第2話
気がつくと私は卒業したはずの中学校の教室にいた。
(あれっ?私さっきからここにいたかな?)
何となく違和感を感じるのだけど、言い表すことができない。
「中間テストの答案返却するぞ」
数学の教師の中島だ。
(あぁ、中間テスト…先週だったけ…)
「位田、もう少し頑張れよ」
52点…いつから思うように点数が取れなくなったのか…。入学した時はもっと点数もよかった気がする。数学は好きじゃない。もう間違った問題と向きあう気にもならない。早苗は乱暴に答案用紙を畳み、肘をついて窓の外を見た。
放課後、部活をしに音楽室に向かう。酷く久しぶりに楽器にさわる気がする。トランペットの音を出す。
パァーン
頭が急にクリアになる。
今、私が居るところは正しいのか?
隣にいた友達、北野明(きたの あかり)が話しかけてきた。
「明日の三者面談やだな~早苗は面談いつ?」
「…いつだったかな…」
気づくと早苗の前には担任の数学の中島、隣に母が座ってる。
「位田、聞いてるか?もう少し頑張ろうな」
「あっ…はい」
「では、後はご家庭で話し合って下さい」
帰り道、母は私に聞こえるか、聞こえないかのボリュームで呟いた。
「もう少しできると思ってたのに…」
気に入らないなら私に怒ればいい。怒りをぶつけられたのなら、こっちも遠慮なく怒りをかえせる。でも、独り言のように呟かれたのが気まずく、腹がたった。帰宅すると何も言わず、夕飯も口にせず私は眠った。
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