地球史

佐々井 サイジ

地球史

 月に一度は書店に行って良さそうな本を探すのが好きだった。この日も書店でうろついていると『地球史』という辞典くらい分厚い本が目に留まり、パラパラとめくった。地球というのは惑星の名前らしい。生物が存在しているのは、このウルギ以外には地球だけと書いてある。面白い。地球には生き物がいるのか。


 地球には最初ごくごく小さな生物が発生し、そこから巨大な爬虫類が世界を牛耳り、そこからしばらくすると人類という種族が覇権を握ったそうだ。人類の知能は高く、私たちとほぼ同じらしい。地球では人類以上に高い知能を持つ生物は存在せず、長年人類が生物の頂点として君臨し、繁殖していったと書いてある。


 しかし、人類には弱点があったらしい。人類は人類でもさらに細かく種類が分かれるようで、その別の種類との混合を許されない風潮があったという。生物上、違う種類でも繁殖することは可能なのだが、高い知能が生む誇りや差別という虚構の思考により、阻まれていたらしい。面白いな。嘘の存在が生物の繁殖を妨げるということがあるのか。ウルギでは考えられないな。


 それでも人類は資本主義という、また虚構のシステムにしたがって栄えていったらしいが、人口の減少が止まらなくなってきたという。そんなときにかつて存在していた小惑星ファテナが爆発したことでそこにすむ生物が地球に住まわせてくれないかと打診して来たらしい。ファテナの生物といえば五千年前にウルギにやってきた種族だ。そんな過去があったとは知らなかった。


 ファテナの生物と人類はDNAの染色体が一致し、なんと混合させていくことも可能だったらしい。ウルギと一緒じゃないか! 当然地球はファテナを受け入れたに決まっている。ページをめくる。


 ところが地球の人類はファテナを追い出した。理由は正体のわからない生物と混合して人類が人類でなくなることを恐れたためらしい。彼らは自滅を選んだわけか。虚構というのは恐ろしいものだな。ただ、だからこそファテナの生物はウルギを選び、今こうして私という存在があるのだから地球には感謝しなければならないな。


 その後地球には一時期減少していた森林が増加し始めたらしい。これは人類減少により、木を伐採する種族が少なくなったかららしい。

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地球史 佐々井 サイジ @sasaisaiji

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