第149話 ヒマリ、危機一髪、一発?
あれ?
私、何でこんなところに?
森で食べれそうな木の実とかキノコとか採って、その帰り道……。
記憶をたどろうとしていると、足裏にくすぐったいような感触があり、見ると見知らぬ男がそこに顔を寄せ、匂いを嗅いでいた。
皮のブーツは脱がされ、素足になっている。
「……っ!」
そして、自分の口の中に布を詰められ、
声を発することができない。
両手首も縄で縛られている
「目が覚めたようだね。そして、とてもいい表情だ。私はこうして少女の足裏の匂いを嗅ぐのが好きでね。靴を脱がしたあとの汗ばんだ、この甘酸っぱい香りがたまらない。君のも良い香りだよ。見たまえ、興奮のあまり、私の股間が高ぶり、いきり立っている。意識が無い状態じゃ、つまらないからね。目を覚ますのをじっとこうして待ってたんだ」
言葉通り、男は下半身を完全に露出しており、幼いころにお風呂で見た父のそれとは異なり、大きく、恐ろし気な形に変わっていた。
男性経験のない
「こらこら、暴れるんじゃない。もう一度ぶたれたいのか?」
私、この人を知っている!
ようやくここで、目の前の男が、通りで自分を呼び止めてきた男だと気が付いた。
優男風の顔立ちで、最初に声をかけてきた時は、穏やかな笑顔だったが、ついてくるように言われたことを拒絶すると途端に逆上し、
「このアマがぁ、女のくせに逆らうんじゃない!」
その時、男が発した、どこか狂気を含んだその叫びが脳内にリフレインして、一層恐怖感が増してきた。
「大丈夫。私は何事においてもスピーディでね。目を閉じて、少し我慢していたら、すぐ終わるよ。あっという間だ。本当は、すぐにでも衛兵に引き渡して報酬をもらう予定だったんだが、君みたいな綺麗な娘は、なかなかお目にかからないからね。少し楽しませてもらうよ」
男は下腹部のものをそびえたたせながら、
「……! んんっ!んーっ!」
≪精霊使い≫である
猿轡をされた状況でできることは、ほぼ無く、≪ちから≫などの能力値も亀倉たち前衛職に比べると著しく低い。
だが必死になって逃れようとしたその時、右足の一部が男の股間に少しだけかすってしまい、次の瞬間、筒状のいきり立ったものが脈打ち、白い大量の液体をまき散らした。
白く、どこか独特な匂いがする粘液が
やだ。
これってひょっとして、男の人の……。
「お、おう……。ううっ、はぁー。はぁー。久しぶりだったから、つい暴発しちゃったよ。君、悪い子だね。暴れたお仕置きしなきゃ……」
男は手を上げ、
「何が疾風の勇者だ。クソが……」
「悪い、ヒマリ。遅くなっちまった。≪大盗賊≫なのに、≪
こめかみから血を流し、全身傷だらけの
そして、拘束と猿轡を解いてもらった後、泣きながら、謙児に抱き着いた。
「
「ご、ごめんなさい。この怪我……、私のせいで……」
慌てて離れようとした日葵を、今度は謙児が引き留め、抱きしめ返した。
「いいんだ。日葵が無事だったんなら、それでいい。出血は多いけど、ほとんどかすり傷だ。……でも、日葵、ちょっとイカ臭いな。どこかで、水浴びしようぜ。傷の手当てもしたいし……」
謙児が引きつった顔で笑い、日葵が顔を赤面させる。
「そうだね。顔がカピカぴしてきたし、このままじゃ汚いよね。大丈夫、私、何もされてないよ。襲われそうになったけど、私の足がぶつかって、なんか白いのがいっぱい出たの……」
日葵は、改めて謙児から離れ、背を向けて、一生懸命、服の袖で、顔をぬぐおうとした。
「げっ、やっぱりこれって、あいつの……。でもまあ、こいつのアレが疾風で逆に助かったぜ。危うく取り返しがつかなくなるところだった。疾風の勇者とはよく言ったものだよな……」
「うわー、髪に付いたやつ、こびりついて取れないよ。……ん? ケンジさん、今、何か言った?」
小声で呟いていた謙児に、日葵は不思議そうな顔で訪ねた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます