猫に宣戦布告

...かつてこの世界にはいくつもの神が存在した。神々は最初こそ仲良くしていたが次第に関係が悪化していき争いを始めた。長きに渡る争いの果て神々は互いに不干渉条約を締結し自ら指定した土地の範囲で暮らすことにした。こうして世界に平和が訪れた...はずだった。とある神が自分の小さな分身を作り侵略行為を行ったのである。そう、。意志を持った勝手に動く人間にんぎょうは不干渉条約に抵触しない。そこから神々は自らが戦うのではなく自分の作った人形たちによる代理戦争を始めた。戦いは混迷を極めた...長きに渡る戦いの中、事件は起こった。人間にんぎょうが創った兵器――――『ミスティルテイン』。それによって神諸共とある土地の一区画が消え去ったのである。人間にんぎょうによる反逆を恐れた神々は『ミスティルテイン』の存在を抹消し争う事をやめた。...こうして世界は平和を手に入れた。しかし、争いの火種はそう簡単に消えることはない。


平和な世界の裏で神々の代理戦争は続いていた――――。


「やあ、お疲れ様。」


執務室に入るとニタニタとこちらを見て薄気味悪い笑みを浮かべるムカつく女が机に腰掛けていた。ムカつく顔...とはいえ、認めるのは癪だが容姿端麗とはこのことを言うのではないかと思うくらいには整った顔立ちで紫色の髪も彼女の美しさを引き立てている。これで性格さえマシならきっとファンも多かっただろうに。


「ガランサスくん、今とても失礼なことを考えていなかったかな?」


「いえ、全然?」


私は今回の一件の報告を行っていた。


「なるほどねぇ、やっぱりあの組織は帝国と繋がってたか。消して正解だったね」


渡した資料を流し読みしながら軽々しくそう言う彼女に私は薄っすら冷汗をかく。そう、彼女は


...彼女の名は『ロキ・スイレーン・アーガペイン』。この『クロユリ合衆国』の土地神であり世界で最も危険な神と呼ばれている。本来、神は自らの土地や人間にんぎょうを管理するのだがこの神はそれをしない。他の国からいくら人が来ようとこの国の人間にんぎょうが何をしようとそれに干渉しない。故にこの国は色々な人間にんぎょうで溢れかえる混沌とした場所になっていた。そんな神でも一つだけ絶対に許さない行為があった。それは他の神からの干渉である。


「ふむ、報告書も確認した。ありがとう助かったよ。報酬はいつもの口座に振り込んでおくね」


「あぁ」


私達は『神徒仇花』。他の神からの干渉絶ち、平穏を齎す者。そして...



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

仕事を終え一休みしようと私は行きつけの喫茶店を訪れたのはいいのだが...


「何故ここにお前がいる?」


「おや?様、これはこれは偶然でございますね」


「...白々しいな」


銀髪でメイド服に身を包んだ女性が端の方の目立たない席で座っている。もちろん店員などではない。


「せっかくですから相席などいかかがです?」


「元々その気しかないだろ。後、今の私はガランサスだ」


「失礼いたしました。ガランサス様どうぞこちらへ」


「あぁ」


私は


「こちらメニュー表です」


「ありがとう」


そう言ってメニュー表受け取る...一連の動作に何も不自然な所はない。しかし、。後で読むとしよう。


「さて、調?」


。」


「なるほどな」


「...?」



ではコーヒーを一つ」


そう言って私は店員を呼んでコーヒー二つとパンを注文する。


「話は変わるが...お前なんでメイド服なの?」


「今更!?完全にスルーされたものだとばかり...」


「まるでメイドキャラですみたいな恰好してるけどお前家事出来ないよね?」


「生まれてこの方、剣術一筋ですわ。あ、レンチンはできます」


「レンチンは料理じゃねぇ。後、お前が得意なの剣術じゃなくてh「それ以上はいけません」」


ネタばれはいけませんと言わんばかりに口を塞がれた。


「さて、ではわたくしははお先に失礼いたしますわ」


「そうか、


「はい、それでは


そう言って銀髪メイドは帰って行く。...あいつせっかく頼んだのにコーヒー飲まずに帰ったな。...飲むか。

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