第2話 第X回、北部間・恒常戦争

 AIによりコントロール権が奪われ、WEDの世界――惑星は封鎖されている。

 宇宙に行くことが許されているのは、例外として設定されているプレイヤーたちだ。それも、死んでリスポーンする前にポッドに強制的に収容されているというだけ。

 衛星軌道上から射出されて大気圏を突っ切り、培養ポッドが着弾した先は、大陸北部のプレイヤー戦争の地帯。

 エリア環境的に、防寒具を着ないと簡単に体力――体力調整用のナノマシン(後述のナナイトとは区別してこう呼ばれることがある)も――が減っていき、すぐにリスポーンを待つ身となる。

 死んだ際の所持品は、その全部が消滅し、電子・クレジット通貨のGゴールドだけが残るのみ。

 なかなかにデス・ペナルティがシビアだ。

 全ての装備品の原材料となるナノマシンナナイトも例外ではないので、こまめな高空への打ち上げによるゴールド化は重要だ。

 ナナイトの集まりであるナナイトプレートは、指定の操作をすることで上空への打ち上げができる。

 設定上は、惑星封鎖AIがGで買い取っている、ということらしい。

 ナナイトは余らせて重量制限を越えても仕方がないものの、あらゆる装備(防具や武器、乗り物などだ)に変わるために、保有重量は工夫していく必要がある。

 僕の手には、軽機関銃LMG(ライトマシンガン)が収まっている。装弾数は一弾倉に付き一〇〇発。予備は今のところ二弾倉。

 そのスコープ倍率は現在八倍と、比較的高めに設定してある。中距離前後の交戦距離を想定し、悪く言えば器用貧乏なアタッチメント構成だ。

 反動制御を重視しているために取り回しは悪いが、そもそも長物のライトマシンガンにそんなものは求めていない。

 さて、戦争だ。

 七.六二ミリ×三九ミリ弾を数百メートルの距離から指切りで発砲していく。

 ぽつぽつと樹木がある程度の平原で、敵地はさらに平原。向こう側の奥は森林地帯となっており、長い間敵の侵攻を阻んできた天然の要塞らしい。

 この森林へと、攻め込む必要がある。

 重要な拠点を一つでも破壊すれば大戦果だが、お互いの戦力は良く見積もっても拮抗している程度。

 今回は効率よく兵器が作れる施設、敵の兵器生成プラントの破壊が目的、となっている。

 プレイヤーは倒しても一定時間の経過で戦線復帰リスポーンができ、Gを支払えば時短や、即座のリスポーンが可能だ。またポッドで射出されてくる。

 お互いの支援砲火が飛び交い、命が使い捨ての消耗品として消費されていく。

「いいぞ」まあ、ゲームだし?









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