第74話 シー・スルー

汗に濡れた肌。


揺れるおっぱい。


躍動する尻肉。


やばい、もうちょっとで交差する足の間の秘所が見えてしまいそうだ。


一糸まとわぬ裸の状態のアレサンドラが俺の前で大剣を振るっている。


テレシアも、ラウラも裸の状態で戦闘を行っている……ように見える。


俺は、まほう≪透視シー・スルー≫を使い、実験中だ。


テレシアのやつ……思った以上に隠れ巨乳だった!

肌も白くて綺麗だし、神様の話さえしなければ、結構、好みなのに……。


ラウラは、ちっぱいだけどそれが逆に魅力的と言うか、リアルな感じがするんだよな。

普通っぽい感じが逆にエッチな感じがするというか……。


おっと、俺の方にも敵が来た。

もうすっかりお馴染みの石人形パペットマンだ。


動きも単調でまったくつまらない相手だ。


それでもレベル上げの相手としては悪くないみたいで、テレシアたちの話ではここに来て、もう二つもレベルが上がったそうだ。


俺は、例の部屋で≪ぼうけんのしょ≫にセーブしないとレベルが上がらないから、こいつらを倒して強くはなれない。

せいぜい、ウォラ・ギネから教わっている杖術の練習台として使える程度だ。


俺はため息混じりに≪ヒノキの長杖≫に≪理力≫を込めつつ、鐺上段下こじりじょうだんしたの構えを取る。


透視中なので、カミーロとウォラ・ギネの裸体が視線に入ってこないように敵を倒さなくては……。

おっさんとじいさんの裸なんか見ても何も楽しくないからね。


俺はあえてノールックで攻撃したり、女の子たちの方を見ながら不自然な体勢から攻撃を繰り出すなどの工夫をした。


「おお、器用じゃな。相手をかく乱する動きの練習か?」


ウォラ・ギネが勘違いして感嘆の声を上げたが、そっちは見ない。

間違って一度見てしまった、白い毛が生えたしわしわの玉袋が見えてしまうからだ。


「うぃっす!その通りっす」


俺は返事をしつつ、回転を効かせた打撃で、三体の石人形を粉々に吹っ飛ばした。



魔物を片付けた後は、みんなでそのあたり一帯の調査を手伝うことになった。

ここはカミーロが調査中の街区だそうで、身分が高い者たちが住んでいたと推測しているらしい。

崩れた建物の瓦礫や土砂などを地道にけて、リーザイアが栄えていた当時の遺物を探し出すというのが調査のやり方だと説明を受け、土を掘る道具などを使いつつ、しばらく皆で黙々と作業をすることになった。

ウォラ・ギネだけは見張りと称し、廃屋の壁に腰を掛けて、パイプ煙草の煙をくゆらせている。


「……飽きたな」


開始してすぐに俺の口からこぼれたのは素直な気持ちだった。


やみくもに瓦礫を動かしたところで、掘り出し物などがすぐに見つかるわけも無く、血眼になって作業を続けているアレサンドラ以外はあまりモチベーションは高くない。


ラウラは「重~い」と文句ばっかり言ってはかどっていないし、テレシアの表情もどこか暗い。

聖地で盗掘の真似事をしているのが気にかかっているようだった。


見つかるのはガラクタや割れた陶器類ばかり。


カミーロはよくこんなことを一人で何年も続けてこれたよな……。


暇だから、また女の子の裸でも堪能しようかなと≪透視シー・スルー≫を使用したところで、俺はふと妙案を思いついてしまった。


そうだ。

邪魔な瓦礫や土砂を透視すればいいんじゃないかな。


透視シー・スルー≫で透視できるのはせいぜい1メートルくらいの厚さが限界のようだが、さっそくやってみると、いちいち瓦礫の除去をしなくても、そこに何もないことがわかり、無駄な工程が減った。


そして、ピンポイントで何かがあるとわかる場所だけを移動しながら探し続けたところ、俺は次々と成果を上げることができた。


こうなってくると宝探しみたいで面白いよな!


木箱に入った高価そうな銀食器類。

美術品の数々。

リーザイアで使われていた貨幣が入った壺。

一か所に集まったたくさんの武器や防具の類。


そしてどうやら地下室らしきものに通じる隠し階段まで見つけてしまった。


慌てて、皆を大声で呼ぶと、俺が見つけ出した戦利品の数々に思わず歓声が上がったが、カミーロだけはそれらに目もくれず、隠し階段を塞いでいた鉄板の表面に刻まれた模様のようなものにかじりついて、ひとりでなにやらぶつぶつと呟いている。


「金の雄牛の頭部が描かれた家紋……これは別の書物で見た当時の公爵家のものだ。これは……とんでもない発見かもしれない……」

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