このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(295文字)
若くして遠く故郷を離れ、東京へ、そして海外へ昭和一桁生まれの両親を持つ人に多い人生かと思います故郷への郷愁と自身の人生のはざまで揺れ動く心情が言葉の端々ににじみ出ています私の親も世界中どこにいても週に一度は電話をかけてきていました、家内は嫌だったと思いますがそんなに心配なら近くに来ればいいのにと思いましたが、結局両親は故郷から一歩も外へ出ませんでした
「島人われは 〜 亡父に思う 〜」は、愛媛の島々に生きた父とその息子の思いが綴られています。父の島への愛情と教育への情熱が伝わり、次第に引き込まれていきました。退職後の父の晴耕雨読の生活に触れ、息子の自由な冒険心と父の理想の対比が描かれています。私たち読者は、父子の深い絆と島の美しい風景に共感することでしょう。この作品を通じて、家族の絆や人生の価値を再確認できることでしょう。
昭和ひとけた、と言われて、ピンときますか。昭和9年までに生まれた人、という意味です。「明治・大正の伝統的価値観を受け継ぎつつも、戦後日本の民主主義構築の一翼を担うという高邁な理想に忠実に生きた人」であり、愛媛の、教師でもありました。あたたかな、父でもありました。そんな、父と子の、物語。親子の真心が伝わってきて、好きなエッセイでした。