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【兄溺愛編】ここは私の出番だ!! 誰にも譲らない!!
兄溺愛編です。
爽やかで行くか、壊れた雰囲気にするか迷いましたが……
今回は、(これでも)爽やかにお送りいたします。
時期はルークが貴族学院に通ってる頃です。
【24話】か【25話】の頃です。
笑って頂ければ幸いですが、兄がとても残念な人になってしまいました。
……どうしましょう……。
兄ファンの方のイメージを打ち砕いてしまったら申し訳ございません。
・兄ファンではないし、問題ない。
・兄ファンだが、どんな兄も推せる。
という方のみ、お進みください。
それではどうぞ……。
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――――――――
学院では基本的にはレオンハルトから離れることのない俺だが、全く離れないわけではなく、レオンハルトが公務の準備などでどうしても休みの時は俺は学院で一人になる。ほとんどないのだが……
だがそれは俺が一人でいた数少ない時に起きた。
俺が教師に課題の提出をして、教室に戻ろうと階段を上ろうとしていた時、どこかの貴族令嬢が数人で階段を降りて来た。
「これからマナーのお時間ですのに、すっかり遅れてしまったわ!」
「作法の教室は遠いですから、急ぎましょう!」
「ええ、皆様にご迷惑をおかけしてしまいますわ!!」
貴族令嬢たちが急いだ様子で階段を降りて来た。令嬢たちは俺を見ると「ごきげんよう」とあいさつをされた。
「こんにちは」
そう言って、彼女たちにあいさつをした時。
「キャアア~~!!」
一人の令嬢が階段から足を滑らせた。
「危ないっ!!」
俺は咄嗟に、腕を出して令嬢を抱き寄せると、令嬢をかばってそのまま階段から落ちてしまったのだった。
☆==☆==☆==
階段から落ちてしまった俺は、貴族学院の警備兵に学院内の医務室に運ばれた。そこで医師に治療を受けた。
医師が処置をした後に言った。
「ふむ。腫れてはいますが、骨に異常はない。捻挫でしょうな」
俺は医師に頭を下げた後に言った。
「そうですか。ありがとうございました」
俺の右足は見事に真っ赤に腫れ上ったが、幸い令嬢にはケガはなく、骨にも異常はないようだった。
「杖を用意しておきましたぞ」
俺は医師に頭を下げた。
「ありがとうございます。お借りします」
ダダダダダダ!! ガラガラ、ガシャーン!!!
俺がお医者様に杖を借りようと手を伸ばした時。
廊下から凄い勢いの足音がしたかと、思った次の瞬間、医務室の扉が吹っ飛んだ。
な、なんだ!?
唖然として扉を見ると、俺は目を大きく開けた。
「はぁ、はぁ、はぁ~~~。ルーク!! 私のルーク!! ケガをしたというのは、本当か!!」
「お兄様!?」
俺の視界の前には、息を切らせ汗だくの兄イサークが立っていた。
どうやら、学院はレオンハルトではなく、家に連絡をしてくれたようだった。
「ルークの細くて美しい足に包帯が?! 一体どうしたというのだ?!」
兄に詰め寄られて、お医者様は少し……いや、かなり引きながらも答えた。
「これは、これは、イサーク様。ルーク様は捻挫をしてしまったようです。骨に異常はありませんので、二週間ほど安静にしていれば治ります」
兄は大袈裟に声を上げた。
「安静!? わかりました!! ルークの安静は私が責任をもって保障します!! あええ、お任せ下さい。私は兄なのですから!!」
何がわかったのだろうか?
しかも安静を保障って……
怖すぎる。
俺はこれ以上、大事にならないように、兄にやんわりと仕事に戻ってもらうように伝えた。
「お兄様。ご心配ありがとうございます。杖もお借りいたしましたので、お兄様もお忙しいでしょうから、御自分のことに戻られて下さい」
ところが、兄は俺の顔を心配そうに覗き込んだと思ったら、俺を抱き上げた。
そう、これは――お姫様抱っこだ……。
「ルーク!!!! 何を言っているんだ!! こんな時に兄に頼らず、一体、いつ頼るというのだ。安心しろ。今日は家の仕事をしていたが、仕事は全て優秀な部下に任せて来た。何も心配するな。私が数ヶ月いなくても、問題はない」
数ケ月いなくても?!
え?
ちょっと、ちょっと……。
俺、もっと早く治るって……。
兄の言葉に怯えていると、兄のイサークが笑顔で言い放った。
「さぁ、ルーク。急いで屋敷に戻ろう。私が部屋までルークを運ぶし、恥ずかしがり屋で侍女にお風呂の手伝いを頼めないルークの身体は私が責任をもってキレイしよう。食事もしっかりと私が食べさせるし、夜も昔のように一緒に寝ような!!」
部屋まで運んでくれるのは、助かる。恥ずかしいけど……。
お風呂もまぁ、確かに女の子に身体を洗われるのは恥ずかしいから、助かるかもしれない。
でもさ……。
俺がケガしたの足だからね?
手はなんの問題もないからね?
ごはんは、自分で食べられるからね?!
それに、一緒に寝る必要もないよね?!
そう言いたかったのが、兄が俺を抱いて高速で移動していたので、俺は恥ずかしいやら、足が痛いやら、落ちそうで怖いやらで、黙って兄の首に抱きついて運ばれたのだった。
☆==☆==☆==
兄は、俺を屋敷のベッドに寝かせると、俺の頭をナデナデと撫でながら言った。
「ところで、ルーク。令嬢をかばうというルークの優しさは素晴らしいが、無茶はしないでくれよ?」
「どうして知っているのですか?」
俺はついさっきケガをしたはずだ。
それなのに、どうしてもう兄の耳に入っているのだろう?
「ルークのことは、すぐに耳にはいるようになっているのだ」
「ええ~~~?」
いやいや、何それ、怖いんですけど……。
「いつも、ルークに近づいていく男には注意していたのだが……。通りすがりの令嬢にまでは、皆、気が回らなかったのだ!! 許せ、ルーク!!」
皆?
今、兄は皆って言った???
一体、どういうことなの??
なんだか、とてつもなく不穏なのですが?!
「いや、俺の不注意なので……あ、家着に着かえるか」
兄の言動が予想外過ぎて、俺が冷や汗を流していると、兄が俺の服に手をかけた。
「っちょっとおぉ~~お兄様、自分で脱げます!!」
「足が痛いのだろう? それにこれは学院の制服だろう? 部屋着でくつろいだ方がいい。私に任せておけ」
兄がゆっくりと、ボタンを外して、服を脱がせてくれた。
(なんだこれ~~~家族に服脱がされてるだけなのに、かなり恥ずかしいんですけど?! レオンハルトに脱がされる方がまだ、平常心でいられるかも……?! ……いや、それはないな……レオンハルトが脱がしたら……足のケガ長引きそう……)
「どうした、恥ずかしいのか? ルーク」
「……?!」
兄に妖艶に微笑まれて、俺は思わず顔が赤くなった。
本気でいけないことをしている気分だ。
「え? 待って、どうして下着まで?!」
兄が下着まで脱がせようとしたので、俺は慌てて下着を掴んだ。
「身体を拭いた方がゆっくりと休めるだろう? 安心していい。私が全てキレイにしてあげるから」
兄に、下着まで脱がされて、俺は羞恥で真っ赤になっていただろう。
兄は、ご機嫌な様子で俺の身体を拭いてくれた。そして、俺の下半身まで来た時に、手を止めて嬉しそうに目を細めた。
「ルーク……本当に大きくなったな」
ナニが!?
え、どこを見ながら言っているの??
かなり恥ずかしいのですが!?
……羞恥プレイですか?
俺は、ご機嫌な兄に身体を拭いてもらって、服を着た後に誓った。
――もう、ケガはしない!! と……。
その後も、兄は過剰なくらい世話を焼いてくれたのだった。
さらにレオンハルトが、『ルークの世話は私がする』と言って城に連れて行こうとしたらしいが、兄が絶対零度の視線で、『ルークはまだあなたの伴侶ではなく、私の弟ですので……ここは譲りません』と周囲が凍りつくような静かな睨み合いをしていたとか、いないとか……
――うん。やっぱり、もう、ケガはしない!!
――――――――
読んでいただきありがとうございました!
大変嬉しいです。
ぜひまた遊びに来ていただけば嬉しいです。
藤芽りあ
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