第四話 『選択 遺跡へと向かう 冒険者ファトゥス達side』
カリスが目覚める前日の昼 冒険者ファトゥス視点
領主様がいたのは別邸のある村のマナーハウスという所だった。
何故この村に?と言うと冒険者と面会する際はこちらが主にしてるかららしい。
それでもコチラもこちらで豪華なところで貴族らしい雰囲気の部屋だ。
こんな所で貴族と面会できるとは自分たちはなんて素晴らしいのだろう!輝かしい英雄譚の1ページとなるだろう!
俺たちはそんな事を話し合っていると領主様は1人の神官を伴って部屋に入って豪華な椅子に深く座り俺たちを睥睨する。
「お前たちが、冒険者ギルドからのきた冒険者か」
「はい、俺はファトゥスで、この2人が俺の仲間です!」
「仲間のイディオだ」
「
「領主様の依頼に基づき参上しました!」
「……この村の領主をしているワイズと申す。彼は今回の依頼の立会人の司祭だ。」
「し、司祭」
うげ、という声がアフマクから聞こえた気がしたが、司祭は静かに冷淡に俺たちを眺めている。
何があったかは知らないがとりあえず話を進める為に、シワが刻み込まれていながらも威厳のある風貌の領主様に尋ねる。
「して領主様、依頼というのは?」
「その前に聞きたい事があるが、いいか?」
「は、なにをでしょう?」
「武器はどうした?」
腰に佩いていた鞘を見つめる領主様の目は冷たい。
なぜか心の奥底まで見透かされているかのような気さえしてくる。
(しまった、あの
「え、えーっとですね」
「も、森の方で巡回してたら魔物に襲われてしまって!」
「そ、そうそう!それで
アフマクの援護射撃によってそれに続くような言い訳を咄嗟に口から出まかせで言う。
「大変だったなファトゥス!あの魔物は!」
イディオも慌てたように支援する。
「……それで、その魔物は?」
「も、森の奥に逃げていきました!俺たちは武器が無かったので深追いはしませんでした!」
司祭の目は疑わしそうに光るが、領主様に進言をした。
「……領主様、今は依頼の話をしましょう」
「……いいだろう、いつからかだが」
領主様は蛇のような目で俺たちを見ながら今回の依頼について話した。
どうやらアンデッド系やスピリット系と言った魔物が村周辺に出たらしく、狩りに出かけていた猟師や商人達が被害を受けたそうだ。
このままでは沢山の領民達が危害に遭い死亡する可能性がある為最近知名度を上げてきた俺たちに急遽依頼をしたそうだ。
「急を要する、装備を整えてすぐにでもやってくれるか。」
「は、はい!では、し、失礼します!」
仲間達と共に逃げるように退室した。
隣の領主様の領土にある宿屋に一度戻り作戦会議をする事にした。
旅人用のベッドが4個置かれた質素な部屋でベッドに座り込んで話し合う。
「おい、あの奴隷が生きてたらどうすんだ?」
「あの傷でか?」
「まさか、アンデッドにでもなってたらファトゥス様の剣で一撃ですわ!」
「よ、よし、そうだな。よし、ならさっさと依頼を終わらせよう。」
「そういや、この依頼による被害の原因は分かるか?」
「恐らくですけど、森の奥にある遺跡かと……」
「遺跡?何で知ってるんだ?」
「ちょっと昔に、あの司祭に修行で連れられた所でしたの。スピリットやアンデッドが蔓延ってるなら恐らくは」
「そういえばあの司祭を見てお前嫌な声出してたよな」
「結構、その修行がキツくて……妹弟子は今でもいるでしょうけど」
「遺跡までの道わかるか?」
「もう昔の話ですけど、何とか」
「その妹弟子とやらに案内させちゃあ駄目なのか?」
「頼むんですの?」
イディオの言葉にアフマクは嫌そうな表情をする。
どうやらあまりいい思い出は無いようだ。
「いや、バレる前にサッサと行こう。それで報酬貰っておさらばだ!」
俺たちはその言葉で頷き合う。
そうして、村の武器屋で銀貨数枚で買える
その際通り過ぎる人たちからは怪訝そうな表情で俺たちを眺めていた。
深い森の中、複雑に入り組んだ分岐する道の上にいた。
アフマクは辺りを見まわし道を眺め観察してその内の真っ直ぐに延びる道を指して言った。
「確か、この道を進めば遺跡へと行けるはずですわ」
「みた感じ罠は無え見てぇだな」
「よし、行くぞ」
幾つかの重量のある背嚢を背負い、長剣の柄を握りしめる。
イディオは地面を観察して罠や獣、魔物の足跡などが無いかを観察する。
アフマクは道を先導しながら怯えながらも進んでいく。
しばらく進んでいるともう日が傾いていたからなのか、どんどんと視界が薄暗くなっていく。
暗闇の中進む全ての茂みに魔物が潜んでいるのではないか、もしもあのダークエルフが生きていたら今度はと剣を握り締める力が強くなる。
そんな時、アフマクが悲鳴をあげた
「キャアーーー!!!!」
その声に固まり困惑してアフマクを見ると大量の死体が吊り下げられているのが
『██████!!!』
その声を合図にした暗緑色の皮膚の小柄な体躯をした薄気味の悪い笑顔を浮かべた
「
「ただのゴブリンだ!さっさとやるぞ!」
数十分かけて小鬼達を何とか撃退したが、それからも小鬼達が仕掛けたと思われる罠や襲撃を潜り抜けてようやく遺跡へとたどり着いた。
かなりの疲労を強いられた俺たちは一度休憩してから行く事にした。
もう森の隙間から見える空は星空が広がっていた。
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