第36話 パーティ探し
なるほど、パーティか……。
確かにいいかもしれない。
アレサンドラと別れたばかりで、なんだか寂しい感じがするし、新しい出会いもあるかもしれない。
高校時代もあんまり人とつるんで騒ぐタイプじゃなかったから、別に男友達とかはいらんけど、カノジョはやっぱりほしいな。
まあ、駄目もとで一応募集しているパーティを見てみるか。
大量の依頼書が貼られた部分の隣の壁に取り付けられた掲示板を眺めてみる。
あっ、アレサンドラのメンバー募集の張り紙もあった。
条件は女性限定。ランクは問わずか……。
その他にも割とたくさんの募集があったが、大抵、特技とかランクに条件が付いていた。
「うーん、俺の冒険者ランクは最低のEだし、魔法も使えない。そうなると一気に限られてくるな」
条件を満たすパーティは三つ。
一つ目は「ホットガイ」か。
条件は、男性限定。ランク、特技の制限なし。
メンバーは全員、男か。
そして、なぜか容姿確認のための面接があるらしい。
面接合格者には、専用コスチュームとHGの紋章とかいうのが配布され、その着用義務があるらしい。
駄目だ。却下だな。
女の子がいないんじゃ話にならないし、それになんかやばい匂いがプンプンするぜ。
二つ目は「魔王を討つ刃」
これも却下だな。
魔王と戦う気なんて毛頭ない。
それに本気で魔王と戦うなら、ちゃんとランクや特技の条件を付けるべきだ。
志だけ高くて実力がないパーティに入ってしまったら、命がいくつあっても足りない。
それに、こういう意識高い系の名前のパーティだと、いざやめたくなった時に面倒そうだな。
最後は、結成したばかりだからか、パーティ名は未定となっていた。
新人冒険者の二人組で、記載内容からはそれぞれ男なのか女なのか、わからない。
どうやら「魔法使い」と「僧侶」の組み合わせらしく、前衛で戦えるメンバーを募集しているようだった。
ランク等の条件は無いし、待遇などについては面接時に話し合うと書いてある。
これ、悪くないんじゃないかな。
面接して嫌だったら、こちらからも断れるわけだし。
俺は受付のメリルに話しかけ、場をセッティングしてもらうことにした。
先方と連絡を取ってからなので、会うのは後日になりそうだ。
このまま何もしないで帰っても良かったが、せっかくなので、俺はいくつか依頼を受けることにした。
E級案件『討伐依頼:ゴブリン、依頼者:冒険者ギルド本部』
E級案件『討伐依頼:ウルフ、依頼者:冒険者ギルド本部』
E級案件『討伐依頼:オーク、依頼者:冒険者ギルド本部』
E級案件『採集依頼:癒し草、依頼者:薬師ギルド』
ギルド貢献度0のままにしておくと、三十日後に冒険者カードが失効し、消滅してしまうのでいくらかでも増やしておこう。
面接時にも0よりは印象が良いはずだ。
採集依頼の目的物である癒し草だが、これはアレサンドラの商売を手伝っていた時に何度も目にしている。
ポーションなどの原料の一つに使われているほか、そのまま煎じて飲んでも効能がある。
仕入れも任されていたから、物の良し悪しの見分け方も教わったし、何より今の俺には≪解放コマンド:しらべる≫がある。
この≪しらべる≫は対象のアイテムがどのようなものであるのか、その詳細を調べることができ、間違って似た植物を採集してしまう恐れもない。
ゴブリン、ウルフ、オークはその辺で普通に遭遇できるので、これらの討伐依頼はほんのついでだ。
メリルから、癒し草が採集できる近隣の群生地の地図を渡され説明を受けると、俺はさっそくその場所に向かった。
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