猫に宣戦布告
...かつてこの世界にはいくつもの神が存在した。神々は最初こそ仲良くしていたが次第に関係が悪化していき争いを始めた。長きに渡る争いの果て神々は互いに不干渉条約を締結し自ら指定した土地の範囲で暮らすことにした。こうして世界に平和が訪れた...はずだった。とある神が自分の小さな分身を作り侵略行為を行ったのである。そう、神々は互いに不干渉。意志を持った勝手に動く
平和な世界の裏で神々の代理戦争は続いていた――――。
「やあ、お疲れ様。」
執務室に入るとニタニタとこちらを見て薄気味悪い笑みを浮かべるムカつく女が机に腰掛けていた。ムカつく顔...とはいえ、認めるのは癪だが容姿端麗とはこのことを言うのではないかと思うくらいには整った顔立ちで紫色の髪も彼女の美しさを引き立てている。これで性格さえマシならきっとファンも多かっただろうに。
「ガランサスくん、今とても失礼なことを考えていなかったかな?」
「いえ、全然?」
私は今回の一件の報告を行っていた。
「なるほどねぇ、やっぱりあの組織は帝国と繋がってたか。消して正解だったね」
渡した資料を流し読みしながら軽々しくそう言う彼女に私は薄っすら冷汗をかく。そう、彼女は人間の命などどうとも思っていない。
...彼女の名は『ロキ・スイレーン・アーガペイン』。この『クロユリ合衆国』の土地神であり世界で最も危険な神と呼ばれている。本来、神は自らの土地や
「ふむ、報告書も確認した。ありがとう助かったよ。報酬はいつもの口座に振り込んでおくね」
「あぁ」
私達は『神徒仇花』。他の神からの干渉絶ち、平穏を齎す者。そして...
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
仕事を終え一休みしようと私は行きつけの喫茶店を訪れたのはいいのだが...
「何故ここにお前がいる?」
「おや?ユウト様、これはこれは偶然でございますね」
「...白々しいな」
銀髪でメイド服に身を包んだ女性が端の方の目立たない席で座っている。もちろん店員などではない。
「せっかくですから相席などいかかがです?」
「元々その気しかないだろ。後、今の私はガランサスだ」
「失礼いたしました。ガランサス様どうぞこちらへ」
「あぁ」
私は指示された通りの席に座る。
「こちらメニュー表です」
「ありがとう」
そう言ってメニュー表受け取る...一連の動作に何も不自然な所はない。しかし、もう既に受け渡しは完了した。後で読むとしよう。
「さて、調子はどうだ?」
「良くはないですね。」
「なるほどな」
「...どうなさいますか?」
「決まった。一緒に注文するわ」
「かしこまりましたではコーヒーを一つ」
そう言って私は店員を呼んでコーヒー二つとパンを注文する。
「話は変わるが...お前なんでメイド服なの?」
「今更!?完全にスルーされたものだとばかり...」
「まるでメイドキャラですみたいな恰好してるけどお前家事出来ないよね?」
「生まれてこの方、剣術一筋ですわ。あ、レンチンはできます」
「レンチンは料理じゃねぇ。後、お前が得意なの剣術じゃなくてh「それ以上はいけません」」
ネタばれはいけませんと言わんばかりに口を塞がれた。
「さて、では
「そうか、気をつけてな」
「はい、それではまた」
そう言って銀髪メイドは帰って行く。...あいつせっかく頼んだのにコーヒー飲まずに帰ったな。...飲むか。
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