第10話-2

追憶の焦点

最終章 クイーン・ミーシャ


1.迫りくる悪夢


「カラン…」

 侵入者の一人が新室たちに向けて、何かを放り投げた。それは煙を発生させて、瞬く間に充満していった。

「…これは!」

 侵入者が放り投げた物は催眠ガスを発生させる装置であった。


「げほ…ごほ…皆、大丈夫か?」

「くそ…奴らは何処だ?」

 催眠ガスは視界の悪化、目・鼻・口などの粘膜、網膜をやられて、苦痛を味わう効果があった。侵入者は酸素マスクを装着して、彼らを放置したまま、目的を果たすために先に進んだ。


「まずい、こっちにやって来る!」

 浅野と神流は非常事態に見舞われて、焦りの表情を浮かべていた。

藍井チーフたちが戻って来るまで、どうにか

「無茶はよせ、皇女かのじょを連れて裏口から逃げるんだ、車も用意してある」

 浅野と神流は覚悟を決めて、ミーシャを守ろうとするが…


「バァン」

 そうこうしているうちに侵入者が迫ってきた。彼らは作戦会議室の扉を破って、強行突入しようとした。

 ミーシャ・浅野・神流は侵入者と対面して、危機的状況に追い込まれた。そして…


 藍井たちが作戦会議室に駆けつけると、侵入者の姿はなかった。

「…皇女がさらわれました」

「そうか、怪我はないか?」

「はい、奴らは閃光弾で目をくらまして、我々の動きを封じました」

?」

 その時、神流が藍井に意味深な質問をした。

「ああ、彼の予想通りだ、協力感謝します」

 何故か、藍井は神流に感謝の意を述べた。

「もう結構ですよ」

 越吹もまた、神流に敬語を使い、おかしな会話をして…

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