第3話 戦争経済、進軍開始

 Gゴールドを稼ぐこと、それがこのゲームの大きな目的の一つだ。

 Gの使い道は、ナナイトに引き換える(それによる装備群への変換・入手)、

 見た目を変えるスキン系アイテムの購入、

 運営に寄付することで、そのリアルマネー換算分が慈善団体への寄付金となる、などいろいろだ。

 さて、作戦は進行中だ。

 友軍企業の本勢力が、車両やロボット兵器『バリアブル』を駆使して戦線を押し進めている。

 戦車を盾にしつつ進軍。八〇ミリ電磁レール砲塔キャノンから砲弾が発射され、敵戦車を遠方から狙撃、戦車上部に取り付けられたミサイルポッドから多目的マルチミサイルの総攻撃で、敵バリアブルが粉砕される。戦いで経済が動いている感覚が、正直たまらないが、内心の自由だ。

 地上戦力、その表層を剥がし、撃滅した。

 森林部の奥地、未知の敵主戦力へと迫る前に追加で敵性ヘリが飛行する。

 兵員輸送と攻撃能力の両方を併せ持つ、やや高価な機体になる。

 地上部隊の一掃でミサイルの多くは撃ち切っただろうから、こちらがナナイトを使って歩兵携行式のマルチ・ミサイルランチャーを生成する。

 生成、構え、照準合わせ、完了。発射。

 一連の流れはスムーズで、ヘリはフレアとチャフといった燃え盛る火花――欺瞞ぎまん装置を撒き散らしながら横に慌てて動いていき、その有効時間が切れたところで、追撃の二発目のミサイルがどこからか着弾、墜落する。中身の兵士ごと、おじゃんだろう。

 いくつか撃ち漏らしたヘリが森の中へと着陸し、敵の兵士が動いていく。

 戦線が完全に立て直される前に、友軍の上層部は攻め込むことを決めたらしい。

 最低限程度の進軍指示が開示・表明されたので、自分も戦車に随伴して進んでいく。

 途中、戦車がいていった死体、敵歩兵の残骸から、手早くナナイトを回収。

 味方の歩兵は、半数よりだいぶ多くが生き残っているようである。優秀、優秀。

 推進装置ブースターを吹かしたバリアブル部隊が見える限りで八機ほど、森へと侵攻し、火の手が上がる。

 バリアブルは混戦の要であり、自分ら末端にとっても重要な戦力であると同時に、良いおとりにもなってくれる。

 最前線に生身の兵士や最小サイズのバリアブルに搭乗した何人か陣取っているようだ。

 銃砲撃が来る。軽機関銃で応戦。飛び散る薬莢、銃身から飛び出す七.六二ミリのライフル弾。

 ようやく、森林の中へと到達する。

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