カオスの対義語はコスモス

「ふむ、なるほどねぇ...」


執務室に戻っていけ好かない神に今回の件を報告する。報告を聞いて一瞬、真面目な顔をした神に私はため息をつく。この神が真面目な顔をするという事は自分が最も嫌いな事...他の神からの干渉の可能性があった時だけである。そして、そんな可能性を感じ取った時は必ず...


「ガランサスくん、この件を調べておいてくれたまえ」


無理難題を言ってくる。


「嫌です」


「そうか快く引き受けてくれて嬉しいよ」


「...話聞いてました?」


「ロータスくんにも声を...いや、彼女は共和国か...」


「...ところでマリーとアオイは?」


「彼女達なら教国にいるよ。マリゴルドくんは山ごもり中でアオイくんはどっかのコスキャバでバイトだったかな...」


「コスキャバって...教国って風営法めっちゃ厳しくなかったか?というかあいつ男だろ」


「そういう君も元男なのに女物の服着てるじゃないか」


「いいんだよはもうついてないんだから」


「わ・た・し!」


思わず素が出てしまったお...私に訂正が入る。いや、そもそも正論パンチさえこなければ私も素を出すことはなかったのに。


「ん...で今回の仕事は『リキャスター幹部襲撃事件』の内容を調べるってことでいいのか?」


脱線した話を無理やり元に戻す。目の前のニヤケ顔が腹立つが無視だ無視。


「ん~いや、それもそうだが...」


「追加の依頼か?珍しい」


「いや、追加というより依頼内容を変更しよう。君にやってほしいのは『アストラエア 反神派 美雨メイユイの身の潔白の証明』だ」


「...珍しいなお前がそこまで首を突っ込むなんて」


「いや、なに。今のうちに恩でも売っておこうと思ってねぇ」


「なるほどな」


「民主警察の方にも話を通しておくよ」


「わかった」


そう言って私は部屋から出る。...そしてまた、ため息を一つ。絶対面倒ごとになる予感がした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『合衆国民主警察』...この秩序のない合衆国において秩序を主張する市民団体。国家機関の真似事を行う団体で市民から愛されている素晴らしい団体である。愛されすぎてよく本部にクレームやら抗議状やら爆破予告が日夜届いている。まぁ、それでもないと困るらしく一応最低限の仕事はしているらしい。


「ごめんくださーい!」


「友達んか!」


合衆国民主警察本部の入口で叫んでいるとツッコミを入れながらダッシュで走ってくる。赤髪のちびっ子。


「ちびっ子ちゃうわ!これでも成人済みや!」


『合衆国民主警察本部 警視監 天党あまとう 空子からし』...通称赤ピー


「通称赤ピーってなんやねん!お前が勝手に呼んどるだけやろ!」


この赤くて五月蠅いのが合衆国民主警察の警視監でナンバーツーなのだ。世も末である。あと地の文にツッコミを入れるなメタいから。


「で、神の犬っころがここに何の用やねん」


そう、見ての通り民主警察と神徒仇花はめちゃくちゃ仲が悪い。いや、こっちは一応仲良くしようとは思ってるが向こうが一方的に拒否してくる。


「何言うてんねん!毎度毎度捜査の邪魔ばっかりしてからに...」


「リキャスター幹部襲撃事件について知ってる情報を教えてくれ」


「無視か!あと誰がお前らに教えるかぁ!」


「あれ?神様から電話いってない?」


「はぁ?そんなもん、きても無視するに決まっとるやろ」


どんだけ嫌われてるんだウチの神は...


「とにかく帰った帰った!」


そう言ってしっしっと手をパタパタする赤ピー。仕方ない、埒が明かないのでこっちの情報は諦めるとしよう。私は踵を返しとある場所に向かう。まぁ、ぶっちゃけこっちが本命なので民主警察向こうの情報はあんまり期待していなかったが手ぶらで帰ることになるとは思わなかった。やっぱりクソ組織だな後でクレーム入れよう。





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