕はその手下を抱き上げて聞いてみた。


「大丈夫かぁあ!?」


「……う……ボス。西の門が……、奴らに……、結界が……」


 バタリ、と僕に伸ばしていた手が落ちた。


「なんとかーー!!」


 名前分かんないから。


 てことで、僕はその西の門とやらに向かった。


 結界が、とか言ってたっけ?


 ヨセフ君。しっかりしたまえ。


 僕なんだけどね。


 で、しばらく歩いてやっと着いたら。


「ふ、フォルスト……。なんだそれ?」


 フォルストが居た。


 それと、剣を持って鎧を着た男達。


 なんかすげー戦ってる!


 すごい!


 フォルストは手からなんかすごいもの出してた。


 光り輝くその閃光。


 ま、まさか! あれは、魔法か?


 あれは、いわゆる魔法と呼ばれるものだな?


 え、すごい。いいな。僕もやりたい。


 フォルストの放つ閃光が敵に直撃。


 敵は真っ二つに割れた。


 いやん。意外と残酷なのね、フォルストさん。


「ボ、ボス?! な、なぜここにいるんですか?」


 見るとウニタスだった。


 可愛い顔で僕を見てる。まるでチワワだ。


 ん?


「ウニタス?! お前もか?! なぜ秘密にしていた! 僕だけ仲間はずれかっ?!」


「ボ、ボス?」


 ウニタスも光り輝く閃光を放っている。


 よく見たらここにいる奴みんな使ってる。


 光が飛び交っている。


 悪党と戦う、フォルストとウニタス。そして、その他名前の知らない手下達。


 その姿は、まるで正義のヒーローだった。


 僕も混ざりたい。


 よし。


「こんな感じだな?」


「ボ、ボス? ま、まさか……」


 手下が魔法を使えるのならば、ボスが使えない筈ない。


 僕もウニタスみたいに手を悪党に翳してみた。なんか、かっこいいと思うよ今の僕。


 ……それから、言う!!!


 できなかったら、ちょっと恥ずかしいけど、その時はウニタスに殺してもらおう!


 いくぞ!


「デスヴィシャス!!!」


 ウニタスが言ってた呪文を唱えてみた。


「ボ、ボス?!」


 ウニタスがなんか言ってる。


 ま、いいや。


 それより、


「うおーー!!! すげーー!!」


 魔法だ、魔法!!


 僕は魔法を手に入れた!


 僕の掌から、光り輝く閃光が伸びている。


 どっちかっていうと、なんか黒いんだけどね。


 正義のヒーローぽくないから、無視しとく。


 敵を襲い、血が巻き起こる。


 手下達が僕を見てる!


 何その顔?


「え? あれ? なんか、止まんない」


 魔法が止まらない。これどうやって消すの?


 このままだと、全部崩壊しちゃうよ。


 フォルストと目が合った。


 やっぱり、怖い。


「ボス? なぜここにいるのですか?」


「え、ごめん」


 光が広がる。視界が眩しい。


「あ? やべ。どうしよフォル──」


「だから待っていてくださいと言ったのにぃぃいいいーーーー!!」


 どんどん光は膨れ上がり、そして辺りを包んで爆発した。

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