第12話ー2

追憶の焦点

最終章 クイーン・ミーシャ


3.解決への扉

 

 皇帝は亡き妻の長男(ミーシャの弟)、ルフィン皇子を皇帝の位につかせようとしたが…


 またもや、予期せぬ事態が起きた。

 ある日、ルフィン皇子は友人と共に趣味の乗馬を楽しんでいたが、突然、愛馬が暴走、彼は落馬事故に遭って死亡した。

 モナクライナ皇族は呪われているのか、皇帝は思い悩んだ挙句、三度目の正直で後継者に選んだのがミーシャであった。彼女は当初断ったが、父親の切なる願いに応えた決断に至った。


「…皇位継承順位からすれば、私の順位が上のはずだ…どうしてこんな小娘に…」

 シャンク皇子は納得いかない様子だったが、ミーシャが皇位継承者に選ばれたのには理由があった。

 皇帝には一夫多妻制で多くの所帯を持っているが、第三夫人家族、優美たちと特に仲が良く信頼関係を深めていた。対して、シャンク皇子とは彼の素行の悪さが目立つことから確執問題があり、即決で次期皇帝候補から外した。


 なお、優美とルフィン皇子の不慮の事故には、シャンク皇子が裏で糸を引いていた…


 まず、優美の死に繋がった交通事故は、お抱え運転手の運転ミスにより起きたことだが、実はシャンク皇子が運転手を買収して、事故死に見せかけたのであった。そして、ルフィン皇子の落馬事故は、彼の愛馬に興奮作用を持つ劇薬を投与したことで起きたことであった。

 シャンク皇子・モーガン夫人は、モナクライナ大使と共謀、殺し屋ナイトメアを雇うなどして、悪事を働いていき、皇帝の椅子を手に入れようと躍起になっていた。もはや、常軌を逸している状態であった。


「酷い…冷血な人間とはあなたのことを言うのね」

「どう思ってくれても結構だ、もうカタをつけたいんだよ、皇位継承を退位してくれたら命は助けてやる」

「要求に応じなかったら?」

「意地を張っても無駄だ、こっちにはがある」

 シャンク皇子はナイトメアに目を向けて、どや顔を浮かべた。


「俺の催眠術を使えば、君は自分の意思と関係なく、皇位継承退位を宣誓することになる」

「………」

 神流はナイトメアの力を熟知しており、警戒態勢を取るが…


「ん…お前、もしや…」

 ナイトメアは神流の変装に気づき始めたようだが、その時…


「…ド…ドド…ドガ…」

「何事だ?」

 何やら室外そとから物音がして、モナクライナ大使が様子をうかがおうとした。


「バァン!」

 モナクライナ大使が室外に出ようとすると、執務室の扉が破壊されて、その影響で彼はになった。


「あら…取り込む中だったか?」

 派手な登場をしたのは新室にむろであった。彼はナイトメアの操り人形やモナクライナの護衛を倒しながら大使館に侵入した。

 新室が通った跡は負傷した者が気絶していて…

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