入学式 2

 朝のホームルームが終わって、私たちは入学式のために教室から移動する。胸に新入生のしるしの黄色いリボンをつけて、準備はばっちり。

 体育館の前には新入生たちの長い列ができていて、列の前のほうは初等部の新入生たちが、後ろのほうに私たち中等部の新入生が、2列でならんで、体育館に入るのを待っている。

 ちなみに私のとなりにいるのは……

「ここでもとなり同士だなんてな」

 ほだかくんが、私に言ってくる。

「まあ、教室の席どおりにならんでくださいって言われたから」

「たまたまじゃないんだな」

「だね」

 やがて体育館の中から、新入生の入場です、拍手でむかえてください、というアナウンスが聞こえてきた。初等部の新入生たちが体育館の中に入っていく。私もどきどきしてきた。

「やば、ちょっと緊張してきた」

「親に見られるんだよね。ちょっとはずかしいかも」

 私の近くの子もそわそわし始める。楽しそうに笑っているけど。

 でもとなりのほだかくんは、堂々としている。ぜんぜん緊張しているようには見えない。

 私もちゃんとしなきゃだめな気がしてきた。

 初等部の新入生たちの入場が終わって、私たちの入場が始まる。

 体育館に入ると、ものすごい大きな拍手の音と、立派な音楽に包まれた。新入生の保護者や初等部の後輩、中等部の先輩、あとこの学校の先生たちが、私たちに注目して拍手をしている。

 音楽を奏でているのは、この学校の吹奏楽部の人たちだ。

顧問の音楽の先生が指揮棒をふり、きれいな音色を奏でている。聞いていると心地よくて、緊張がほぐれていく。金管楽器がかがやいていて、まぶしい。

 すごいな、あの人たち。

 入学式やいろんな学校行事で、吹奏楽部は演奏を披露してくれる。そのたびにあこがれて、中等部に入ったら吹奏楽部に入ろうって決めたんだけど……

「あいがいた」

 ほだかくんがつぶやいた。

「私も見つけたよ」

 あいちゃん、初等部3年生の子たちが座っているところで手をふっていた。

「もうみんなになじんでる。最初の自己紹介、うまくいったんだね」

「そうだな。安心安心」

 私とほだかくんは、あいちゃんに手をふる。

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