第2話

 朝食を食べ終えてから、俺たち兄妹は学校へと向かって歩いていた

「おい、見ろよあれ」「ああ、マジウケんだけど」「ほんとそれなw」

 すると道行く生徒たちがひそひそと話し合っているのが見える

 恐らく、また俺の噂話をしているのだろう

『あの女たらしのクソ野郎』

『死ねばいいのに』『キモすぎだわ』『早く退学しろよ』

『ていうか、あいつの妹とか最悪じゃん!』

 聞こえてくるのはいつも通りの陰口ばかり……もう慣れたとはいえ、やはり気分の良いものではないな


「……」


 そして、隣を歩く妹もまた同じように嫌そうな顔を浮かべていた


「ごめんお兄ちゃん、わたしのせいでお兄ちゃんまで悪評が流れちゃってるよね……」


 申し訳なさそうに謝ってくる妹に俺は笑顔で応える


「お前が悪いわけじゃない、俺が悪いんだから」……とは言ったものの、実はかなり堪えている自分がいたりする

 そりゃそうだ、何年経ってもこの扱いは辛いものがある……


「お兄ちゃん……」


 妹は悲しげに俯きながら肩を落としている、……やれやれ、本当に仕方のない子だ


「大丈夫だって!  こんなの全然気にしてないから!」


「……え?」


 明るく振る舞いながら背中をポンッと軽く叩いてやる


「それにさ、こういうのは気にすれば気にするほど馬鹿を見るもんなんだぜ?  だから、もっとポジティブに考えようぜ!」


「お、お兄ちゃん……うん、分かった!  私、頑張るね!」


 そう言って、彼女は元気よく駆け出していった


「あ、こら!  走ると危ないぞ!」


 そんな妹の後ろ姿を見ながら、思わず笑みがこぼれてしまった

 まったく、本当に世話の焼ける妹だ………………

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