手をつないだ兄妹 3
そんなわけで、私たちは星川学園に着いた。校門には『星川学園初等部中等部 入学式』と書かれた看板が立てられていた。そこの前で、初等部の新しく入学した1年生が親に写真をとってもらったりしている。みんなかわいく笑っていて、私も見とれてしまいそうになるけど、今はほだかくんとあいちゃんがいるからガマンだ。
私たちは学校に入っていく。
「校舎、おしゃれ」
ふたつならんでいる校舎を見たあいちゃんが、目をかがやかせた。どちらも白いかべがきれいで、みどりの三角屋根に時計塔がついている。
「おしゃれでしょ。星川学園にようこそ」
「歓迎、どうもありがとう。じゃ、あいは職員室に行こうか。担任の先生のところに行かないとだし。ええっと、初等部の校舎って、どっちだっけ」
初等部と中等部、ほとんど同じ形の建物だからややこしいんだよね。私が初等部にいたころ、中等部の子がまちがえて初等部の校舎に来ることもあったし。
「右の建物だよ。私も職員室までいっしょに行ってあげる」
「よかったー。ちょっと緊張してたから」
あいちゃん、そう言っているわりにはずっとにこにこして楽しそうだったけど。
「大丈夫だよ。あいならこの学校でうまくやれるって」
ほだかくん、そう言ってあいちゃんの頭をなでなでしている。
「兄さんもうまくやれるよ。あと、後でちゃんと職員室行くんだよ。にゅーぶとどけ、出すんでしょ」
「入部届?」
あいちゃんの言葉に、私はきょとんとなる。
「うん、担任の先生にあいさつするついでに出すんだ」
ということは、ほだかくんはもう部活決めているんだ。
「ちなみに何部?」
「吹奏楽部。入部第1号はいただき」
ほだかくんはドヤ顔で、学校指定のかばんから紙を取り出した。
入部届だ。保護者氏名のところにも親の名前が書かれていて、ハンコも押されている。あとは学校に出すだけだ。
私の入部届は、お母さんにやぶられたのに。
「……そうなんだ。吹奏楽部、いいね」
私も入りたかったのに、というのは言えないけど。
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