第6話 バリアブル・パトロール

 先ほどの小競り合いでは、一進一退の攻防、消耗戦が続いているようだ。

 よくやるなあ。

 僕個人の感想としては、早めに撤退して正解だった。大した給料Gも出ていないし。

 報酬額から仕事を選び、次の戦争はバリアブルに乗って作戦を行うことになった。

 雇い主の市街地の手前まで、ポッドストライク。

 僕は発煙筒を炊いて5分と少し待つと、輸送ヘリが迎えに来た。襲撃もなく、移動を完了する。

 移動中に再三、話を聞いた。

 今回は、有人機動兵器・バリアブルで戦うことになった。報酬はそれなりのG。

 バリアブルが破壊されても、特に損害請求などはされない。こちらとしても、何かを支払う気はさらさらないが。

 今回用意されたバリアブルは、二本の鳥のような逆関節のロボット兵器で、丸みを帯びた生物的なフォルムがやや、禍々まがまがしい機体だった。

 全高で6メートルほどの、比較的小型に近い中型機。

 武装は使い慣れた形式に近い、三〇ミリ機関砲(歩兵のアサルトライフルに近い)と右肩にミサイルランチャー・ユニットを装備。それ以上は予算と信用問題で認められない、と来た。

 まあ、重装備できるからといって、機体が鈍重になるのも嫌だし、いいか。

……カラーリングはデフォルトでいいや。飾り付けには全く興味がない。

 友軍の拠点は、コンクリート・ジャングルの都市部に要塞よろしく整い、配置された軍事基地。

 プレイヤー・クローン(肉体)の培養装置もあり、衛星軌道ポッドを介さずに『社員』は即リスポーンが可能だ。

 普段は稼働させず、防衛作戦のときなどにナナイトを大きく消費して動かすものになる。

 最近は敵対組織やその雇われから、ヒット&アウェイ――一撃離脱的なチクチクとした攻撃を執拗に受け続けているため、交代制の見張りを常時、用意したかったらしい。

 その要員の一人が僕、というわけだ。

 他のバリアブル、歩兵や装甲化車両と共に、パトロールを開始する。

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