第26話 野党の動き

喫茶店ー、喫茶店ー。


今日も喫茶店経営ー。


「こんにちは羽佐間君。××党議員の石川三郎です。今回は大切なお話が」


「注文は?」


「いえ、注文ではなく、お話が」


「注文は?」


「日本の危機を救うべく、ダンジョン攻略の」


「注文は?」


「き、聞いているのかね?」


「注文がないなら客じゃないな、出てけ」


俺は議員の襟首を掴んで店の外に放り投げる。


「ぐあっ!!」


さて、今日の裏メニューはマルゲリータピザだ。注文も入ったことだし焼かねば。




喫茶店ディメンションのメニュー。


まず、オリジナルブレンドコーヒー。至高の一杯とされ、テレビの取材が何度か来た程の激ウマコーヒーだ。


他にも百パーセントオレンジジュース、アップルジュース、ココア、アイスコーヒーがある。


フードメニューは色々ある。


まず、自家製パンを使ったサンドイッチ。ミックスサンドとフルーツサンド。


それとホットケーキ。


パスタはミートソーススパゲティとペペロンチーノ、ナポリタンの三種類。


それとハヤシライスとオムライス。


ハンバーグもある。


量は学生向けにちょっと多めだ。


ケーキはショートケーキとチーズケーキ、ティラミス。それとプリン。


そして俺の気分で作る裏メニューと言う名の日替わり定食。


裏メニュー……、四日前は唐揚げ定食、三日前はチャーハンと餃子、二日前はブッフブルギニョン、昨日は海鮮丼、今日はピザ……。まあ、適当に俺が作りたいものを作っている。


あ、それと、俺の作れる料理のバリエーションが豊富なのは、学生時代に皆で旅行に行きまくったからだな。


それと、世界のものを複製するために数カ月間旅したのも、俺の料理のバリエーションを増やす要因の一つだったな。


料理スキルのお陰で、一度食べた料理は再現可能だしな。


そんなこんなで美味い飯とコーヒーの店として、主に学生が来る。


開店時間は午前十時から午後六時まで。


バイトには賄いあり。


時給千五百円。


そんなこんなで、現在では飯を食いに来る人も多い。


しかし、洋食メインなんで、老人はあまり来ない印象。


まあ、そんな感じだ。




「マスターさん流石ー!」


「××党って本当、頭おかしいよねー」


「マスターさんが断ってるのにしつこいよね」


俺はピザ生地をくるくる回す。


トマトソースとたっぷりチーズ、そしてバジル。


これを窯で焼く。


そして。


「はーい、ピザお待たせー」


「わー、ありがとうございます!いただきまーす!」


「美味しー!」


「すっごく美味しい!Lサイズで千円の安さなのに、この美味しさは凄いよー!」


キャピキャピしてる女子高生達。


「これ食べたら遊びに行こうよー」


「どこ行くー?」


「映画見に行かない?」


うむ、女子高生は良いな。


天海街の娯楽施設についてだが。


天海街では主に、銭湯と化したしろがね屋と、他の温泉も全て銭湯に。


そして、古い映画館が再稼働し、ゲームセンターは他所から拾ってきた様々なゲームを押し込まれて稼働中、本屋が貸本屋になったりなど。


他にも、余っている土地で草野球やらテニスやらやっている人が多く見られる。


著作権もクソもないので、TRPGなんかも、ルールブックがコピーされまくって、かなり流行っているように思える。


まあ俺が流行らせたんだけど。


学生達は健康的にスポーツやるか、TRPG、ボードゲーム、ゲーセン、映画と、普通に生きているっぽいよ。


電気は、その辺にあるガソリンスタンドや、簡単な風車発電やソーラーパネルでちょっとした発電装置をでっち上げたらしい。工場のオッサン達は凄いな。


で、若いのは全員バイトをやっている。


農家やら警備隊の見習いやら鍛治師見習いやら……、色々だ。


俺のところにも喫茶店見習いが来たが、男だったので断った。


「ぐぐぐ、おいっ!貴様っ!私を誰だと思っている!」


「注文は?」


「だ、だから話を聞け!」


「注文は?」


「こんなことをしてタダで済むと」


「注文は?」


「私は××党の石川だぞ!我々が政権をとった暁には、天海街には公的組織の手が」


「注文がないなら客じゃないな、出てけ」


俺は襟首を掴んで外に放り投げる。


「ぐああーっ!!!」




さて、帰るか。


店を閉める。


「君が羽佐間君かね?私は××党の中村優也だ」


「人違いです」


「む?そうかね。では、羽佐間君がどこにいるか」


「さあ?知りませんね」


洋館へ帰り晩飯にする。


晩飯はコロッケにした。


シーマとだだっ広い食堂で、二人で食べる。


「どうだ?」


「美味いわね」


「多めに揚げてコロッケサンドを作っておいたから、アイテムボックスにでも入れとけ」


「ええ」


シーマも俺もパン派なので、食卓では文句を言われることはない。


まあ、タダ飯食ってる分際で文句なんて言ったらぶん殴るけどな。


シーマもその辺は理解しているらしく、食事に文句を言ったりはしない。


食後。


チャイムが鳴らされる。


無視するが、シーマが出る。


「お前さあ、居留守使えよ」


「チャイムがうるさいでしょう。門の前で喚かれる方が迷惑だ、とっとと追い返しなさい」


「貴様!やっぱりお前が羽佐間じゃないか!よくも私を無視してくれたな!」


「喫茶店ディメンションの開店時間は平日午前十時から午後六時までです。お引き取りください」


「お前はっ!私がわざわざ喫茶店なんぞに来たと思っているのか!惚けおって!」


「そうですか。客じゃないなら用はありません。消えろ」


俺は門を閉める。


「ふざけているのか?!◯◯党の支持者なんだな!跡部に毒されてるのか!!」


「お引き取りください」


「やはり跡部は害悪だ!日本のガンだ!」


「お引き取りください」


「なんだと?!」


俺は館に戻る。


しつこくチャイムを鳴らされる。


「うるさいわね、早く出なさい」


シーマは他人事だ。


しゃあねえな。


再度出る。


「貴様っ!話を聞いているのか!!二十そこらの若造の分際で」


俺は椅子とテーブル、音楽再生機とイヤホン、そして携帯ゲーム機と酒を出し、椅子に座ってウイスキーを飲みながら、音楽を聴き、ゲームを始めた。


門は閉まっている。


門の外から何かを喚き立てる議員を無視して、二時間。


「ん?あ、いなくなってる」


議員がいなくなったのを確認すると、椅子やらゲーム機やらをアイテムボックスに仕舞い、館へ帰る。




シーマは工作室で何か作っているようだ。


最近、あいつは工作して遊んでいるみたいだな。


なんか面白いものができたら見せてくれと言っておいてある。


俺は寝る前にTRPGのシナリオを書いて、一人でテストプレイする。


零時頃には寝る。


明日はもーっと良い日になるよね、◯ム太郎!


おやすみ。

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