第90話 BBQ

三月、春。


世界崩壊から二度目の春である。


まだまだ寒いが、今日も天海街は平常運転。


運送会社ガーベージも、全世界で大活躍している。


ワイバーンは予備を含めて1カ国に五万匹もいれば足りる計算だから、日本以外にもフランス、ドイツ、ロシア、イタリア、イギリス、アメリカ、インド、エジプト。


中国にも配置しようとしたが、中国はこの期に及んで、株式の過半数を中国政府に寄越せと要求してきたので突っぱねた。


ってか、そもそも、自称中央政府が乱立していて、どこと交渉すればいいのか分からないんだよな。


そんな中で、俺達、チームクズは……。




「B!B!Q!!!!」


「「「foooooooo!!!!」」」


南国のリゾートに来ていた。


見ろよこの美しい海!


太陽の光を受けてキラキラ輝く綺麗な青い海!


最高だな!


この美しい海原を背景に俺達は、バーベキューを楽しむことにした。


「「「「じゃあ俺(私)達、焼けるまでその辺で遊んでるから、火見ててくれ」」」」


「「「「あ、はい……」」」」


今日は慰安目的で愛人も連れてきてやった。


俺の愛人嫁の、揚羽、羚、昌巳、月兎。


それと、アーニーの嫁のローラ。


ヴォルフの嫁のフェイ。


普段、屑籠屋とガーベージの運営を丸投げしてるので、たまには休ませてやろうという俺からの好意だ。


俺はアロハシャツにサングラスという夏の装いで、キンッキンに冷えていやがるビールをキメていた。


「ビャー!美味いッ!!!」


アーニーは海に浮き輪で浮かびながら泳いでいる。


「アハハハハハハ!たーのしー!」


ヴォルフは一眼レフで海を撮影している。


「いい景色だ……」


シーマは俺の隣で、ハイボールをキメている。しかも比率はウイスキー1の炭酸1のアル中スペシャルである。


「最高ね」


俺達、チームクズは、楽しく休暇を満喫していた。


俺達は知能は高くても基本的にアホなので、今日もIQをゼロにして遊んでいる。


「「「「夫が迷惑をかけてすいません……」」」」


何故か、お互いに謝る愛人嫁達。


慰安と言ったが、俺が愛人嫁の水着姿を見たかっただけである。


「義辰さんってどうしてこんなに自分勝手なの……?」


揚羽が言った。何だ?文句あるのか?


「ん、そういうところも可愛い」


羚が言った。


「まあ、このご時世に外国の海に行けるのは嬉しいっスよね」


昌巳が言った。


「僕もお酒飲むー!」


月兎は俺の隣で酎ハイを開けた。


「はあ……、もう、アーニーったら」


ローラが言った。


「ふふ、ヴォルフ先輩ったら、あんなにはしゃいで……。可愛いなあ」


フェイが言った。


そうして、しばらく酒を飲んで景色を堪能していると……。


「義辰さーん!焼けましたよー!」


とのことなので、チームクズは集合した。


「「「「うぇーい!」」」」


現れたクズ共は、自分の嫁にバーベキューを焼かせながら肉を食う!


俺は、俺特製タレで一晩漬けたスペアリブをいただく。


「あっ!危ないですよ!」


揚羽が注意してきた。


「大丈夫だ、火耐性スキルあるから」


俺は、トングを使わず、直接肉を取る。因みに、これはカトブレパスの肉。


そして、じゅうじゅうと音を立てるスペアリブに齧り付く!!!


「あああ〜〜〜ッ!!!ウンメェーーーッ!!!」


ジューシーな肉汁が噛めば噛むほど溢れ出てきて、よく染み込んだ醤油ベースのニンニクダレのピリッとした辛さと塩気が口いっぱいに広がる!


マジで美味いっ!!!


そこに、冷えたビールを流し込む!!!


「あああああーっ!!!最高!!!」


バーベキューコンロは10台出してる。


どんどん食わなきゃな!


「お前らもガンガン食え!酒も飲め!」


「ええっ?!未成年ですよ?!」


揚羽と昌巳が抗議してきたが、俺は酎ハイを押し付けておく。


「おほーっ!これウマー!!!」


アーニーも早速、レモンハーブチキン串に齧り付き、チキンを食らっている。因みに、これはバジリスクの肉だ。


「おおっ!野菜も新鮮で美味しいね!パプリカが甘ーい!」


アーニーは更に、パプリカとチキンを頬張る。


「おおお……!このポークジンジャーは実に良い!」


ヴォルフがポークジンジャーを頬張る。


因みにブルームピッグの肉だ。


「ああ……!これはパインとジンジャーに漬け込んだのね?!仄かな酸味とジンジャーの奥深い風味!たまらないわ!!!」


シーマはメカジキのパインジンジャーソース漬けを食べていた。


チームクズが美味そうにバーベキューを楽しんでいるところを間近で見ている嫁達は……。


「「「「……ごくり」」」」


生唾をのんでいた。


そして。


「あーもうっ!目の前でこんなに美味しそうに食べられちゃ、我慢なんて無理です〜っ!!!」


全員で食事を始めた。


そして。


「もうお酒も飲んじゃいますっ!ゴクゴク……、美味しいっ!」


「あはー!サイコーっすね!」


愛人嫁達は、ローストされたバジリスクを解体して食い始めた。


「んん〜っ!おいひい!皮がパリッとしてて、お肉は柔らかくて最高!」


「お酒が進んじゃうっすー!」


「美味しい」


「チキンー!チキンとビール〜!」


ローラはタンドリーチキンを口に運ぶ。


「んん!おいひっ!スパイシーで淡白な味わいが最高ね!ビールも冷えてて最高よ!」


フェイは自家製ハーブウインナーを口に運ぶ。


「わあ!プリッとした皮とジューシーなお肉、粗挽きなのがたまらないですね!」


そして、俺達はサイドメニューにも手を出し始める。


エビとアボカドのアヒージョ、鮭のホイル焼き、焼きとうもろこし、ミニトマトベーコン巻きの串焼き、スティックサラダ、きのこのホイル焼き、焼きおにぎり、貝のバジルソース焼き、ガーリックトースト、トマトチーズ焼き。


俺はガーリックトーストから攻めた。


サクッと齧ればもう最高!


シーマはトマトチーズ焼きを頬張り、すかさずハイボールを流し込んでいた。


アーニーはミニトマトに目をつけた。


「んんー!野菜甘っ!日本の野菜、甘くて美味しいよぉー!!!」


ローラは、その隣でスティックサラダを齧る。


「本当ね!日本の野菜、すごく甘い!それにこのキューカンバーのレモンソース漬け、さっぱりして美味しいわ!」


ヴォルフは焼きとうもろこしを齧る。


「甘いっ……!何と甘いのだ、日本のコーン!」


フェイはきのこのホイル焼きを楽しんでいる。


「ふあーっ!きのこ美味しいですーっ!」


揚羽は鮭のホイル焼きを食べながら、三本目の酎ハイを開けた。


「はふっ、はふ、ほふ、美味しいっ!」


羚はエビとアボカドのアヒージョをパンをお供に楽しんでいる。


「クリーミーなアボカド……、プリプリのエビ!」


昌巳は焼きおにぎりをはふはふと頬張る。


「んー!やっぱ日本人は米っすね!」


月兎は貝のバジルソース焼きを食べている。


「僕知ってるよー!これ、ホタテって言うんだよねー!美味しーよー!」


そうして、食事を楽しんだ後は……。


「恒例のスイカウォッカである!」


「「「「foooooooo!!!!」」」」


スイカにウォッカ瓶を差し込んでアルコールを吸わせたスイカである。


いわゆる、食べるカクテルだ。


適当に切ってみんなで食う。


「「「「うまーい!」」」」


「アイスもあるぜ!ウイスキー垂らして食うぞ!」


「「「「うまーい!」」」」




「がぼぼぼ……?」


「ぼがぼぼ」


「ごぼ」


「ごぼぼぽぽ……」


朝起きたら深海にいた。


酔って潜ったんだろうな。


窒息?呼吸しないくらいで死ぬ程ヤワじゃないんで。


嫁回収して帰るッかー。

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