第4話-2

追憶の焦点

第2章 陰謀の影


1.パーティー潜入


「あんたには招待客に変装して、今夜のパーティーに参加してもらう」

「ご自慢の変装グッズか」

 越吹は冗談交じりの嫌みをこぼし、越吹が用意した変装マスクを装着してみた。

「あんたは日本官僚の一人だ、喉元に変声器ボイスチェンジャーが装着してある」

「うまくフィットしているな、本人はどうしている?」

「事情を話して、ちゃんと保護しているよ…彼の資料だ、パーティー参加者の名簿もざっと目を通しておいてくれ」

白石しらいしといったかな?彼女の役割は?」

「俺と同じでホテルスタッフに化けている、あんたの補助サポートだ」

「彼女は新人だろ?肩に力が入りすぎているな」

 新室は、紅一点の神流かんな(白石)のことを気にかけていた。


「実戦トレーニングは優秀な成績を収めている、不服か?」

「いいや…光栄だ、初心忘れずだ」

「ボスからあんたの経歴を聞いた、なかなか面白いな」

「そうかな」

 新室は謙遜するが、彼の経歴は何かと特殊だった。

平警官から地道にスタートして、順調に昇進、SP<警視庁警備部警護所属警察官>に属していたことがあり、総理大臣や要人の護衛を任されて信頼を得ていた。その後、警察庁に出向、公安警察の警察官として活躍していた。


藍井あおいさんと数々の過酷ハードな任務を経験したとか…」

「今となっては良い思い出さ、また古巣に戻って来るとはな…」

「いろいろとご指導願いたいね」

「それはこっちの台詞だ」

「何?」

 新室は変装マスクを装着したまま、話を続けた。

「君は変装の名人なんだろ?から聞いた、演技指導を頼みたい」

 藍井は大人しく見えて、かなりお喋りだった。新室と越吹はで打ち解けて、戦場パーティーに備えた。


 それから数時間後、ホテルのパーティー会場は華やかな空間を描いていた。日本とモナクライナ両国のタキシードやドレスを身に纏った政府関係者が集い、社交の場を満喫している一方で…

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