第4話-3

追憶の焦点

第2章 陰謀の影


1.パーティー潜入


 独りの正装した男性がパーティー会場に訪れた。彼は眼鏡をかけており、レンズの奥の瞳は何かを捉えているようだった。

「…標的の特徴は?」

「まだ分かっていない、あんたみたいに変装しているかも…」

 新室と越吹は無線イヤホンを使用して、会場内で密かに交信していた。そして…


「…ホテル内の警備セキュリティは支配した、今のところ、不審者はいない」

「君がか?」

「あんたから見れば、坊やかもな…後でを拝みに行くよ」

「お互いにな…よろしく」

 浅野あさのは大柄の強面男性だが、冗談が通じるタイプだった。新室と浅野は対面を楽しみにして、軽く挨拶をした。そして…


「…良かったらどうぞ」

 その時、新室に歩み寄る女性が一人いた。

「首尾はどう?」

「問題ありません」

 ウエイトレスを装った神流はフリードリンクを新室に渡して、自然に去って行った。

 パーティー会場は和やかな雰囲気で始まったが、主役が登場したことで一変した。


「パチパチパチ…」

 モナクライナの皇帝、ロイヤルファミリーが姿を現すと、歓声と拍手で盛り上がりが絶頂に達した。パーティー参加者が高揚する中、新室たちは落ち着く暇がなかった。嫌な予感が的中しなければいいがと、彼らは願ったが、とても叶いそうになかった。


 皇帝が壇上に立ち、歓迎に対して感謝の意を述べた後、演説を行った。彼の背後には王女のミーシャの姿があった。彼女は演説する父を温かい目で見ていたが…


 うごめく陰謀の扉が開かれて、麗しいパーティー会場は暗黒の世界に変貌していった。

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