第10話-1

追憶の焦点

最終章 クイーン・ミーシャ


1.迫りくる悪夢

 

 郊外 レンガ倉庫街 

 新室にむろ藍井あおい率いる班、そして、ミーシャに魔の手が迫っていた。新室とミーシャの尾行者数名が公安警察アジトに侵入しようとした。


「団体さんのお出ましだ」

「招いた覚えはない、お前の友達だろ?」

 新室と藍井は冗談を言い合いながら、アジト周辺に仕掛けられた監視カメラの映像を観ていた。奴らの目当てはミーシャだと分かり…


「奴らは武装しています」

「武器はあるんだろ?」

「ああ…スバル、援護を頼む」

「君は白石しらいしの傍にいるんだ」

「すみません、皆さん…私のために…」

 新室たちはミーシャを守るために作戦を立てた。彼らは持ち場に就き、侵入者を待ち受けるのだが…


「…銃を扱うのは久しぶりだろ?」

「ああ、射撃演習リハーサルなしでいきなり本番か」

 新室は武器弾薬保管スペースでぼやくが、彼の表情に不安の色はなかった。

 そして…


 侵入者はアジトの中枢、作戦会議室を目指して、得物を構えながら突入した。


「ドン…ドド…ドゥ」

 アジト内で激しい銃声が鳴り響く。新室と藍井が先陣を切り、越吹こしぶきは援護に回り、浅野あさのは敵陣の動きを監視モニター神流かんなはミーシャの護衛役を担当、彼らは役割を分担して応戦するのだが…


「………」

 新室は戦闘中に妙な違和感を覚えていた。侵入者からは感情や思考が読み取れず、どうも手応えがなかった。彼らはまるで生気がない人形のようであった。侵入者を操っているのは…


 ミーシャを狙う実行犯は〝ナイトメア〟という殺し屋で、日本の反社会組織の下っ端が彼の操り人形パペットとなっていた。


 新室たちはナイトメアのしもべに立ち向かい、敵数を減らしていった。このまま撃退は成功すると思われたが…


 その時、銃声が止んでいき、戦場と化したアジト内に静けさが広がっていった。侵入者は諦めて撤退したのか、これは何を意味するのか、新室たちは敵の不気味な動きに困惑していた。

 そして…

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