第1話4 コエと出会い3
私の自室となったのは2階の奥の南向きの部屋。
初夏の涼しい風が窓から吹き抜け、太陽の香りに包まれた優しい部屋。
名目上は療養になっていたからなのか、ゆっくりと過ごすことをみんなが考えてくれているのがわかる。
ある日を境に急に引きこもり、家族以外とは話さなくなった娘を純粋に心配してくれた。
部屋の窓から顔出して空を見上げる。
『ニーナ様ばっかりずるい』
「はぁ。また、私はずるいのかな。」
私自身から聞こえてくる、私の声は聞き慣れた普通の声にしか聞こえない。
でも周りはそう言ってくれない。
「可愛い」
褒め言葉だ。
そして褒め言葉には必ず妬みが待っている。
私は特別なんていらない。傷つかないでいい、普通が欲しかった。
「にしても、この周りの森も敷地だよね。今更だけど、公爵家ってすごいなぁ」
窓の外に広がる緑の森、奥に川も見える。
charm POINT 栞 @sHIorI888
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。charm POINTの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます