第25話 クズ同士でつるむ
最近、野党の××党の議員達がよく来る。
視察とか言って天海街で遊んだ挙句、ワーウルフや街でテイムしているモンスターに失礼な発言をして、俺に無償で技術や戦力を提供しろと命令し、後で来た防衛大臣が土下座して帰っていく。
うーん?
まあ、ここは『日本』の天海街だ。
与党だろうと野党だろうと、不法入国した外国人とかでもない限り、誰でもここに来る権利はある。
「だからそんなこと言われても俺はどうしようもないんですよ。お分かりですか?」
「「「しかし……!」」」
揚羽父と署長、学長が食い下がる。
やめてくんない?
そう言うのさー。
何かと俺を矢面に立たせようとしてくるけどさー。
俺は嫌だって言ってるよね?
あんたらだってなんだかんだ言って責任から逃れたいだけの癖によ。
「まあ、俺に何か言われてもどうしようもできないですねー」
「しかし、ワーウルフと婚約した大倉さんは、面と向かって人類の敵とまで言われたんですよ?!黙っていられません!」
はあ。
「じゃあ、黙らなきゃ良いんじゃないですか?問題なのは……、良いですか、問題なのは、なんで俺にその話を持ってくるのか?ってところですよ」
「は、羽佐間さんは天海街のリーダーで」
「いやいやいやいや、馬鹿言っちゃいけないですねえ。俺は喫茶店の店長に過ぎませんよ。政治家がヘイトスピーチをした!……喫茶店の店長がなにをできますか?プラカード持ってデモにでも出ますか?生憎デモの先の議事堂はモンスターの巣になってますがね」
「羽佐間さん……、いい加減そんな話は」
「何が『そんな話』ですか?この際だから言っておきますが、俺はリーダーじゃない。責任を人に押し付けるのはやめてもらいましょうか」
俺は責任を押し付ける側で、押し付けられる側じゃない。
俺は良い、お前らは駄目。ダブルスタンダードこそが権力者の醍醐味である。
「そ、そんなことを言っても、羽佐間さんが一番強いんですから」
「強いからリーダーになるのは獣だけでしょう。ワーウルフ達も、族長になるには、戦士であり賢人であると認められた者しかなれないそうですよ。人間が強いからそいつをボスにしてしまおう!だなんて、どう考えてもおかしいでしょうに。強さと人の上に立つ能力は完全に別のものだ。違いますか?」
「だ、だが、羽佐間さんは大規模なベンチャー企業の社長だったと」
話しやがったな揚羽、後で折檻だ。
「貴方はベンチャー企業を舐めてますか?ベンチャーはまさに生き馬の目を抜くような競争が激しい集団です。一人一人が皆行動力がありました。ここで誰に責任を被せようかなんて話は誰一人しなかった(大嘘)。それに最後には俺は、役員達から社長の任を解かれた訳ですしね」
「「「う……」」」
「兎に角、俺を巻き込まないで下さい。追い出すなら追い出す、受け入れるなら受け入れる。自分達で決めて下さい」
俺は退室し……。
「渦巻く血潮が固まり、脈動する触手の塊が異次元から産まれる。鳥のような甲高い鳴き声とともにこの世界に現れた血の魔物は、三つの瞳をぎょろりと動かし、貴方達を見つめた。SAN値チェックでーす!3d10!!」
「アアァー!!20も飛んだ!!発狂ロール振るよー……、一時的な沈黙!くそッ」
「はい、アーニーのキャラはこの戦闘中会話不能。呪文も唱えられませーん」
「3」
「4だ」
「なんだよー!二人とも正気のままかよー!僕だけSAN値がやばいんだけどー!!」
「化け物のDEXは?」
「5」
「ふむ……、イベントで手に入れた銀の十字架を掲げる。そして退散の呪文を唱える」
「私のキャラのMPをヴォルフのキャラに分け与える。これで80以下で成功」
「やった!」
TRPGで遊んでいる。
いやあ、テレビゲームは貴重な電力を食うからな。
たまにはみんなで集まってこういうのもな。
因みに酒も飲んでる。
「次はドラゴンアンドブレイブやろう!僕はね、自キャラの魔導師に最終レベル呪文を覚えさせるって決めてるからね」
「いや、ネクロドールズも久々にやりたいな」
「それを言ったらニンジャカイドウも最近はやってないぞ」
「あ、ニンジャカイドウなら最近シナリオ作ったわ」
「じゃあニンジャカイドウやろうか。上忍使って良い?」
「そもそも上忍推奨シナリオだ。ボス強えぞ」
あ、因みに場所は洋館の一室な。全員転移魔法が使えるからそれで移動してきた。
そしてこの部屋は防音。バレないって訳だ。
酒だけじゃなくつまみもみんなで作った。
「んー、唐揚げ美味っ。日本は食べ物が美味いから狡いよねえ」
「サーロもいけるな……、これはモンスターの肉で作ったんでしょう?」
「ああ、ヴォルフんとこの豚のモンスターで作った。美味いよねこれ」
「む、この野菜スティックも美味い。天海街のダンジョン農地で作ったのか?」
「そうそう。ダンジョン農地は天候は変化しても季節は変わらないから、実質ハウス栽培よ」
「うちにもダンジョンを作りに来てくれないか?」
「ええよー、今度な」
と、遊び呆ける。
「はぁー、自家製マヨ美味過ぎか?唐揚げが進むくんだわ」
「農地の関係でジャガイモばっかり食べてたからパン美味いわー」
「ドイツビール美味いわね」
「ウォッカもたまには良い」
………………
…………
……
「ところでさー」
アーニーが俺があらかじめ複製しておいたクソ上等な高級ワインを飲みながら言う。
「そっち、大丈夫なの?」
俺も百万円近いウイスキーをロックで飲みながら返す。
「何が?」
「なんかほら、政治家来てるじゃん」
「あー?」
俺はウイスキーを味わう。あー美味い。
「政治家、店にも来てるんでしょ?どうなの?」
「そんなもん、客じゃねえんだから襟首掴んで外にポイよ」
「やっるぅー」
「逆にそっちはどうだ?政治家とかは来てないか?」
「んーん、全然」
ふむ……、アメリカには、共和党と民主党の二つがあってだな。
共和党は強いアメリカ!強硬派!アメリカイズナンバーワン!って感じで、民主党は人種差別反対!社会的弱者を助けろ!って叫んでる感じだ。
因みに今の政権は共和党だな。
「チェス大統領だっけ?アメリカイズナンバーワンなんだろ?どうしちゃったんだろうな?」
「さあ……?まあ、ちょっとずつだけど、土地の奪還も始まってるみたいだしアメリカは割と平気でしょ」
「そうか?」
「そうそう。なんだかんだ言ってどうにかなると思うよ。チェス大統領は、歴代の大統領の中でも珍しく、公約を守ってみせた大統領だからね。……まあそれ以外は全部アレだけど」
「法人税下げたんだっけか?」
「うんそう。今は五大湖付近の工業地帯の奪還を目指しているみたいだね。まあ、是非頑張ってほしいよ」
「ほーん、政府からの支援は?」
「いかんせん、アメリカは広いからね。都市部の方はちゃんと支援されてるみたいだけど、南部の方はあんまりだよ」
確かこいつのいるハリアルシティは都市部の郊外の南の方にあるからな。
この前、政府が支援物資を届けてくれたとか。
「支援物資は弾薬と食料だったよ。それと、冬前までには燃料を支給するという手紙も入ってたよ」
そうか。
「まあ、やばいのは君んとこだねー、確か日本の野党は無能揃いなんでしょ?事故を装って消しちゃえば?」
「馬鹿言うなよ。百パーセント疑われるっての」
「えー?痕跡なんか残さずにやれるでしょ?」
「そうだが……、逆に、痕跡の残らんような分からん殺しができるのって俺達だけだぞ?下手に完全抹消とかすると、万事疑われてウザくないか?」
「あー、そうなるかー」
まあ、そんなもんだ。
さて、ニンジャカイドウやるかー。
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