第80話 一般通過冒険者のお話 その2

俺達は、ご当地ラーメンの食べ比べをしている。


「横浜家系ラーメンなんだよなあ!このチャーシューの分厚さ!ヤサイ!ニンニク!ボリューミーな太麺!最強だろぉ?!!」


「喜多方ラーメンなんだよなあ?!!オーソドックスな縮れ麺に豚骨と煮干のスープがよく絡んで美味いんだよ!!!」


「札幌味噌バターコーンラーメン……!」


「博多ラーメンね。濃厚な豚骨スープとハリガネの細麺……、これが最高よ」


はー、ラーメン美味いな……。


社会人の頃は、仕事の都合で高級店に行くことも多かったけどな、何十万するフランス料理だ、懐石だ……、そういうのも美味いんだが、小汚ねえラーメン屋のデカ盛りラーメンみたいなのの方が……、何でかな、美味いって感じちまうんだよ。


大学生の頃、友人と馬鹿話しながら食ったチェーン店のハンバーガー。


その味は、きっと死ぬまで忘れねえんだろうな。




さて……、飯も食ったことだし、仕事を……。


しませーーーん!!!!


仕事は、しませーーーん!!!!


今からお昼寝しまーーーす!!!!




×××××××××××××××




俺の名前は伊藤和雄!


レベル二十五の冒険者だ!


司祭の水樹、魔法使いの恵、騎士の暗子とパーティを組んで、仕事に励んでいるぜ!


今日は休日だから、天海街で遊びまくってやるぜ〜!!!




とりあえず飯だな!


天海街の飯って言ったら、食い倒れ通りか天海バザーなんだが……、今は朝だし、朝飯は天海バザーの屋台で済ませるか!


天海バザー……。


天海街には、あの四天王……、外国人が言うにはBIG4の一角、《ムンドゥス》の羽佐間義辰がいる。


この崩壊後の世界の最強存在の一人が作った、世界各国に繋がるワープゲート。


そのワープゲートの中継点を、天海街の駅である天海駅にして、そこを天海ポータルと名付けた。


この天海ポータルは、今や、世界で唯一の貿易の要所で、あらゆる国の物資が集まる。


元々、天海街は、田舎なのでかなりスペースに余裕があり、物資の集積所として使われるようになった。


そんな天海ポータルの前にある、広く余った土地を利用して、外国人が出店を始めたのが、天海バザーの始まりだった。


天海ポータルのワープゲートはかなり広いし、通るのにパスポートも金もいらない。


最初は、最近開発された、火の魔石を使った『魔導コンロ』で、ホットサンドを焼くインド人が現れた。


次に、魔導コンロを使って、ホットドッグを売るアメリカ人が現れた。


その次は、氷の魔石を使った『魔導冷蔵庫』で魚を売るイタリア人が。


そして、乾燥スパイスを売るインド人が、カリーヴルストを売るドイツ人が、焼き鳥を焼く日本人が現れた。


それを見て、人々はどんどん増えた。


ダンジョン産の未鑑定品を売る冒険者が、自作の薬品を売る錬金術師が、自作の調理器具を売る鍛冶屋が現れた。


遂には、亜人までもが集まって、物を売り始めた。


そして、今や、天海ポータル前には、世界一のバザーが出来上がっていたのだ。


そして、そのバザーのすぐ近くには、世界最高の冒険者用品店、屑籠屋があった。


このバザーなら、世の中の大抵のものは揃うんだよな。


一日中やってるけど、混むのは朝の五時から六時頃かな。その頃に、各国の飲食店が仕込みをやるから、買い出ししに来る人が多いらしい。


今は八時、そこそこ空いてきたところだろうな。


さ、朝飯にしよう。


冒険者は腹が減るからな!


朝飯もがっつり食わなきゃ駄目だ。


まずはスープから攻めるか。


謎の漁師風フランス人の屋台にあるブイヤベースから行ってみよう。


「一杯ください!」


「サンヒャクエン!」


三百円を渡す。


「ドゾー!オイシヨー!」


木の皿にフォークが添えられて渡される。大盛りのカップ麺くらいの量はある。


魚介がたくさんでこの量、コスパいいな!


「いただきます」


お……、美味い!


立ち食いしやすいように、エビや貝は剥き身で、食材は一口サイズだ。


それと白身魚が入ってるな。何かは分からんけど美味え。


「ごちそうさまでしたー」


次は……、パン!


「ホットドッグ!ニビャックエン!!!」


ホットドッグかあ!


「すいません、二つください!」


「ホットドッグ、ツー?」


「イエス、ホットドッグ、ツー!」


四百円渡す。


ホットドッグはシンプルに、パンにソーセージとケチャップだけ。


「お、アメリカン」


味は大味だ。


パンがパサパサで、ソーセージの肉汁でパンを濡らして食べる感じだな。


だが不味くない、決して不味くないぞ。


次は……。


「おう兄ちゃん、焼き鳥だよ!一串五十円!食べてきな!」


焼き鳥か!


えーと、ねぎまとつくね、砂肝か。


「おじちゃん!ねぎまとつくね、タレで三本ずつよろしく!」


「あいよ!」


焼き鳥は……、うめーっ!


崩壊前の味だ!


串をゴミ箱に捨てて移動。


次はどうしようかな?


おっ、ここは……。


「おにぎり〜!一個百円!美味しいよ〜!」


おにぎりか!


丁度米が食いたかったんだよな!


「えーと、シャケと、焼きたらこと、梅!二つずつ!」


「あいよ!どうぞ!」


んー!おふくろの味って奴だな!


最後に……。


「焼きとうもろこし!美味いよー!一本五十円だ!」


「四本ください!」


うほーっ!とうもろこし美味えっ!


ふー、こんなもんか!




さて、午前は……。


風呂に入ろうか。


午後に向けてな。


天海街は温泉街で、風呂が多いからな!


ぶっちゃけ、生活魔法で清潔を保てるから、風呂は気分だ。


俺の目的は風呂の後……。


っと、その前に昼メシにするか。




昼は食い倒れ通りだな!


今日は牛丼の気分だ!


「チーズ牛丼、キング盛りで!」


「はーい、チーズキングはいります!」


んー!


牛丼は美味いな!


流石に崩壊前とはちょっと味が違うような気もするが。


うーん……、あ、そうか!肉が美味いんだ。


これ、モンスター肉だろ?


メニューを見ると、ハリアルシティ産ブラックブル肉使用って書かれてるわ。


あと、やっぱり量が冒険者向けに多くなってる。


美味いな!




そして、午後はお楽しみ……。


「あら、カズオったらまた来たの?」


「は、はい」


「うふふ、お盛んね!素敵よ!」


サキュバス風俗だ!


ピンク通りのサキュバス風俗!


冒険者の憩いの場!


え?俺?今年で18だけど?何か問題あるか?


俺はオキニのメアちゃんを抱く!


一時間一万円の激安価格!


おっと、これ以上はNGだな。


「メアちゃん!」


「おいで、カズオ!」




ふへへ、毎日楽しいな!


ニートより冒険者だ!

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