第89話 京都府京都市
京都府京都市。
日本人には知らぬものはいない、古都、京都。
世界的にも有名なところだよな?
その中心部が京都市である。
寺、神社ばかりの古い観光地であり、人はあまり住んでいなかったのだが、この崩壊後に逃げ込んできた人が集まり、今では、付近の宇治市、八幡市なども合わせて十万人もの人口が集まっている。
ここももう、俺は全く分からないのだが、なんか知らんが陰陽師が湧いた。
陰陽師が湧いたのだ。
いや、確かに、平安時代頃には陰陽師もいたらしいが……。
何故復活した?
俺は何も分からない。
これは、俺が伝え聞いた、陰陽師達のこれまでである。
土御門吉弥という男がいる。
由緒正しき土御門家は、あの安倍晴明の子孫であるという。
実家は寺で、本人は、いわくつき物件などの除霊をして暮らしていたそうだ。
除霊!インチキではなく、本当にそういうものがあるらしい。
まあ確かに、平安の世から続く陰陽師に何かしらの儀式をやってもらえれば、安心は得られるという気持ちは理解できる。
阿漕な稼ぎ方だとは言わんよ、文化ってそういうもんだろう?
で、こいつ。
見た目は、鋭いながらも理知的な顔つき。身長は平均ほどで、痩せ型。
狐のような印象を受ける目つきは、確かな知性が秘められており、細いながらもしっかりとした身体つきは昔の日本人らしい。
そして、長い黒髪を紐で結ってある。
吉弥は、実家の神社に帰郷していた。
そこで、世界崩壊に巻き込まれることとなる。
『NAME:土御門吉弥
TITLE:占事略决
RACE:人間
AGE:28
SEX:男
JOB:陰陽師
LEVEL:56
HP:122
MP:410
STR:90
DEX:105
VIT:78
AGI:97
INT:212
MND:248
LUK:14
CHA:15
SKILL
陰陽術(上級)
式神召喚(上級)
呪符生成(中級)
呪術(中級)
占星術(中級)
瞑想(中級)
精神増大(中)
言語翻訳
遠話魔法
生活魔法
鑑定』
「この街は変わらないな……」
そんなことを言いながら、京都の街を歩っていた吉弥。
丁度、昼食を摂って、実家に帰るところだった。
家に帰ったら、父親に近況を報告して、家の仕事を少し手伝い、東京へ帰る予定であった。
子供の頃に暮らした街を、なんの気なく散歩してみる。
どうせ今日は休日だ、問題ないだろう。
そのような気持ちで、春の休暇を楽しんでいる吉弥の耳に……、悲鳴が一つ。
「な、なんだ?!」
増えていく悲鳴、獣か何かの唸り声。
とりあえず、急いで実家に戻る吉弥だったが、途中でスケルトンと遭遇してしまう!
スケルトンは、コンビニの横にある穴から這い出てきて、錆びた鉄の剣を振り上げて……、振り下ろした!
キン!と、足元のアスファルトに鉄の塊が叩きつけられ、高い音が辺りに響く。
それを見て、周りの人々は、更に大きな悲鳴を上げた……。
「妖怪変化か?!」
思わず叫ぶ吉弥。
『………………!』
そんな義弥にターゲットを定めて襲いかかってくるスケルトンに対して、一縷の望みにかけて、退魔札を投げつけた!
「急急如律令!!!」
『………………!!!!』
すると、どうしたことか。
スケルトンは苦しみだし、やがて、物言わぬ骨に戻ったではないか。
「よし、それなら……!」
吉弥は実家に帰ると、親兄弟を集めて、土御門家の古文書を引っ張り出した。
そして、呪符を量産し始める。
更に、他の神社や寺の関係者とも情報を共有して……。
「よし、妖怪変化の巣を破壊した!次に行くぞ!」
「「「「応ッ!!」」」」
『陰陽寮』という組織を作り出した。
仏教や神道関係者を集め、結成された組織である陰陽寮は、近所にある神職養成学校(そういうのがあるらしい)の生徒を吸収して組織された。
集団によるダンジョンの制圧で、京都周辺のダンジョンを破壊し尽くした。
利益のある小さなダンジョンや、陰陽師養成のために必要なダンジョンを残して、大半が破壊。
最終的には、街に現れたレベル60の大妖怪『鵺』を調伏し、街を守ったらしい。
十二神将と呼ばれる十二体の式神を自在に操る吉弥は、たった一人ながらも、式神の召喚により前衛を任せ、後衛として戦える万能JOBである陰陽師の名を轟かせた。
その他にも、式神も召喚でき物理も強い『山伏』や、物理的に強い『武僧』、強力なバッファー兼ヒーラー『巫女』が集まり、陰陽寮は戦い続けた。
そして……。
京都は要塞化し、陰陽寮に守られる堅牢な都市になったのだ。
そんな京都では、ある程度の食料自給率はあったのだが、何よりも資材が足りなかった。
陰陽術に使う紙、墨、武器の類など。
もちろん、生理用品やオムツと言った日用品の類も足りなかった。
なので、ガーベージの出現によって、様々な資材が手に入り、生活が楽になった。
ガーベージは人民の生活を守る優良企業だからなー!
ここでも支持を得られたよ。
全くもって、ありがたいね。
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