第12話-1

追憶の焦点

最終章 クイーン・ミーシャ


3.解決への扉


 モナクライナ大使館

 モナクライナ皇族が絡む一連の事件は終幕へと突き進んでいた。ミーシャになりすました神流はついに、今回の黒幕と顔を合わすことになり…


「あなたたちが私をここに連れてくるよう命じたんですか?」

 神流かんなが質問すると、シャンク皇子とモーガン夫人が不敵な笑みを浮かべて、事実を明かそうとした。


「ああ…本当ならホテルでお前を殺す予定だったが、作戦は失敗した」

「どうして私を殺そうと?」

「お前の戴冠式を阻止するためだ」

「え、戴冠式…?」

「あなたが皇位継承者だというのが気に入らなくてね…」

 シャンク皇子とモーガン夫人は憎しみを込めて、ミーシャに化けた神流に訴えかけた。どうやら、ミーシャのモナクライナ女皇即位に不満があるようだ。


「本当なら私が父の跡を継ぐはずだった、第一夫人長男の私が皇帝に相応しいはずだ!」

 シャンク皇子は怒りを露わにして、ミーシャ暗殺を目論んだ理由を語ろうとした。

 

 シャンク皇子は皇帝である父が退けば、次は自身が皇帝の座に就くと思っていたが、現実は違っていた。皇帝はシャンク皇子以外の人間を後継者として選出していた。

 皇帝は第三夫人、つまり、優美(ミーシャの母親)を女皇に即位させようと考えていたが…


 その矢先、悲劇が起こった。

 優美は公務中の交通事故で帰らぬ人となった。よって、モナクライナ初の女皇誕生は白紙になるわけだが…


 皇帝は優美の死に耐えながら、後継者候補を模索していた。その結果…

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