手をつないだ兄妹 2
私はふたりといっしょに学校に向かうことにした。
「ありがとう、引っ越したばかりでこの街のことよく知らないし、通学路も不安だったから」
男の子がお礼を言ってくる。女の子と手をつないでいた。守ろうとしているみたいで、ちょっとかっこいい。
「いいの。私、七川音美。星川学園には初等部から通っているの」
歩きながら自己紹介する。
「オレ、鈴森ほだか」
「私と同じ1年生だよね? 説明会では見かけなかったけど」
「こっちに来るの、急に決まったんだ。説明会も個別だったし」
「だから初めましてなんだね。こっちに来ることになったのは、親の仕事とか?」
「まあ、そんなとこ。で、こっちは妹の」
「あいっていうの」
あいちゃん、はきはきと名前を教えてくれる。やっぱりふたりは兄妹だった。
「へー、あいちゃんっていうんだ。何年生?」
「2ね……まちがえた、3年生」
3年生、ということは、あいちゃんは8歳か。
やっぱり、りっかちゃんが生きていたときと同じ歳だ。
「お兄ちゃん、家を出てさっそくまよったんだよ。学校どっちだっけって」
あいちゃんに言われて、ほだかくんは「うぅ……」ともらした。
「七川がいなかったら、入学式なのにちこくしてたかも。ほんと助かる」
「いいの、学校まではまかせて。ついでに、学校のこともわからなことがあったら聞いてね」
ほだかくんには、この間まで低学年だった妹がいる。私もいろいろお手伝いしたほうがいいよね。
「よかったな、あい。優しいお姉さんがいて」
「うん」
あいちゃんが大きくうなずく。ツインテールがふわりとゆれた。
うれしいときのりっかちゃんみたい。笑顔がかわいい。
「これからよろしく。学校は同じだし、これからたくさん遊ぼうね」
私はあいちゃんに手を差し出す。
「よろしく」
あいちゃんは、すぐに私とあくしゅした。小さいけど温かい手の感触が、本当にりっかちゃんみたい。
「サンキュー。あいの遊び相手、さがしてたんだ」
ほだかくんもいい反応だ。
なんだか、このふたりとは仲良くできそう。まだ入学式前なのに、どんどんわくわくしてくるよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます