第47話 現在の日本
現在の日本について見てみよう。
東京、大阪、名古屋、福岡などの人口密集地は全滅し、放棄された。
どうやらダンジョンは、人口が多い場所にできたようだ……、みたいな話はもうしたはずだ。
何でだろうな、殺意高いわ。
まあ、ダンジョンを生き物として見れば、餌が沢山ある首都圏に現れるのはおかしなことじゃない。
それとも、ダンジョンにとって住みやすい場所が首都圏だったとか?
まあ、そんな訳だから、人口が密集していた首都圏や、空港があるような大都市は壊滅している。
既に、大使館の外国の要人などは、船で外国に送り返したらしい。
飛行機だと、そこそこの確率で、飛行モンスターに襲われて爆散するので、船だそうだ。
因みに、在日朝鮮人や中国人は、何故か帰国を拒否して、しかも暴徒と化して暴れ回っている。
安保はアメリカが一方的に解約して、米軍は全てアメリカに帰還した。
在日外国人のうち、しっかりと日本で働いていた人々は、普通に死んだり保護されたり。
観光で来ていた外国人は、空港に押し寄せたが、空港があるような人口密集地には高レベルなダンジョンができたので、無事死亡。
日本に寄生する気で来ていたアジア人や、偽装難民は、日本人を盾にして生き残り、避難地へ。
そんな感じか。
まず、暫定首都の長野。
ここは、元からダンジョンの発生量も少なく、山岳に囲まれていて比較的安全であることから、ここを中心に日本再興を目指すそうだ。
長野市はダンジョンが掃討され、ダンジョン産の石材による城壁が積まれ、バリケードができつつある。
少なくとも、街の中に低ランクのモンスターが侵入することはないだろう。
人口は約三百万人程で、長野県長野市を中心に、諏訪方面までに広く人々が分布。
最も層が厚く、自衛隊本部もあり、色々なものの生産と研究をしているらしい。
医薬品、化石燃料はここ長野の臨時政府でしか調達できないので、日本全国のコミュニティはまさに命綱を握られているようなものだ。
その他にも酒やタバコ、新聞、僅かだが娯楽本なども生産している。
インフラやライフラインも最低限は生きており、ギリギリ昭和前くらいの生活ができている。
そして、新潟。
長野の北側。
ここは、田畑が沢山ある、食糧生産地だ。
ここで食品を生産して、各地に船で輸送するようになっている。
コンバインを動かす燃料がないので、手作業でザクザクと畑を耕しているらしい。
食料の生産は、人口の激減によりどうにか足りているとのこと。
しかし、油断をすれば飢餓もあり得る綱渡り状態らしく、早急に対策を考えるべき……、だそうだ。
人口は二百万人。
東北。
東北は、亜人の住処になっている。
元々、自然が豊かで、人口も少ないので、亜人達が集まって、身を寄せ合って暮らしているようだ。
建物はそのままで、亜人達が百万人ほど住み着いているらしい。
亜人は、別に人間に興味はないらしく、各々が自由に暮らしている。
友好的と言えるほど人間が好きな訳ではないが、敵対的と言えるほどに嫌ってもいない。
田舎のお隣さんくらいの気持ちで生きているので、頼めば一晩泊めてくれたり、食べ物を分けてくれたりする。常識の範囲内で親切にしてくれる訳だな。
福島県は特に、亜人が沢山いるようだ。
政府は、亜人との交渉の結果、まんまと亜人を労働力として使うことに成功。
亜人に農作をやらせることに。
元々、草食系獣人は農耕民族なので、年貢を納めることに異存はないらしい。
二公八民の割合で農作物を徴収し、更に数パーセントを新日本円硬貨で買い上げているらしい。
基本的に、亜人達が前にいた世界では、五公五民の割合だったらしく、亜人達は文句を言うどころか喜んでいた。
農業系のスペシャリストが派遣され、亜人達を指揮して農業に励んでいるらしい。
亜人達にも薬品や外科手術が有効で、酒も飲むし、娯楽も楽しむ。
見た目と肉体は違えど、精神性は似通った部分があるので、外国人労働者のような扱いをしているらしい。
亜人からすれば、農地と家をもらい、薬品や酒、娯楽品を融通してくれていると言うことになるので、亜人達は特に文句を言わない。
そして北海道。
ここも、亜人が住んでいて、農耕地になっている。
しかし、何より、野良モンスターが多くて危険だ。
ダンジョンも数千数万とある。
今は、北海道冒険者組合と言う組織が主導で、潰せるダンジョンを潰して、居住区を確保している。
そんな訳で、スキル保有者が多数存在し、多数の魔導具を輸出している。
東北、北海道の人口は二百五十万くらいか。亜人を抜いて、だ。
九州は人口三百万人ほど、人々は南側に移動した。
戦闘系スキルである、「示現流」スキルは、対モンスター戦で極めて有用なので、九州の冒険者は強いとされている。
近畿地方は、在日朝鮮人や中国人に荒らされて大変なことになっている。
十万人程の在日外国人が集まり、「チョッパリは我々の生活を保障しろ」「いきなり差別かよ?チョッパリらしいな」と叫んでいる。
もちろん、国際社会もクソもないこの世界で、要求する割に生産しない連中は迷惑極まりないが、もし、ここの十万の在日外国人を野放しにした場合、隣の中国地方や中部地方に暴徒として流れ込む。
なので、政府は仕方なく、物資の融通をしているようだ。
中国、四国地方は亜人との共存。
高レベルダンジョンは、ダンジョンの周囲の環境を作り変える特徴がある。
これを、流出現象と俺は勝手に呼んでいるが、中国、四国地方ではこの流出現象があまりにも顕著に見られる。
そのせいで、中国、四国地方の一部は、モンスター溢れる森林地帯になったり、毒沼になったり、火山ができたりと大忙しだ。
人外魔境と化した中国四国は、人間の生存領域が制限されて、森林地帯に百万人くらいの人間が亜人との共存をしているだけに留まる。
なお、亜人は親切で優しいが、決して甘くはないので、仕事をしない奴は容赦なく追い出された。
むしろ若い奴の方が伸びしろと適応力があるので、老害は追い出されている。
そして、関東。
東京は、高レベルダンジョンの流出現象で完全に人の住めない世界に変化している。
そもそも、レベル八十以上のモンスターともなると、まさに生きた災害そのものと言っていい。
存在するだけで周囲の環境を変化させるので、東京は今、極寒で灼熱の台風の地震……、みたいな、頭の悪い領域になっている。
一般人なら、近付いただけで消し飛ぶ。
幸いにも、そのふざけたモンスターやダンジョンは東京から移動しないので、日本は滅亡の危機を免れている。
東京以外の関東圏は、ちょこちょこと人々が小さなコミュニティを形成し、簡単な農作や畜産を行なって生き残っている。
天海街は、そんなコミュニティに声をかけて、人を集めている最中だ。
取り敢えず、一万人ほど集めたら、更に街を拡張したいと考えているらしい。
また、天海街は、日本で最も多く、高レベル者、スキル保有者が集まっている。
冒険者の憧れの地であり、魔導具のメッカでもある。
天海街から輸出される魔導具は、天海街ブランドとして、自衛隊で正式採用され、冒険者も喜んで買う。
冒険者の平均レベルも高く、そもそも関東圏のダンジョンはレベルが高いので、手に入る素材も貴重で、レベルも上がりやすい。
よって、天海街は、新世界のエルサレムである。
今は落ち着いているが、これから爆発的に人口が増える見通しだ。
実際、最近は一日何十人という単位で、天海街に人が現れている。
そして今日、また新しく住人が増えた。
「あ……、しゃ、社長、その、あの」
「月兎(るな)じゃん、お前生きてたのか」
「は、はい!しゃ、社長が、社長に、その、会いたくて、頑張って、その、え、えへ、えへへへへ」
「月兎、取り敢えずお前風呂入ってこい、洗ってない犬の匂いがする」
「す、ごめ、すみませっ!社長、すみませっん!僕、臭くてごめんです!き、嫌いにならないで!」
「分かった分かった、ほら、頭洗ってやるからついてこい、な?」
「は、はいっ!」
「あと、俺はもう社長じゃねえよ、名前で呼べ」
「え?え、じゃ、じゃあ、たーくん?」
「それで良いから、ほら、風呂だ」
昔の会社の社員とか。
いやー、死んでると思ったんだが、しぶといな、月兎は。
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