砂漠に砂があるかは問題ではない
ぽっかりと空いた施設の穴からコツコツと音がする。...誰か来る。少しずつ大きくなっていく音に私の脳が警鐘を鳴らす。
「ア゙ラ、バダドコッデイバシダド?」
施設から出てきたのは水色の髪に白いドレスを着たいかにもなご令嬢...間違いない。こいつが...
「
芽衣が私を庇うように前に出て問いかける。
「あら、
自己紹介を終えた彼女が手を振り払った瞬間、私と芽衣は同時に横に飛ぶ!
ついコンマ何秒前まで私達の頭があった場所には一本の線が奔っていた。正確に言えば線のように見える水...圧縮された水がレーザーのように私達の頭を貫こうとしていた。
この世界において
「まだまだ行きますわ!」
次々と連射されていく水レーザーを躱しつつどうすればこの場を切り抜けられるかを考える。
「ガランサス様!」
「わかってる...芽衣、
「御意!
「
芽衣の左手の甲に蝶のような紋が紫色に輝きながら出現する。
「...
そう言って芽衣は足元に落ちていた小石を蹴る。蹴られた石はころころとどこかへ転がっていった。
「...なんですの?」
あまりに不自然な行為に彼女は困惑を隠せないでいる。凄く何か起こりそうな雰囲気で何も起こっていないのだからその反応をしてしまうのも頷ける。
「...」
「...何かよくわかりませんがそれで終わりなら止めを刺して差し上げますわ!」
しびれを切らした彼女が水のレーザーを放とうとした―――瞬間!
「!」
彼女は後ろに飛び退いた。それはもう幾度となく修羅場をくぐってきた者の直感、とりあえずここから動かなければいけないという本能に従った行為だった。そしてそれは大正解。彼女がいた場所には今、頭上から飛んできた物がぶっ刺さっている。一瞬でも回避が遅れていれば目の前の物体が自分にを貫いていただろう。間一髪...死を回避した彼女の思考はとあるもので埋め尽くされていた。
――――そう、何故?なんでこんな所に?
「チェーンソーが飛んできたんですの!?」
『
芽衣の蹴った石は民家の裏で散歩していた猫に当たって反射的にした走り出した猫が目の前にあった石の塀を乗り越えたらそこで剪定の仕事していた
「
「はた迷惑な
「えぇ、
「なるほど、
「あぁ、わかってもらえたなら何よりだ」
「大変失礼をいたしました。
そういってお上品に頭を下げる彼女に俺は問いかける。
「リキャスターの幹部が何故こんな所にいる?」
「当然の疑問ですわね...お話しますわ。先日、ウチの組員...組長補佐が何者かに殺されました。そしてその現場にいたのが『アストラエア 反神派筆頭
...犯罪組織『アストラエア』は七人のリーダーと各々に従う部下達で構成された歪な組織だ。七人のリーダーはそれぞれが独立して活動している為、組織かどうかも定かではない。そんな七人の中で唯一、指名手配すらされていないのが反神派筆頭...『
「なるほど...」
「えぇ、して...貴方方はこちらに用事でもございましたの?」
「あぁ、そうだ。この写真の人物を探してるんだが知らないか?」
私は四枚の写真を取り出して彼女に見せる。
「多いですわね...んん、残念ですがどなたも存じ上げませんわ」
彼女は写真を一枚ずつチェックし首を振った。このうち一枚の人物はアストラエアの幹部と接触していたという情報があってここに来たのだが先に入った彼女が見ていない以上ここにはいないのだろう。
「わかった、ありがとう」
「もし、こちらでも一応片手間でよければ探しておきますわ」
「いいのか?」
「えぇ、ですので今回の件はそれで手を打ちません?」
「わかった」
「それでは
そう言い残し彼女は去っていく。
「...どう思う?芽衣」
臨戦態勢を解き、能力を解除した芽衣に意見を聞く。
「
「あぁ、
「それがよろしいかと」
そう言って私達も踵を返す。この件...他の神からの干渉じゃなきゃいいが...
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