第7話 機械化戦

 安い兵士だが、火力は高い。

 敵は、歩兵・携行式の電磁投射式レールライフルや、成形炸薬弾頭のロケット弾を大量に撃ってきた。

 高級な防御装備のない今回のバリアブルでは、上手いこと危険を避け、場合によっては危険を冒して敵を撃滅させるしかない。

 一両の装甲車がレールライフルでど真ん中を撃ち抜かれ、走行不能になったところをロケットでかれる。

 生き残りを防衛するために、他の車輌と兵士たちが展開。こちらも厳重警戒し索敵を開始する。

 友軍企業はあまり良い動きとはいえない、足止めを喰らったわけだ。多少の犠牲は無視して分散すればいいのに、とは思うが持ち場を離れるわけにもなあ。

 敵はおそらく、圧縮空気を噴射して飛翔するバックパック的な装備を使っている。

 ジェットエンジンのような猛烈なスピードでの移動はできないものの、飛行時の音が小さく、方向転換も容易だ。自分もソロ行動のときは使うことが多い装備になる。

小蝿こばえ鬱陶うっとうしい」

 バリアブルの兵装ならば、直撃すれば必殺だ。三〇ミリ機関砲で迂闊に飛んだ一人を粉砕。仕留めた。やはり、圧縮空気型の飛行装置か。

 前から後ろへ横殴りの死の雨、徹甲のレールライフル弾が降るのでビルに回避。

 距離や位置取り的に、何層ものコンクリートビルを貫くほどの威力ではないらしい。

 お互いに戦力はほぼ割れているので、相手はこちらに損害を可能な限り与えて逃げる、ということにしたいのだろう。遠方から砲撃や空爆の類もないはずだ。

「十人を超えるくらいか」

「まだ隠れている可能性も大きいが、警戒と応戦をし続けろ」

 他のバリアブルに乗った傭兵や社員は、状況を判断すべく無線――ボイスチャットVCを入れる。

 何人キルしても定額のお仕事だから、バレない程度に手を抜きたいものだけどね。

 レールライフル弾が僕の乗るバリアブルに当たり、左腕部を持っていかれる。

 強制的な、パッシブ軽量化に成功、嘘だが。

 ナナイトで復元するのは難しいし、撤退の意図もないようなので、そのまま戦い続ける。

「そこの今、被弾した奴!! せいぜいおとりになってくれ!!」と散々な言われようだ。

「了解」

 まあ、企業とは仲良くやったほうが良い。

 残る武装を乱射しながら(武器を持った右腕が射抜かれなくて、本当に幸運だった!!)、戦線をぶっちぎりで駆け抜ける。

 ずったずたになる、僕のバリアブル。操縦席のコアが粉砕される前に脱出することもでできるが、あえて粘ってみた。

 その辺で応援部隊が駆けつけ、敵兵は撤退。そして追いかける友軍企業の犬たち。

 僕の機体は、ありふれた戦場、その瞬間そ切り取った、超短時間だけ残るオブジェとなった。すぐにでも、現地部隊がナナイトに変換するだろう。

 生き残った僕が機体から強制脱出すると、画面のスクリーンショットを撮影した。

  三人称モードで自分とボロボロのバリアブルを何回か、パシャリ、パシャリと。

 後で、機密に触れない程度に顛末を自分のブログにでも書いて、この画像と共に載せておこう。

 気分は、戦場カメラマンだ。

 ありふれ過ぎた、写真ピクチャだろうけど。

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