第1話2 コエと出会い
半年に一度シャンテイル王国の王妃が開く茶会に呼ばれる。
その場所で前世の記憶を思い出してから一度も公爵家を出ていない。
「もうすぐ王妃様のお茶会がありますけど、ニーナちゃんは参加出来る?」
夕食中、母・ルイディナが優しく問いかける。
あれから自宅の屋敷から出ずに本を読んで過ごす私に、母も父も何も言わずに見守ってくれていた。
前世を思い出すまでは、よく母達ついて茶会に行っていた。
「ニーナ、少し王都から離れるかい?エニコフ領地は静かな街がある。そこに療養として学園が始まるまで行っておいで。」
「…いいのですか?」
「あぁ。少しゆっくりとしてくるといい。私たちは仕事もある。
リリィを連れて行っておいで。」
学園が始まるまでの2年間。エニコフ領ウルシに向かう事になった。
馬車で約10日ほどの旅。前世の記憶があるから、飛行機や車を知ってるから、長旅が不便だなぁと感じつつも誰も知らない静かな生活に心を躍られた。
ニーナ・エニコフとして産まれて10年。
エニコフ公爵家の長女で待望の子どもでもあった為母様や父様からは大事に大事に育てて貰った。
その他にも親族たちや、母方は王族の出で王妃様たちにも可愛がられていた。
だから、人から向けられる悪意を忘れていた。
「ニーナ様。見えましたよ。」
同じ馬車で私の世話役をやってくれる、メイドのリリィ。
私の5つ上で小さい頃から私の側にいてくれて、今一番信用している身内。
「広い森だね。リリィはここの街来たことある?」
「いいえ。私も初めてですよ。奥様も旦那様も視察に行かれるの数年に一度なので」
「父様たち忙しいから。」
だから、優しい両親たちに迷惑をかけたくはない。自分の心の深くにあるこの傷と戦わないといけない。
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