charm POINT

第1話1 前世と今世の私

「ニーナ様ばっかりずるいわ」


小さな手から肩を押され、後ろに倒れる。

転ぶ心配より『あ、この感覚知ってる』だった。


「神坂さんはずるい」そう言って肩を押され、公園の石階段から落ちた。

アノトキと同じ風景だった。


アノトキ?


ニーナ・エニコフ

シェンテイル王国 公爵家長女として産まれて6年。

コウエンにも行ったことないはず。


「神坂さん、男子の前だといつも声変わるよね」


「神坂、なーんか可愛いよな」


「ぶりっ子じゃん」


「顔は普通なのに。絶対〇〇の方が可愛いのに」


「神坂さんはずるいよ」


「ニーナ様ばっかりずるい」


あぁ、これが前世の記憶ってやつか。

いつもそうだった。私はいつもそう言われてきた。


だから前世もやめたんだ。人前で話すことを。


変わらない、今世もまた私は、話すことをやめよう。

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