プラスチック爆弾のプラスチックは合成樹脂じゃない
「...」
「...!っし!」
数多の風切り音、捉えるのがやっとの速さで繰り出される拳、この光景だけ倍速で流れているような錯覚さえ起きている。『全てを奪われた本物』対『全てを奪った偽物』...取り返すように、奪うように、その攻防は更に激しさを増している。
...美雨は
「私もいるぞっ!」
美雨の脳天めがけて蹴りをお見舞いする!
「...」
「頭に目でも付いてるのかよ...」
しかし、あっさりと私の奇襲は防がれる。だが、まだまだここから!
「時間は稼いでもらったからな!準備万端なんだよ!―――
私の背後...殺意に塗れた巨大な銃身がその姿を現す...
「!」
瞬間、今まで無表情だった美雨の表情が焦りを見せたような気がした。
「こっからは
―――――――――――ガガガガガガガガガガガガ!
分間約2,000発の弾丸、大勢の敵を掃討するために造られた兵器...そんな兵器がたった一人に牙を向けばどうなるか。答えは一つ、羽虫のように逃げ惑うことしかできない!
「...!」
美雨は全力で射線から外れて反撃を行ってくる!しかし、お札はコントロールを失いあらぬ方向へ飛んでいく。紙一重で回避し続けるがそれも限界...壁際まで追い詰めた。もう選択の余地はない...取れる行動は一つだけ。王手だ!
「死ね!」
そう言って私は
「なっ!」
――――防がれた!?
...美雨の正面には彼女守るように光輝く何かがあった。それは『結界』...弾丸が結界に弾かれている。ここで
「読めてんだよ!リミッター解放!」
「――――――くらえやぁぁぁ!」
約三倍の物量が美雨を襲う!流石に結界も耐えきれないのか段々と罅が入り欠けていく...これで終わり!そう思ったその時...
「...」
「!?」
...油断した!そう思った時にはもう遅い...美雨の拳は眼前まで迫り...
―――――私は笑みを浮かべた。
美雨の拳は私には届かなかった。何もない虚空からの攻撃によって...
「忘れてもらっちゃ困るヨ!」
何もない空間から
「...!」
「返してもらうヨ」
い―――。
最期の一欠片まで灰になり完全にその姿が消えた...消える瞬間、その口が少しだけ動いたように見えた。
「...」
気が付けば少し悲し気な顔をした美雨がそこに立っていた。
「戻ったのか?」
少し自分の手と足を動かし何かを確認した美雨はコクリと頷き...
「「「ボス!」」」
それを見ていた猫といつの間にか目覚めていた
「レニちゃん~まだ何にも解決してないよ~?」
「...そうだったわ」
無線から聞こえた声に私は正気に戻る。...私ここに何しに来たんだっけ?
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