第2話 蠱毒
アスモデウスを倒した後別の依頼が入り、帰りが2日遅れた。
「あぁ2日も風呂に入ってねぇ」
「ソフィー臭いぞ」
「ギルド、お前の方が臭い」
「ソフィー冗談だよ、君はずっといい匂いだ、薔薇のようにね」
「口説き文句なんて私には無駄だぞ」
「さて、本部に戻るか」
「話を逸らした…」
ヴァニタスの本部は城のような見た目だ、だが地下につながっているから見た目より遥かにでかい。
「機関車で何時間かかる」
「3時間かな」
「くそ長ぇじゃねぇか」
文句を垂らす。
蒸気機関車はあんまり好きじゃねぇ。
ギルドに別の乗り物に変えてと頼むのは何だかいやだ。
何しろギルドに頼むと言うのが歯がゆい。
こいつに物事を頼むと絶対ろくな事がない、だが今回はそれも承知で頼んでみることにした。
「なぁギルド、別の乗り物に変えてくれねぇか?」
「おぉおぉ久しぶりだねぇソフィーが私に頼み事だなんて」
「蒸気機関車好きじゃないんだよ」
「なら、本部にでも要請するか?」
「能力者に頼むのか?」
「あぁ本部に2秒で着くぞ」
「頼んだ」
「こういう日の為に衣装も買ったんだ、今夜は楽しもうじゃないか」
「だから頼みたくなかったんだがな…」
「よし、今呼んだ」
「久しぶりですね、ギルド様、ソフィー様」
「うわぁ!びっくりした、あ、アリスか」
「よぉ
「えぇ、ウザイくらい元気でございます」
「いいね」
「さて、帰りましょうか」
「そうだね、ソフィーほら行くぞ」
一瞬にして、目の前の光景が変わった、目の前にあったのは、城のようにでかい本部だった。
帰ってくるのは2日ぶりだ。
「今回はレベルの高い相手だったから、3日ほど休みをくれるはずだ、いっぱい休むといい、だが今夜は休めないぞ」
「誤解を招くような言い方はやめろ」
「すまない、楽しくてつい」
「ちっ」ギルドに対して舌打ちをした。
視界がおかしくなったのか、いやこれは違う、頭が落ちたのか。
「おい、影月!いきなり切って来てんじゃねぇよ」
「あぁん♡すみませんソフィー様♡久しぶりのご主人様に興奮してしまいました♡」
こいつは影月、私を殺そうと冥界から来た、死神だ、
見た目はクラシックなメイド服を着たなかなか高身長な美人と言ったところか、黒髪ロングに赤い瞳に多少の色気に大きな胸、なぜこんな奴が私に懐いているかと言うと、私が1回殺したのがきっかけで私に一目惚れをしたそうだ、殺したと言うのは違うかもしれない、そもそもこいつに死という概念は存在しない、人の死に対しては敏感だけど…
「たったの2日だろうが」
「ソフィー様の下着で我慢していました♡」
「ソフィー、とりあえず頭を治すんだ」
「あら♡ギルドさんもいたんですか」
「あぁ久しぶりだね影月」
「いい加減その気色悪い喋り方やめろ」
「ソフィー様が目の前だと♡こうなっちゃうんですよ♡」
「ところでソフィー様♡血を分けてくれませんか?♡」
「お前の刀に付いてるだろ、それ舐めとけ」
「いやですよぉ♡直で飲みたいんです♡」
「影月、ソフィー様が困っていますよ」
「アリスさんじゃないですかぁ♡殺して差し上げましょうか?♡」
「ふふふ、あなたごときが私に勝てるとでも?」
双方、死神なので永遠に決着がつかないのを分かっていないようだ、ついでにアリスの見た目について言うと執事の服を来ている、白髪クラゲウルフカットに影月と同じぐらいの高身長、瞳の色は青色で、サラシを巻いてるらしく、胸は小さく見える、色気ってより、かっこよさを感じる。アリスも私に懐いている、理由は影月と同じだ。
「落ち着けよお前ら」
「ソフィー様の言う通りです」
「ソフィー様♡こいつソフィー様の下着盗んでましたよ♡」
「お前もだろ」
「私を置いていかないでくれよ」
「「ギルドさんは黙っていてください!」」声が重なった。
「は、はい…」
「ギルド、おいで」
「うぅ、ソフィー…」
「て言うかソフィー、口が悪いキャラ、忘れてるぞ」
「今回は優しいキャラで行ってんだよボケ、ハグやめるぞ」
「ごめんなさい」
とそんな感じで楽しく話している時だった、急に身体が重たくなった、こういう時は大体、強い呪いをかけられている時だった。
「ギルド、影月、アリス、私今呪いかけられてるっぽい」
「ソフィー、とりあえず部屋に行こう」
「私が運びましょう」
アリスの能力は凄く移動に便利だ、ほんとにいつも助かっている。
「アリス、あんがと」
「いえいえ大丈夫ですよ」
「わたくし達はソフィー様を呪った奴をぶち殺してきますね♡」
「ギルド様はソフィー様と一緒に居てあげてください」
「あぁそうするよありがとう、アリス、影月」
呪いはしんどい、だいぶ前にも呪いをかけられた事があった…あの時はギルドが助けてくれたな、懐かしい。
気ずけば、私は眠りに堕ちていた。
「このクソガキが!死ね!死ね!」私が5歳の頃、私を預かっていた、孤児院の先生は私に暴行を加えて来た、毎日のように、蹴られ、殴られる。
だけど私は能力があった。不死、不死と言っても痛みはちゃんとある、5歳の頃は痛みへの耐性など無かった。
治って蹴られて治って殴られて治って切られて。
その繰り返し、誰も助けてくれない、なんならほかの人も私にストレスをぶつける。
「痛いよ、誰か助けて…」
「おいクソガキこっち来い!」また殴られるのか「はい…」いつもどうりだ、こんなの、もう痛みなんて感じない。
グサッ
「ああああああああああああああああああああああああああああああ」熱い、痛い、猛烈な痛みと焼けるように熱くなったお腹。そう刺されたのだ。
「あっはっは!これはいい!刺す時の音が最高に気持ちいい!」
「痛い!痛い!やだやだやだやだ!助けて!助けて!」
グサッグサグサグサグサ、刺す音が聞こえる、遠くなる意識の中、その音だけが聞こえる。
そして私は目を覚ました
「はぁはぁはぁ」
「そ、ソフィー、泣いてるのか?」
「最悪な夢を見た」
「そうか、大丈夫か?」
Vanitas vanitatum 目蛾遺体 @SAnaDasuTeisAmU
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