中編】せっかく異世界転生したのに、子爵家の後継者ってそれはないでしょう!~お飾り大公のせいで領地が大荒れ、北の成り上がり伯爵と東の大公国から狙われている。俺は富国強兵と領地改革で荒れた領地を立て直す~

🔥SOU🍨🔥12月06日より新作投稿開🐳

プロローグ

第1話


 俺は何者かになりたかった。

小さな頃から漠然と、周囲から肯定される人間になりたいと思っていた。


 幼少期であればその対象はアニメのヒーロー、それが成長と共に芸能人、スポーツ選手などの著名人になり、容姿や才能で劣ると自覚するに至り、その熱は徐々に冷めていった。

それでも消えぬ憧れの炎は燻り続けるも、壁にぶつかるたびに楽な方へと逃げてしまった。


 それならそれでやりようはあったはずだった。

今にして思えば、もっといろいろなジャンルに挑戦すべきだったのだろう。

自分が興味を持てる道を見つけられるように……。



 人生を捧げたいと思えるような、何かを見つけたかった。

残念ながら現実は、そんな夢物語のようには出来てはいない。


 学校を卒業する頃には、俺の人生は社会の歯車になっていた。

出会いも無ければ変化もない、代わり映えのしない人生。

生きていくのに精いっぱいで、金を稼ぐため寿命をすり減らす日々に、気が付いたらたくさんの可能性が潰えていた。


 今日も仕事が終わって半額シールが張られた弁当を買うために、少し離れたスーパーマーケットに足を延ばす。


それが間違いだった。


「助けて下さい!」


 暗闇の中から半裸の女性が飛び出してきた。


「何があったんですか?」

「兎に角、助けて下さい!」


 女性はパニックを起こしているようで話にならない。


「女ァ……」


 刃物を持った男が物陰から飛び出してくる。


「何、なんだよお前!」

「邪魔をするなぁぁあああああ!!」


 男の気迫に気圧され、逃げ遅れてしまう。

学生時代武道を齧っていたため、一瞬動きが遅れたもの犯人の手を摑む事に成功し揉み合いになる。


「放せコラァ!」

「大人しくしろ!」

「どけコラ! やめろお前ら! ――っ! あ゛もう痛い痛い」


 そう言いながらもナイフを手放す事もなければ抵抗を止めることもない。


「ぐっ……」

「何なんだよお前……俺が何したって言うんだ放せコラ! 

辞めろ! 何をする! 俺は知ってるぞ、お、お前だろ! ずっと俺を監視しやがって! こんなの認められるか! お前ら訴えてやる ゴホッ!」


 強姦魔が何か言っているが、彼の言葉は耳に入ってこなかった。

 揉み合いは縺れガードレールに迫っていた。


 高低差のあるここの道路から落ちればタダでは済まないだろう。

 でも憧れたヒーローなら怯んだり、諦めたりしないはずだ。


今こそ、俺は何者かになるんだ!


「うぉおおおおおおおおお」


 全力で押し返すも小石に躓いて強姦魔諸共、ガードレールから落ちてしまう。


「がはぁぁ」


 落下した衝撃で肺の中の空気が一瞬で吐き出される。

折れているのか打撲なのか、打ち付けた身体が熱い。

全身で感じる熱が痛みだと理解した瞬間、呼吸が辛くなる。


 だが幸いなことに、まだ死んではいないようだ。


「し、ぬのが……」


 代り映えのしない人生だが、やりたいことはあった。

 例えば恋愛がしたかった。

 友達と馬鹿がやりたかった。

 

神様、もし次があるのだとしたら……やり直させてください。


 走馬灯のように思い出す人生の中で漫画の広告を思い出した。


『異世界転生。転生したから本気出す』


 そんなことがあるのなら、次はもっと積極的に行動しよう。

 失敗を恐れず新しいことにも挑戦しよう。

 失敗したっていいじゃないか。

 やらないで後悔するよりやって後悔しよう。


でも、死ぬのは怖いな……


 こうして俺の意識は途絶えた。




============

『あとがき』


 読んでいただきありがとうございます。

 本日から中編七作を連載開始しております。

 その中から一番評価された作品を連載しようと思っているのでよろしくお願いします。


【中編リンク】https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/collections/16818093076070917291

【次回連載予定作品】のリンク

https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/news/16818093077299783210


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