第79話 世界崩壊一年目の天海街
俺は、>>436と協力して、天海街にインキュバスの風俗店をオープンした。
……驚いたことに、男に飢えた女性と、割とたくさんの男が来店していた。
ホモは分からんが、女にも性欲はあるからな。
インキュバスは懐胎制御スキルで、相手を孕ませるかどうかを選択できるから、安全に性行為ができて安心だと、荒くれ者の女冒険者や、火照った体の未亡人に人気だ。
ガチホモ兄貴達も、ゴリマッチョからナヨナヨなで肩美少年まで、幅広いインキュバスとやれて嬉しいとのこと。
この通りは介護ホームだったんだが、今では、ピンク通りと呼ばれる風俗街になっている。
だってまあ、介護ホーム、個室たくさんあるしね。
衛生については、サキュバスやインキュバスは魔法が得意で、生活魔法は確実に使えるから、『ファンクション:クリーン』で綺麗に保たれている。
イソジン片手に……、ってことはない。
にしても……、サキュバスやインキュバスは基本的にバイだから、インキュバスの集落は怖かったな。
ホモインキュバスに迫られ、思わず皆殺しにしてしまうところだったが、>>436の仲介でどうにか交渉できた。
ホモであることは罪じゃないがノンケに迫るホモは万死に値するからな。
気をつけてほしい。
そんな俺は今……。
「チェッパチャップスで一番美味いフレーバーはコーラだろォ?」
「ストロベリークリームなんだよなあ」
「サングリアね」
「プリンではないだろうか」
などと言いながら、麻雀を打っていた。
「リーチ」
「それカン」
「ツモ」
「むむむ」
因みに、運が絡むゲームだとアーニーが一番強い。
だが、知能も絡む麻雀なら、俺達にも勝ち目はある。
「はいそれロォン!役満!死ね!!!」
「あああああああーーー!!!!」
今回は俺が勝った。
アーニーがドベ。
まあ別に、学生の頃みたいに金賭けてやってる訳じゃないし、勝ったからといって何かがある訳ではないのだが。
だがまあ、勝つと気持ちいい、気持ちいいのだ。
「はぁ〜、今日は気持ちよく酒が飲めるわー」
「ムカつくー」
「おっアーニー君、どうしたんだい?機嫌が悪そうだが?!!」
「ムーカーツークー!」
さて……。
今は五月。
世界崩壊から一年と二ヶ月が過ぎた春のとある日。
俺達は、揃いも揃って暇なので、愛人に屑籠屋の運営を任せて、自分達は俺の洋館で麻雀を打っていた。
「てか腹減らない?」
「腹減ったわな」
「そうね」
「む」
「肉食いてえっすわ」
「肉だねえ」
「肉ね」
「む」
「「「「はー、焼肉すっかー」」」」
焼肉セットを用意して、と。
肉も用意して。
「はあ〜、焼肉焼肉」
肉を焼く。
「ハラミから攻めていきまーす」
「「「yeah!!!」」」
肉。
熟成モンスター肉をジュワッと焼いていく!
「うめー!」
「ビール!ビールが欲しい!」
「ウォッカなのよねえ」
「黒ビールだ!」
全員で酒を飲む。
「「「「美味え!!!」」」」
「アルコールは人類の友なんだよなあ!!!!」
「サイッコー……」
「肉が美味い」
「良い肉だ」
っと、焼肉を楽しんだ後は……。
チームクズと別れて、街の見回りでもするか。
今回はピンク通りの見回りだ。
「いらっしゃいませー!」
賑わっているな。
んん?
「あ、あの……」
「あらぁ、坊や、お客さんかしら?良いのよ、いらっしゃい?」
15歳くらいのガキがサキュバス風俗店に入っていったな。
まあ良いんじゃない?
未成年だから〜、とかそういうのはかったるい。
ぶっちゃけ俺も高校の頃から酒飲んだりタバコ吸ったりしてたからなあ。
別にガキがセックスしたがってもおかしくねーだろ。
大体、15なんてやりたい盛りだろうに。
暴発してそこらの住人をレイプするくらいなら、サキュバスにスッキリさせてもらって来いやって話だ。
飲食店がたくさんある通り。
ここは、宿屋が密集している宿屋通りのすぐ隣。満腹通りや、食い倒れ通りの通称で呼ばれる通りだ。
この通りには、俺の喫茶店『ディメンション』がある他に、牛丼屋、ラーメン屋、たこ焼き屋、焼き鳥屋、焼肉屋、パン屋、居酒屋……。
様々な飲食店が集まっている。
もちろん、世界崩壊により、出せるメニューは激減しているが、それでも、この天海街では、唯一、崩壊前の飲食が楽しめると話題になっている。
特に、喫茶店ディメンションは、世界最高峰の料理と酒を出すと話題だ。
まあ、うちの喫茶店は、崩壊前からの常連と、『異名持ち』の冒険者くらいしか通えない雰囲気になっているのだが。
それでも、天海街は、世界で唯一貿易をしている都市だ。
色々な食材が集まる。
この崩壊後の社会の一般的なコミュニティの食事が、江戸時代前の戦国時代並……、つまりは、米と、あわやひえ、そして山菜の、塩が足りない薄味の雑炊……、みたいな感じだ。
基本的に、その地で育つものしか食べれないのが普通だそうだな。
安全な流通が保証されていないので、末端のコミュニティまで食品やら資材やらが届かないのだ。
しかし、天海街では、大抵のものは揃う。
カレースパイスからカカオまで、幅広いものが揃うようになっている。
次。
ここは、天海ポータルの付近の、天海バザーだ。
天海街は田舎故に、スペースが有り余っていて、駅の前に大きな空き地がある。
そこを、天海ポータル開通により集まった外国人達がいつのまにか占拠していて、バザーが始まっていた。
毎朝、色々なものが売られている。
魔法で氷も出せるから、生ものも売っているぞ。
茶葉、スパイスなどを売る謎のインド人、魚を売るイタリア人、大道芸をするアメリカ人……。
鶏肉や卵を売るワーウルフ、魔石を売るリザードマン、刃物を売るドワーフ。
天海バザーで揃わないものはないとされている。
そう、亜人。
亜人も、天海バザーに現れる。
天海街は、ブラックリスト入りしない限りは、誰が入っても良い、自由な街だ。
天海街の住人はそこそこ強いし、警邏は精強だし、そもそも馬鹿なことをやれば、天海街に溢れるほどにいる冒険者に袋叩きにされる。故に、天海街の治安はいい。
天海街に来る亜人は、そこそこ日本語を話せるし、無理でも、天海街の誇る総合冒険者用品店『屑籠屋』にて、言語翻訳のエンチャントがかかったアクセサリーを買えばいい。
だから、天海街は、人種のるつぼと化している。
本当に色々な奴がいる。
大倉教授だけじゃなく、亜人種と結婚した変態も多数いるし、亜人の冒険者も多い。
もちろん、亜人の犯罪者もいるが、そういうのは人間と同じように裁かれる。
にしても、驚いたのは、亜人と人間が交配出来るところだな。
既に方々から、亜人のガキを孕んだとか、亜人を孕ませただとか、色々な噂が流れてきている。
医療機関もそれなりに機能してはいるので、子供は割と安全に産めるらしい。
そして、子供が多いなこりゃ。
滅亡寸前だから、生存本能が刺激されたのか、どこもガキが多い。
いや……、天海街が、ガキが育てられるくらいに豊かってだけの話か。
まあ、なんだ、とにかく。
天海街はいいとこ、一度はおいで、ってところか。
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