第6話ー1

追憶の焦点

第2章 陰謀の影


3.次なる展開


 モナクライナ皇女ミーシャの襲撃事件が起きた夜が過ぎ、朝日が新たな一日の始まりを示す合図を出した。

 早朝のニュース番組のトップは、モナクライナ皇族来日、昨夜の歓迎パーティーの模様が取り上げられていたが…


 ミーシャ皇女が襲われたことは一切触れられていない。皇女を襲ったのは公安警察所属の白石神流しらいしかんなであるが、彼女の名は報道で公表されなかった。報道機関はの影響で情報操作する方向に…


 東京 警察庁

 藍井あおいは官房長室に呼び出されていた。彼は硬い表情で立っていたが…


「そう緊張するなよ、呼ばれた理由は分かるね?」

「はい」

 藍井の上司、小野岸おのぎし官房室長は飄々ひょうひょうとした中年男性、臨機応変な性格タイプであった。彼は部下の緊張をほぐして本題に入ろうとした。


「昨夜はご苦労だったね、があるけど…」

「はい、支障をきたす事態になってしまいまして…」

「そのようだね、でも心配することはないよ、

「…と申しますと?」

「君の仲間は自由の身だ、今度は油断しないようにね」

「ありがとうございます」

 藍井は小野岸に深々と頭を下げて、その場を後にした。退室後、彼は安堵して表情が自然と和らいだ。


 神流は現行犯逮捕で連行されたが、厳重な取り調べの結果、証拠不十分により、身柄拘束が解かれた。また、ホテルの停電を起こしたホテルスタッフも早期釈放されてことに、裏で日本の行政機関の力が働いていた。

 結局、皇女襲撃事件は未解決の流れになった。彼女が無事であることから事なきを得たわけだが…


 一人、疑問を抱く人物ものがいた。

 

 新室は皇女襲撃事件の不可解さに頭を悩ませていた。

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