第4話・快感の噴水……ルチエ新たな男の神秘を実体験する
男言葉にも慣れたルチエこと、セイが同室のザマに質問する。
「ザマは、どんな部活に入るんだ(ですの?)」
「わたしは、ザクロス部に入ろうと思う」
「ザクロスか……オレ(わたくし)もザマがやるならザクロス部に入部しようかな」
「歓迎するよ、わたしは幼少の頃にザクロスのクラブに入っていたから、ザクロスは楽しいよ」
◆◆◆◆◆◆
【ザクロス】ラクロスに似た道具を使って行う駆け引きが重要な球技
ニチーム[十人]に分かれ。先端に魔法クモの巣が張られたスティックを使って。
それぞれのチームエリアの中間位置の空中に平行に張られた二本のロープの間に付けられた、左右二つのリングを魔法クモの球体ボールが通過すれば得点となる、一回通過すればプラスポイント。
通過は相手エリア内で攻める方向の一方向のみで、逆方向からの通過はマイナスポイントとなる。
(一回リングを通過したボールを後方の味方にパスして再通過は可能)
相手チームのゴール近くには三本の平行ロープに付けられたサイズの異なる五つのリングがあり、小さなリングをボールが通過すると得点が高い。
さらにゴールの前には、距離を開けた二重のセカンドネットとライトネットが張られていて、ゴールキーパーが道具を持ってセカンドゴールの真ん中に開いたリングのメインゴールを守っている。
ライトネットにも一回り小さいサブリングが真ん中にあり、メインリングとサブリングの両方をボールが追加すればかなりの高得点になる。
他にもオーバーヘッドシュートや、遠方からのミドルシュートでリング得点すればボーナス点が加算される
◆◆◆◆◆◆
カップに入った飲み物を飲みながら、ネトラレ・ザマが男同士の砕けた口調でセイ(ルチエ)に訊ねた。
「男同士だから、遠慮なく聞くけれど……セイは、アレはどのくらい飛ぶんだ?」
「アレって?」
「アレだよ、男が気持ち良くなった時に飛ばすアレ」
ザマがセイに近づいて耳打ちする。赤面したルチエは慌てて、キザムとアスナルが待機している隣の部屋に飛び込むと。
無言でキザムの手を引っぱって、人目がつかない男子寮の用具室へと連れてきて部屋の鍵を掛けた。
キザムが不思議そうな顔で、ルチエに訊ねる。
「いったい何ですか? いきなり?」
「教えなさい、アレがどのくらいの高さまで飛ぶのか」
「アレ?」
「殿方が男のシンボルを使って行う遊戯のような行為で……は、発射される体液の」
「精液のコトですか……精子が含まれた、色は……遊戯というのは自●とか、オ●……」
「わーっ、わーっ、それ以上は言わないでも結構です! ザマさまから『セイは仰向けだと、どのくらいの高さまで飛ぶのか』と質問されたので男同士の社交辞令の会話としては答えないワケには……教えなさい」
キザムが答える。
「そうですねぇ、個人差と角度にもよりますがルチエさまくらいの年齢だと、飛距離は顔の近くまででしょうか」
「仰向けの姿勢で、顔の近くまでですわね」
「時には口に飛び込んだり、頬や髪に飛んだりするコトも」
「わかりましたわ、早速試してみますわ……ここには、運動で使うマットもありますから」
ルチエは、キザムを用具室の外に出して、しばらくしてから、ドアを少し開けて赤面しながら小声でキザムに訊ねる。
「殿方のアレって、どうやるのですの?」
キザムは「一応の基本形は男性のメイン・シンボル使用ですが。男性シンボルのサブを弄ぶバリエーションもあります」と、断りを入れてから棒状の物体を擦る動きをルチエに示す。
うなづいたルチエは。
「理解しましたわ、あの動きをですわね……いつも、この体でやっていますわ」
そう言って、再び部屋の鍵を掛けた。
数分後──部屋の中からルチエの男声で。
「あふぅぅぅぅぅ」
そんな声が聞こえ。
晴れ晴れとした表情で、ルチエはドアを開けて言った。
「キザム、わたくしはまた一つ。殿方の神秘を知って……ザマさまに近づけましたわ」
「それは、良かったです……どんな感じでしたか?」
興奮気味に恍惚とした表情で、男体化したルチエが語る。
「頭の中が真っ白になって、花火がドドーンと夜空に大輪の花を咲かせてジェットコースターの最高点から、一気に落下するような感覚の心地よい浮遊感の中で、急速に気持ちが収束していって──その後は心地よい満足感を満喫ながら呼吸を整えましたわ。殿方は毎回あんな体験をしているのですわね……次に快感の噴水をしたら、天井まで飛びそう……で」
「それは錯覚です、実際にはそんなに高い位置までは、アレは飛んでいませんから」
「そうですの、今度ザマさまにお見せするのは? あの素晴しい噴水芸を」
「それは、やめた方が無難です」
◇◇◇◇◇◇
ルチエが入部したザクロスの練習試合が終わり、ルチエのセイとザマは二人だけで簡単に仕切られただけの、男性シャワールームで並んで汗を温水で流していた。
学園には蒸気機関があり、常に温水の供給がされている。
全裸で温水を浴びながら、セイ(ルチエ)がザマに詫びる。
「すまないザマ(さま)……練習試合で足手まといになってしま(いましたわ)って」
「初めてなんだから仕方がないよ……練習を続けていけば上達するから」
シャワーを浴びているルチエは、内心ドッキドッキだった。
(ザマさまと、裸で個室に並んで温水を……なんという、恥ずかしいコトをわたくしは)
いきなり、ルチエが入っているシャワールームのスイングドアが開き、裸のザマが現れた。
「セイ、そっちに
屈んだザマは、転がっていた石鹸を拾うと、何事も無かったように自分の個室にもどってシャワーを浴びた。
いきなり、好意を持つ男性の全裸を、見てしまったルチエが固まる。
(ザマさまの一糸まとわぬ、お姿が脳裏に焼きついてしまいました……あっ、男同士なら別に裸を見られても……もしかして、わたくしの裸もザマさまに見られて……きゃあぁ)
ルチエは、ザマの裸を見てしまったコトと、同時に自分の裸を見られてしまった複雑な気持ちから、男体の平らな胸を両手で抱き締めながら。
隣の個室で温水を浴びているネトラレ・ザマに向かって。
「好きです……ザマさま」
と、言って。ザマからの返答の。
「前にも言いましたが、わたしには男同士の趣味は無いので」
そう言い返された。
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