第27話 野党と天海街
「はいロン、一盃口」
「クソ、相変わらずリアルラックが強えぞこいつ」
「いやあここの違いよ、ここ」
頭を指差すアーニー。
「言うねえ」
「むう……」
「ふん、麻雀が強かろうと、この世界ではなんの役にも立たないわ」
「おっ、負け惜しみかなシーマ君?」
「あ"?殺すぞ?」
「ヒェッ」
四人で麻雀を打ってる。
ギャンブルはいい、心を豊かにする。
娯楽がないと駄目だよな、やっぱり。
馬とかも複製してあるから競馬でも……、いや、場所がねえな。
ナンバーズでもやるか?
でもそこまで貨幣活動が活発な訳じゃないんだよな。
会計もめんどくせえし。人口も少ないし。
儲かり具合とめんどくささを比較してめんどくさい気持ちが上回るならやめた方がいいってことだ。
労働のコストと対価はしっかり考えなきゃな。無駄な労働程下らないものはない。
俺が聞いたのでは、とあるブラック企業の社長が、自分の会社の社名をネットに打ち込むと、サジェストにブラック企業と出てしまうことに怒り狂い、社員を使ってサジェストをプラスな印象のものにするために延々とサジェスト直しをさせられた、なんて話もある。
その時間、社員を働かせたらもっと利益出せたでしょ?アホかな?
とにかく、無駄は省かなきゃならない。
俺は必要な仕事しかしない。
この前の政治家?の奴らが茶々入れてくるのも、対処は俺の仕事じゃないな。
クレーム対応なんて、言っちゃ悪いが下等な仕事だろ?経営者の俺がやることじゃないだろう、そんなものは。
だから、無視する。
どうせ、あいつらに実行力なんてないんだからな。少ない手持ちの財産をばら撒いて、強さを見せつけようとしているだけなんだ、あいつらは。
アホな政治家共だって、馬鹿で気狂いでも、利益を吸うのはそれなりに「お上手」だぞ?
とっくに、自分達に後がないことなんて分かってるだろ、あいつらも。
だから今、必死に「政治活動」をなさってるんだぞ?空回りしているとか、そういうのは置いといて。
行動するだけ偉いじゃないか。その行動が百パーセント完全害悪でも。
そんな訳で、ああいう奴らを殺すのは簡単だが……、それは何か不利益になることを実行されたら、だな。
それに、殺さなければ、国は俺に対する借りがそれだけでどんどん積み上がっていく訳だからね?
よく考えてほしいが、防衛大臣がガチで土下座しに来るのって、かなり下手に出られてるよ?国の将軍が一個人に土下座して謝ってるんだからね?しかも、何度も……。
第一、頭おかしいクレーマーに一々本気になってガチギレしていたら、経営者なんてできなくない……?
三時間ほどで解散。
今日は休みだから、そこら辺散歩して遊ぼうか。
それとも、また遠出して大倉教授連れて亜人の集落にでも行こうか?
滋賀県の琵琶湖に大規模なリザードマンの村が……。
ん?
「もういい加減にしてくれたまえ!私の妻を侮辱するんじゃない!!」
「何を言っているんだ!人類の敵め!」
「グルルゥ……」
「こんな化け物と夫婦だと?狂ってる!」
「彼女は亜人種のワーウルフで、理性と知性がある!見た目だけで差別するとは何事か!!!」
「我々××党は、モンスターの完全根絶を公約に掲げているのだ!その化け物も退治しなくてはならない!」
「世界がこうなって公約も何もないだろう?!選挙など出来ると思っているのかね?!!」
おーやおやおや。
面倒事じゃーん。
「関わらんとこ」
俺は見なかったことにした。
大倉教授は取り込み中みたいだ。
後で声をかけよう。
なら温泉にでも……。
「申し訳ないが貸切にできないかね?」
「できません、予約もなしに……」
「我々は××党だ」
「だからなんですか?」
「何だと?!我々の慰安のために使うから、一般市民の立ち入りはご遠慮願いたいと要請しているのだ!」
「ですから、できませんよ、そんなこと!」
……後にしよう。
揚羽でもからかって遊ぶか。
「聖川君だったね。君は素晴らしい力を持っているそうじゃないか。それが、こんな地方都市で燻っているだなんて勿体ない!××党主導のダンジョン攻略計画に是非参加してもらいたいのだが」
「あ、あの、私、そういうのは……」
「分かってないなあ、君は。今回のダンジョン騒ぎだって、無能な跡部政権でなければもっと早く終わっていたに違いないと思わないか?」
「は、はあ」
「我々が跡部政権を打倒し、政権を握った暁には……」
「す、すみません!私、そういうのは分からないですから!さ、さよなら!」
「待ちたまえ!コラ!待て!」
……今度にしよう。
道場に行くっかぁー。
「いやあ、素晴らしい戦力だ!これだけの戦力があれば、ダンジョン攻略も捗ることでしょう」
「何スか、あんた」
「私は××党の石川です。こちらの戦力を平和の為に活かしてくれる気はないかな?」
「はぁ?」
「君達国民はこう考えているだろう。何故、日本がこんなことになったのか?お答えしましょう、それは、跡部政権の所為だ!」
「……あー、そう言うのはどうでも良いっス。用事がないなら帰って下さい」
「これは命令ではなくお願いです。我々××党は、跡部独裁政権の様な命令を下すことはありません!ただ、皆さんの良心に訴え、国の為に」
「あーもー!うるさーーーい!!!」
……帰ろ。
羚と本の話でもするか。
いやあ、俺もそれなりに読書はするからな。
羚には俺オススメの奇書を押し付けておいたから、本の解釈について議論したりしたい。
貸本屋はーっと。
「……で、あるからして、この魔法は」
「いやあ素晴らしい!その能力を、我々××党主体のダンジョン攻略作戦で活かしてみる気はないかね?」
「ない」
「跡部独裁政権がおかしいと思わないのか?!林友学園を発端に、米軍基地問題やマスコミへの忖度!跡部政権を倒そうという若者の熱い意思はないのか!!」
「確かに、現在の◯◯党が百パーセント正しいとは言えない。万人に支持される政治など歴史上存在しない。しかし、貴方達××党よりはマシだと思っている」
「なんだと!小娘が!!」
……また今度にしよう。
最上の爺さんのとこにでも行くか。
最上鉄心、天海街の鍛治師だ。
「最上さん、貴方の武具は素晴らしい出来だ。是非、我々××党のSPや、党員の護身具を作ってもらえないだろうか。こんな時勢故にお返しできるものは今はありません。しかし、我々が跡部政権を打倒した暁には必ずやお返しを」
「……オメェらは戦うのか?」
「はっ?い、いえ、戦うのは自衛隊の役目でしょう。ただでさえ金食い虫なのですから、こういう時こそ役に立ってもらわねば」
最上の爺さんはアムドライトとメギドライトを指差して言った。
「この武甲鉄(アムドライト)や終戦鉄(メギドライト)はな、天海街の警備隊の皆さんが命懸けでダンジョンからとってきてくれたもんだ。俺達鍛治師だって、鍛治魔法っつう珍妙な方法だが、命懸けで武器を打ってる」
「は、はあ」
「それを……、オメェらのおもちゃ作りを、タダでやれだとぉ?舐めとんのかクソガキがぁぁぁ!!!!」
「ひぃ!!!」
「出て行けーーー!!!!」
「ひいぃ!!!!」
……うちに帰ろう。
「シーマー」
「何だ」
「暇だから遊んでくれ」
「ではここを半田付けしておいてくれ」
おおっとー?
遊ぶはずが仕事を追加されたぞー?
まあ良いや、それくらいなら。
「俺、イマイチ、ハード面は専門じゃないから知識が足りないんだけど、これは?バッテリー?」
「そうよ。私が創り出す雷の魔剣から電力を抽出して、半永久的に電力を供給できるバッテリーにできないかと思ったの」
「ふーん」
半田付けー、久し振りだな、ちょいちょい、っと。
「そっちは?」
「ドローンを設計してるわ。その半永久バッテリーをドローンに搭載して、日本中に飛ばして遊ぶ予定」
なるほどな。
「もう一機作ってくれ、俺も欲しい」
「四機作ってあんた達にもあげるわ」
「有り難いね」
「それにこれはモデルケースよ。将来的にはこの魔剣バッテリーや、今開発中の魔石発電機なんかで一山当てるわ」
ほー。
この女、働いてない様に見えて以外と頑張ってるんだな。
見直したわ。
「ほい、終わったぞ」
「……よし、良いわね」
組み込んで……。
「テストするわよ、まずは室内で飛ばすわ」
おー!
おもしれー。
「明日、あいつらにも見せようぜ」
「ええ」
楽しいわー。
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