第259話 神秘力
≪魔界の神≫グラヴァクを消滅させてから、あっという間に一年ほどの月日が過ぎ去ろうとしていた。
最初からの再ロードから501日目。
世界は相変わらず、滅びの時をまだ迎えてはいない。
魔王勢力とゼーフェルト王国の緊張状態もやや緩和されて、本格的な戦争には発展していない。
どうやら魔王コゴロウは、ひとまず侵攻の断念を決めたようで、魔王城周辺に集まって来ていた魔物の大群はいつの間にかその姿が消え、おそらく解散したものと思われた。
ゼーフェルト王国側も国境からだいぶ離れた場所に設けた防衛線を完成させつつあり、今度はそれと一体化させた砦の建造に着手し始まったようである。
俺のレベルアップも順調で、今はこのようなステータスになっている。
名前:
職業:セーブポインター
レベル:198
HP:14884/14884
MP:13813/13813
(セーブ特典ポイント:157)
能力:ちから340、たいりょく342、すばやさ340、まりょく329、きようさ344、うんのよさ361
スキル:セーブポイント
≪効果≫「ぼうけんのしょ」を使用することができる。使用時は「ぼうけんのしょ」を使うという明確な意思を持つことで効果を発揮することができる。
スキル:場所セーブ
≪効果≫任意の場所を三か所までセーブできる。「場所セーブ」を使うと≪おもいでのばしょ≫の一番から三番まで指定してセーブが可能。セーブした場所はロードすることによって、いつでも訪れることができる。仲間など、視野内の認識可能な複数対象にも効果を及ぼすことができる。使用回数制限なしだが、対象人数に応じてMPを消費する。
解放コマンド:どうぐ
≪説明≫自らに占有権があるアイテムを≪どうぐ≫の中に収納できる。「コマンド、どうぐ」と有声無声関わらず、意志を持って唱えると使用可能。所持数制限なし。使用回数制限なし。
解放コマンド:しらべる
≪説明≫対象のアイテムがどのようなものなのか調べることができる。「コマンド、しらべる」と有声無声関わらず、意志を持って唱えると使用可能。使用回数制限なし。
解放コマンド:まほう
≪説明≫下記の≪まほう≫を使用できるようになる。対象を決め、その≪まほう≫を使用するという確固たる意志を持つことで発動可能。各≪まほう≫に応じたMPを消費する。
≪まほう≫一覧
≪
≪かみがみのまほう≫一覧
≪幻妖神の
解放コマンド:とびら
≪説明≫この世界に存在する「有りとあらゆる扉」を開けることができる。いかなる鍵や封印も無効。
解放コマンド:つよさ
≪説明≫対象の強さ(レベル、ステータスなど)を消費MPに応じて段階的に確認できる。ただし、確認できるのは自分だけで他者に開示などはできない。
簡易ステータス(消費MP1)
通常ステータス(消費MP10)
詳細ステータス(消費MP30)
間隔を空けて、セーブ可能日を温存していることもあり、なかなかクラスチェンジに必要な300ポイントには届いていない。
暦の上での最初の方の日は、もうセーブ不可能日が多いのでどうしてもレベル上げが
ウォラ・ギネの話では、クラスチェンジはシンプルなパワーアップと考えていいはずだということだったので、俺は今、それを目標に日々を過ごしている。
クラスチェンジには通常、レベルや生き様、精神的成長などの何らかの必要条件があって、それが達せられると元の≪
俺の場合は、もうすでにその条件自体は達成しているらしいのだが、加えてそれにセーブ特典ポイントの消費が必要となっている。
現在のセーブ特典ポイントは157。
クラスチェンジにはあとどこかのセーブ可能日で、147回セーブする必要がある。
どの日を消費して、どの日を残すのか。
それが重要になって来る。
ちなみに、俺の≪成長限界≫はまだやってきていない。
人間の≪成長限界≫である99を優に超えて、もう198になってしまった。
能力値の変化は鈍化することなく相変わらず順調で、HPとMPはもう訳が分からないほどの高さになっている。
MPは表記こそそのままだったが、その横に謎のヘルプマークがいつの間にかついていたので、それをタップして見ると、「メンタル・パワーから、ミステリアス・パワー(神秘力)への昇華が為されました」という通知が為された。
ミステリアス・パワー。
名称は変わったけど、扱い方はこれまでの≪理力≫のものと何ら違いは見られず、変化したという実感は今のところない。
あと、大きな変化があったのはコマンド≪まほう≫だ。
これまでの通常の魔法の他に、≪かみがみのまほう≫とかいうものが追加されていた。
どんな効果なのだろうといくつか実験してみたのだが、≪幻妖神の
何か、ますます人間離れしてきたなと俺は怖くなってきたのだが、もっとヤバかったのは≪夢幻の
たまたま見かけた野盗の頭目に使って実験してみたところ、どうやらこれは状態異常魔法の類であるようだった。
これをかけられた野盗の頭目は呆然自失状態になり、最初、糸が切れた人形のように地べたに這いつくばってしまったのだが、その後、突如、起き上がり、狂気の表情を浮かべてものすごい勢いで踊り出したのだ。
目に見えぬダンスパートナーと高速で……。
野盗の頭目は、ダンスパートナーが複数いるような動きをしていて、その相手が次々入れ替わるごとにダンスの速度は増してゆく。
はたから見ると一人でふざけているようにしか見えないのだが、次第に加速してゆくその動きに耐え切れず、その途中で野盗の頭目は息絶えた。
すべての関節がいかれてしまったのか、ぐにゃぐにゃの状態で、全身の皮膚の裂け目からは血が滲み出ている。
首はあらぬ方向を向いて動かなくなってしまったのだ。
俺は、≪夢幻の
その時、野盗から救出した旅人たちがその場に居合わせていたのだが、その壮絶な光景に、怯えて一目散に逃げ去ってしまった。
人助けをしていい気分だったはずなのに、一人残された俺が感じたのは、死なせる結果になってしまった野盗の頭目への罪悪感だけだった。
この奇異な死体を見たら、気絶させていた部下たちがあとでどんな反応をするのか目に浮かぶようであったので、逃げるように俺もその場から立ち去った。
この失敗があったため、ちょっとビビって≪女神の雷撃≫はまだ試せず仕舞いだ。
≪
消費MP50の≪
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